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Adobe CS3

2007年9月12 - 13日に大崎ゲートシティで開催された「The InDesign Conference: 東京」に関する特集ページです。


13日(B-7)セミナーレポート


13日セミナーレポート(B−7)

・InDesign新潮社テンプレート
金川功(新潮社)



金子氏は、QuarkXPress、Illustrator、InDesignを使ってきて、 InDesignが一番使いやすかったと述べた。

1ページ写真、1ページの半分が写真という本のシリーズを作ってきた。 2002年の4月、リニューアルのとき、カラーの美しい本ではあるが安くしたい、ということで方法を考える必要があったとDTP導入の経緯について説明した。



いろんな印刷所などをまわり、コストダウンの方法や、今の現場の状況を聞きあるいて、InDesignがいいという話を聞き、2003年、InDesignを導入した。 導入したといっても、編集部だけがあってもどうしようもないわけで、印刷会社、デザイナーも同じソフト、同じ環境でなくてはいけない。 最初の1冊が出た2003年秋の頃は、ぼつぼつとInDesignを使った本が出始めてた頃だったと振り返った。

2004年の暮れのころ、MacOSXとAdobe Creative Suite 日本語版が出たこともあり、ほぼ、90%をInDesignで進行するようになったと説明した。

編集者からみたワークフローについて説明し、DTP以前にはあった台紙校正は今はない。 それ以外はあまりかわらないようだが、実は違う。 紙はページにかわった。編集者がページに画像のあらデータ、文字の大きさなどをだいたいの見当をつけて文字データを放り込んでしまい、そのあとデザイナーに渡すので、デザイナーの仕事はものすごく楽になったはず。 デザインがあがってきて、テキストはレイアウト上に流しこまれているだけ。 赤字がはいったら、編集者がなおすのか、赤字を入れたゲラを付けて印刷会社にまわすのか、ケースバイケースだが、このとき威力を発揮するのが新潮社テンプレート。

単に流し込むだけでなく新潮社の厳しいルールを導入させた状態で流し込む。 これを導入することによって編集者の時間の余裕が大幅に生まれたと説明した。


●活版>写植>CTS>DTP

活版、写植は作業が目に見えるので、視覚的に認識しやすかったのだが、CTSになり、自分たちでは関与できないシステムになり、組版が遠いものになった。 さらにDTPになると、逆に編集者にボーンと投げかえされてしまった。 CTSになり、ブラックボックス化されたものを、投げ返されてしまったので、どうしていいのか分からない編集者が増えてしまった。

美しい組版について説明し、新潮社が制作してきた過去の書籍を例にとり、同社が培ってきた組版ルールについて説明した。それが、DTP導入によって、あまりにも汚いものになってしまったと説明した。

その理由を、オペレータに聞くと、Illustratorデータを印刷会社がQuarkXPressを使って組み直したが、QuarkXPressだと、複雑なことが出来ないので仕方がないといわれた。そういわれれば、あきらめるしかなかったが、腑に落ちなかったので、QuarkXPressの講習に3ヶ月通った。その結果、QuarkXPressでも、腕のいい人が時間をかければキレイに組めるが、効率が悪いことがわかった。同社ではしだいに「DTPで作ったものは汚くても仕方ない」という風潮になっていたと説明した。



しかし、InDesignを開いたとき、原稿用紙のファイルが開いた。これをみて、昔からの何字何行という四角い指定ができるのではないかと期待した。美しい組版を取り戻す希望が生まれ、「文字組み設定」の壁を打破するため、InDesign2.02時代に「新潮社ルール」の文字組設定を開発したと説明した。

活版時代に培われた新潮社の組版ルールはどのようにしてCTS時代に受け継がれてきたのかについて説明し、明文化された「ルールブック」は存在しなかった。では「ルール」はどうしてあったのかについて調べた。活版時代は、人が人と関わることで、本を作る人間の美意識が受け継がれていた。一方でCTSの進化に伴い、複雑な組版ルールは各印刷会社のCTSシステムに「情報」として蓄積されていった。ワークフローとしてはより合理的な組版がスピーディに実現された。

