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第34回東京グラフィックスフェア レポート
June 2000 MACお宝鑑定団 
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各社の広告

6月22日〜24日に 東京ビックサイトで開催された「第34回東京グラフィックスフェア」にかんするレポートページです。


レポート


●東京グラフィックスフェアの最終日には今後の組版についてのセミナーが集中して行われ、その第一段としてAdobe社による「InDesignが提供する日本語DTP環境」が行われました。

 セミナーの準備が行われている最中に表示されたデモ用マシンのデスクトップには「Adobe Photoshop(R) 5.5」に並んで、無造作に「Adobe Illustrator(R) 9.0」と「InDesign 1.0J」と書かれたショートカットアイコンが...。余りの事にちょっと呆気にとられましたが、名前の付け方からして Illustrator 9.0 は出荷直前、InDesign はまだまだ先だと思わされました。

アドビシステムズ株式会社 マーケティング部
FrameMaker講師
 Webソリューショングループ 鮫島 正好 フィールドマーケティングマネージャ
InDesign 講師
 プロフェッショナルパブリッシングjソリューショングループ 宮本 弘 フィールドマーケティングマネージャ

 セミナーが始まり、まず行われたのが何故か「FrameMaker 6.0・FrameMaker + SGML 6.0」の紹介。この際に製品説明を始める前にAdobe製品群について解説が行われました。

まず、印刷・デザイン系各製品の位置付けとして

● PageMaker
 或る程度のフォーマットが決まっていて、デザインをそれ程凝る必要のない軽度の印刷物
 Ex), 日誌や数枚程度のハンドアウト

● InDesign
 デザインに凝る必要のある、小規模から大規模までの印刷物
 Ex), 現在DTPが導入されている環境

● FrameMaker
 デザインよりも定型フォーマットに沿って大量のページを作ることを要求される印刷物
 Ex),マニュアルやレポート、論文など

といくように分けられており、「名前が似ている上に InDesign の登場で少し混乱しているが、きちんと分けられたマーケット毎に最適となるように設計されている」と説明されました。

また、PDFとXMLについても

●PDF
 PDFファイル自体がセキュアであり、インターネットなどでの通信の際にも安全である
 XML・HTMLを添付することが出来る
 オンラインだけではなく、オフラインに対しても対応できる柔軟性

●XML
 1回作成したデータの流用・再利用が簡単に出来、Web・DB・紙など多彩なメディアに対応
 Webでの新たな表現を実現

などというように特徴が全く異なっていると説明がなされました。

これらの説明を踏まえた上で FrameMaker 6.0 の説明・デモが行われたのですが、目新しいことは無かったので割愛します。

FrameMakerが終わると、ようやく待望の「InDesign」の説明となりました。

InDesignのセールス文句は「将来に向けてのプロフェッショナルパブリッシングプラットホームに最適のDTPソフトウェア」。

この文句に恥じぬように
 ● Creative Freedom
 ● Integration
 ● Precision
 ● Productivity

を実現し、日本語出版ワークフローの特徴を理解した上で今までの欧米製DTPで抱えている数々の問題を克服していると説明されました。

具体的な特徴としては

 ● 日本語レイアウトグリッドの採用
 ● フレームグリッドの採用
 ● 級と歯のサポート
 ● 漢字ノンブルのサポート
 ● 日本市場特有のトンボのサポート
 ● インライン入力の実現
 ● カスタマイズ可能な禁則処理
 ● ぶら下がり処理
 ● ルビ・濁点・縦中横のサポート
 ● 合成フォント編集機能
 ● OpenTypeフォントの仮想ボディ認識
 ● 写植機のレンズによる処理とと同じ斜体処理

などが挙げられました。

 さて、説明が終わったところでいよいよデモとなりました。まずはソフトウェアの概要から。InDesignは全てオブジェクト指向のモジュールとして組み立てられて、機能を追加する際には「Plug-Ins」フォルダにファイルを入れれば良いというのは各所で報道されている通りです。日本語版でもコアモジュールとなるアプリけーションが 2.6MB と若干大きくなるだけで、基本設計は他国語版と同じです。

ちなみに、今回のデモで使用されたのは、InDesign 1.0J のBeta版。情報パネルを表示した際に、「2000年5月11日」に作成された「Build 55」という開発ナンバーが付けられているソフトウェアであることが確認できました。

起動された画面を見るとスクロールバーのサイズがダイナミックに変化しており、アピアランスにもちゃんと対応していることを確認。些細なことですが、OSの最新テクノロジーにきちんと対応していると確認できる事でした。

起動した印象は「あぁAdobeのソフトだな」という感じ。Photoshopなどで見慣れた画面デザインときちんと統一が取られています。

まずは各種初期設定から。大きな特徴は2列で表示されているパレットを縦1列や横1行の表示に出来る点。僅かでも画面を大きく有効に使いたいデザイナーにとっては非常に有り難い機能だと思います。

デモの初めは基本的な特徴について。フォントスタイル設定では、Illustratorと同じようにスタイル設定も吸い上げて、他の部分に適応させることがデモされました。これは他のAdobe製品とコンポーネントを共有していることにより、簡単に実現できていると説明されました。

続けて、Photoshop・IllustratorのファイルをInDesignに落とし込むデモを。InDesignにファイルを入れる方法と、各アプリケーションで開いた物をドロップ&ドラッグで入れる方法のどちらでも配置でき、更には配置後にコンテクストメニューから元アプリケーションを開いてデータを直接編集し直すことが出来るようになっています。TIFFやEPSに変換せずに直接データを入れるためにレイヤー構造を持たせたままに出来、一度作成した後に修正が入っても楽に直せるというのが、この機能の最大の利点でしょう。後にPDFファイルを落とし込むデモも行われましたが、画像と全く同様に扱えていました。

続けて、文字をアウトライン化して、画像を割り付けるデモを。この際には割り付けた画像の移動・回転が簡単に出来ることをアピールした上で、印刷時には割り付けられた画像のデータ全てをプリンターに転送するのでは無く、見える部分の画像データのみを転送する事で、データの軽量化と転送の高速化が図れると発表されました。

続けて、テキストボックスへのテキスト流し込みについて。テキストボックスは作成の際にはボックス左下に「(全角入力の際の)行数/列数/入力可能文字数」の順番で情報がダイナミックに変化しながら表示される上に、テキストを流し込んだ際には更に括弧で囲まれて「(流し込まれた文字数/溢れ出た文字数)」がリアルタイムで表示されていました。

最後には「合成フォント編集機能」について。これは ひらがな・カタカナ・英語などの文字種類毎に使用フォント・サイズ・ベースラインの位置などを細かく設定できる機能ですが、この機能を使用する際にInDesignが フォントの仮想ボディ を認識できるという特徴が特に役立ちます。

他のアプリケーションではフォントのベースラインを元に文字を揃えるのですが、ベースラインはフォント毎に異なるために異フォントが混在するとガタガタのレイアウトになるのが今までの状態でした。対してInDesignではフォントそのものの大きさを判別することが出来るので、フォント下部で合わせるように設定すれば、きちんと真っ直ぐで綺麗なレイアウトが作れるようになっています。また実フォントサイズを識別できるので、日本語よりも一回り小さくなりがちな英文字についても、文字の高さを合わせるガイドが表示される編集ウィンドウを見ながら元のフォント設定よりも数%拡大して配置するといった設定が簡単に出来るようになっています。

時間が短かったのでデモ自体がかなりの駆け足で進められたのですが、これでセミナーの概要は押さえられていると思います。

続けて、セミナーのQ&Aの内容について。

MacOS X対応については「Carbon化を進めてはいるが、InDesign 1.0Jは 1.0E・1.5Eをベースにしているので現行MacOSで作動する。MacOS XではClassic環境で作動するはずである」との説明でした。MacOS Xについては夏にPublicBetaがリリースされることが正式に発表されましたが、それにも関わらず開発スケジュールには変更は無いようです。

InDesign内にPhotoshop・Illustratorなどのデータを直接張り込む事によってセッターで出す際にトラブルが発生するのではないのか、という質問については 外部RIPによる分版出力 と InDesignでセパレートしての出力のどちらについてもテストでは正常に出力されるとの事で、心配は要らないとの事でした。

日本語表組の機能が無いことについては、「日本語組版という基礎を完全に固めなければ、今後機能を追加することは出来ない。」と説明された上で「1.0ではまずは完全な組版の機能を提供するのが目標で、表組までは対応できない」ということで今後の課題となると発表されました。但し、既に英語版向けに「PowerTable」などの専用プラグインが出ているので「日本でもプラグインとしてリリースされる可能性はある」との事でした。