しかし、機械のデータとして蓄積され、編集者がいい加減な指定をしても、機械がキレイに作ってくれるため、若い編集者たちは自分がどう組みたい、どういう組版が美しいか考えなくてもよくなってしまい、美意識が低下してしまった。

出てきたゲラに対して赤の指定のしかたも知らない。その状態で、DTP時代が到来。組版をどうするのか?ということを編集者に返されてしまい、自分では何も出来ない編集者が多く、わたわたしているうちに、CTSがなくなってきてしまった。

この「CTSの登場により、美術、技術の継承が途絶えてしまった」状態に対応していく為には、どういうことが必要かについて考える必要があると述べた。今までは、組版部分が文章化されていなかったが、それをしようとおもった。印刷会社ごとに新潮社に対するルールが作られていたが、それを借りてくるのではなく新潮社が主体となってルールを明文化し、示そうと思った。そこで、各印刷会社に蓄積されたCTSの設定を各社からかりて、すり合わせ、より完成度の高いものを作ろうと考えたと説明した。


●新潮社の統一フォーマットの作成「新潮社組版設定」の公開と配布。

設定を作るにあたり、印刷会社4社からInDesignの組版設定をもらってきた。出来上がりは同じであるのに、4つの印刷会社によって、設定はまるっきり違っていた。 (例にすると、弱い禁則をベースにしている会社も、強い禁則をベースにしている会社もあった)



出来上がりが同じなので、設定が違ってもいいのではないか? という考え方もあるが、雑誌→単行本→文庫本→電子ブックなどのように運用していこうと思ったとき、各社で使うソフト、設定が違うと、一度もらったデータを戻し、また、次に取り替えなくてはいけなくなるし、混乱がおきるのでは? 同じソフトで同じ設定を使えば、より合理的なのではないか? いちいちルビの振り直しもしないですむ。ということで、新潮社テンプレートをつくり、公開することにした。



社内の反応は、会社の財産である情報を無料で提供してしまうのか?といった意見が多かった。ある印刷会社と作ったのに、他の印刷会社と使うのに抵抗はないのか? といった疑問が生まれた。ルールを統一することによって、どの印刷会社で組んでも、同じ体裁に仕上がる。ということだけではなく、同じデータが出来るということ。新潮社のルールにのっとって、指示をする必要がなくなる。(ケースバイケースの部分もあるので、細部は指定することもあるが効率はとても上がる。)

我社は、デメリットよりも、メリットの方が大きい。新潮社が美しいと自信を持っているなら、広めよう。日本の組版を美しくしようという心意気。以上から、公開したと説明した。


●DTPの落とし穴

使い方ひとつで、編集者を生かしも殺しもする。やり方を間違えると編集者は組版おたくになってしまう。それより、いい本を作るためにすることがあるのに。 できない、といわれたと鵜呑みにしないようすむように、InDesignを自分で扱うかどうかはともかく、最低限のディレクションができるだけの知識を身につける。編集部、デザイナー、印刷現場の環境をそろえる。(すべてのバージョンアップを強制することはできない。バージョンアップすることによって、他の環境で動かないということがあるとこまる。)

活版時代の先達が追求した「美しい組版」の精神を、DTP時代になっても忘れてはならない。



要は、だれが読むのか? その人たちが読みやすい組を作ればいいのだと述べた。コンピュータに使われるのではなく、自分で考えなくてはいけない。自分たちの作ってるのは本であるから、モニタで見ると曖昧になるものを紙で出して確認しなくてはいけない。最後は編集者がどれだけ想像力があるかが大切。それがないと紙の未来はないと思う。

テンプレートはAdobe、新潮社で検索すれば、Adobeの活用ガイドというページにたどり着きます。テンプレートを公開した以上、どなたに使っていただいても問題はありません。ぜひ、使ってみてください。と述べて講演を終えた。


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