時間切れのためにこれでセミナーが終わってしまいましたが、InDesignは日本語の処理を相当研究した上で、生産性がより上がるように設計されているという事が良くわかりました。後は発売時に印刷会社やサードパーティからどれだけの支持を得られるかが重要な問題となるでしょう。


●主催者オープンセミナー「Mac OS Xではじまる次世代DTP環境」
講師:アップルコンピュータ株式会社 マーケティング本部 - 渡辺泰課長

 会場では主催者によるオープンセミナー(無料)として、次世代のDTPを左右するとも言われているMacOS Xについてのセミナーが開かれました。恐らく今回は2月のMACWORLD Expoで日本語処理についての目標が発表されて以降、一般者向けに初めて行われたMacOS Xの日本語処理についてのセミナーになると思われます。

 まずはMacOS Xの位置づけ・構造についての解説から。内容は何時もと全く変わらないので割愛しますが、MacOS Xについて「MacOSの『後継』ではなく『次世代』のと思って下さい」とい明言され、根本からMacOSとは異なるという点について強調されていました。また、QuarzのPDFについて触れ「PDFになるという意味が良く分からないという意見も多いのですが、現在の『PICTで保存』というメニューが『PDFで保存』になると思って下さい」と解説されました。

続けてロードマップの解説。
 今年夏に行われるパブリックベータ配布について触れ、「実費での配布・ネットワークでの配布など各種方法を検討中だが、詳細は未定。価格も『試しに使ってみたい』と思う設定になる予定で、少なくとも製品版よりは安くなる」との事でした。そして、パブリッシング産業は特に注力しているので「製品版リリースまでに色々な環境で使用して頂き、是非ともプロの現場からのフィードバックを欲しい」との事でした。

2001年に予定されているの製品版については「このタイミングでOSパッケージとプレインストールマシンが出る。」との事でしたが、「日本ではプレインストールマシンのリリースが若干ずれる可能性も有りますが...」という発言もポツリと飛び出しました。

これから、いよいよ主題のDTPについて。

まず、今のDTPの問題点について

 ● 組版機能が弱い:欧米製のソフトであるというのが問題
 ● フォントの価格が高い
 ● 高品質のフォントが少ない:写植と比較して。但し、最近は徐々に問題が少なくなっては来ている
 ● 外字・異字体
 ● 出力トラブル
 ● プロテクト・機能制限etc

などが挙げられ、「これらの問題は日本ローカルの問題で、欧米では既にクリアされていて存在しない問題である」と言い切られました。

MacOSの課題としては

 ● 様々なフォーマットのフォントが混在:一般ユーザにはビットマップやTrueTypeなどの違いが分かりにくく、「ギザギザの文字で出力されてしまう」などのトラブルがなぜ発生するのかも分からない。プロユーザーには(特にTrueTypeが)トラブルの原因になる
 ● バンドルされているのが同じ様なウェイトラインのフォント
 ● 外字のサポートがなされていない

などが挙げられました。

 これらの欠点を踏まえた上で「Best Kanji System in the World (Steve Jobs - MACWORLD Expo/Tokyo 1998 基調講演ビデオレターにて)」が紹介され、この言葉を実現するべく開発された MacOS X の特徴が披露されました。

 まずは2月のExpoでも大々的に発表された「17,000文字セット」について。17,000収録されるのは「字体」であると説明され、内容は「Adobe Japan 1-2」で規定された 約8,700文字と、その後継規格の「Adobe Japan 1-4」で規格された約 15,500文字をベースにJIS X0213 (俗に「新JIS」「JIS 2000」と呼ばれる規格)との差分、そしてこれらに含まれていない電算写植で使用されている代表例を含んだ物になると説明されました。この際に強調されていたのは「17,000というのは字体数である」という事と、「17,000というのは現時点での概算で算出された目安。これから増減する可能性がある」という事の2点。前者については後に詳細を説明します。

 続けて、説明されたのが「文字セット」について。こちらは「文字」についてであり、JIS X0213 に収録されている約11,200文字を扱えるようにすると説明されました。ただ MacOS X は Unicode で内部的な処理を行っているので「JIS X0213とUnicodeの収録に差が生じるとデータ交換時やメールなどの送信時に文字の化けや欠けの原因となりかねないので、Unicode側にJIS X0213を完全サポートするように働きかけている最中である」と説明されました。

 最後の特徴として挙げられたのが「OpenTypeフォントの採用」とバンドルされるヒラギノ6書体。OpenTypeは「これから主流になるのは、これしかない」という事で採用され、もちろんヒラギノ6書体もOpenTypeで提供されます。バンドルされるヒラギノフォントには印刷制限やプロテクトは一切掛かっていないので、見たままの状態で高品位印刷まで何でも出来るようになっているという点についても強調されていました。ヒラギノの提供元である大日本スクリーン者の今後の展開についてですが、MacOS Xリリース以降も他のフォントの販売はもちろん存続するので必要が有れば、そちらも購入してインストール出来るとの事でした。

これらの特徴を踏まえ、MacOS Xの特徴の結論として

 ● 今まで使えなかった人名・地名などが使える
 ● 使いやすいフォントバリエーションが標準でバンドルされる
 ● 写植とほぼ同等の文字数と品質
 ● 強力なグラフィックス機能と高速なレイアウト機能
 ● プリンタフォントが無くとも出力可能

が挙げられ、特に最後の点については「日本ローカルの問題であり、この問題解決がMacOS Xの目標である」とまで言われました。

以上でMacOS Xの説明が終了し、これ以降はColorSyncについての説明となりました。 ColorSyncについて目新しい発表・説明は有りませんでしたが、「日本は特にカラーマネージメントへの意識・取り組みが遅れており、今後業界を挙げてサポートする方向へ行かなくてはならない」という事が繰り返し述べられました。

講演が終了してからは、FAQタイムに。個人的に一番知りたかった「17,000文字のフォントを如何に入力するか?」について質問したところ、まず「17,000文字というのが「字体」であって、「文字」という表現と使い分けていたのがポイントです」と説明されました。つまり、字形として17,000文字を収録するだけであり、“ことえり”などで入力する際の候補として17,000文字が表示されるわけでは無いとのことでした。

 これを踏まえた上での入力方法についてですが、「まだ未定ではあるが、Illustratorの異体字入力パレットと同じ様に、一度入力した後に異体字を当てはめたい所をクリックすると候補一覧がドドッと出てくるようなアプローチが可能性の一つである。」との事でした。ただ、このようにして文字を変更する場合には、意味を持ってマッピングされている文字コードを変えてしまうことになるので「後で再変換などをしようとしても、コンピュータ側では意味不明になってしまう」問題が発生しかねないので、「コードは変えずに、文字の形だけを変更するなどの方法も必要かも知れない」と説明され、この辺についてはまだまだインターフェイスを練る必要がありそうな雰囲気でした。どうも17,000文字を充分に使いきるのは、アプリケーションをOSに合わせて一部を作り替える必要も出てきそうな感じの説明でしたが、この辺の問題は徐々に明らかにされて行くでしょう。

 続けて、他の方から上がったのが「フォントのプロテクト問題」について。この際に再度強調されたのが、OSにバンドルされるヒラギノフォントには制限が一切無いことと現状でのフォント資産などは基本的に全て使えるようにする方向で開発を進めているとの2点でした。 この説明が有った上で、他社のフォント製品について言及されましたが「他社の取り組みについては分かりかねるので正確な解答は出来ないが、制限を付けるというのはMacOS Xの目標とは異なっている。それにOSにこれだけのフォントがバンドルされているにも関わらずに制限を付け続けたら、市場から淘汰されるだろう。」との考えが明かされました。

今回はこれで時間切れとなってしまいましたが、MacOS Xについてかなり深くまで掘り下げた説明が行われたと思いました。 MacOS Xは未知の新製品。アップル社には今回のような機会が有る毎に、MacOS Xの新機能や使用した際のメリットについて紹介する機会を設けて欲しいと切に希望します。


● エプソン
「ニューインク」というタイトルでの印刷デモを行っていましたが、肝心の新インクを採用したプリンタのリリースなどの詳細については何も発表されていませんでした。


● 住友金属システム開発
「EDI Color」の展示・デモを大々的に行っていました。MacOS Xへの対応について尋ねたところ「Classic環境があるので、現行製品でも動く」との事です。注目の拡張文字セットやCarbon化については「現在対応を進めるように準備中だが、フォントメーカの対応などを見ながらでなければ進められない問題もあり、まだ未定」との事でした。


● フォントメーカ各社
OpenType化とそれに従ってのクロスプラットホーム化という事については各社ともにようやく動き出した感がありますが、MacOS Xの特徴である拡張字形セットについては「まだ何とも言えない」というのが共通した話でした。




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