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2004年6月14日に東京国際フォーラムにて開催された「Post-NAB Roadshow, Tokyo」レポートです。

セミナーレポート

・アップルコンピュータ株式会社 - プロダクトマーケティング部長 の服部氏によって呼び上げられたApple Computer, Inc. - Pro Applicationマーケティング・シニア・ディレクターの Richard Kerris氏によってNAB2004にてAppleが発表した製品・ソリューション群のプレゼンテーションが行われました。

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DRと共に、プロダクトマーケティングも率いる事となった服部氏 

Apple Computer, Inc. - Pro Application
マーケティング・シニア・ディレクター Richard Kerris氏



 Appleが実現したのは "Innovation"。これまでマシンパワーやシステムの限界で出来なかった表現を、Appleのソフトウェアとハードウェアのパワーで実現出来るようにしたのが、NABで発表されたApple Pro Application郡となります。

 まずは、"Visual Effect" の Shake 3.5 より説明を開始。

7年連続で受賞した実力を持つ Shake。これが3.5にバージョンアップした事で、WarpingとMorphingが業界では類を見ない32bit処理となり、完成クオリティに著しい向上が見られるようになりました。また、QuickTimeでの書き出しと完全に統合されたために、収録と編集が遠く離れた場所で行われたとしても映像をQuickTimeで受け渡す事で製作チーム内での意思疎通が確実・柔軟に行えるようになります。また、複数マシンを管理し、分散レンダリングなどを実現する "Shake Qmaster" において "Maya" をサポートする改良が行われた事で「Shakeをインストールすれば、Visual Effectに関わる主要ソフトのジョブ配分を行えるようになる」という統合面でも強化が行われました。

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ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還の1シーン。このシーンは全部合成。写真では兵士が巻き上げた砂埃を合成する作業中



 続けて行われたのが、本日の目玉でもある "Motion Graphics" の "Motion"。

このソフトによる一番の目玉は、これまで何十万ドルもした専用機ですら実現が難しかったリアルタイムの製作・プレビュー環境を実現する "Real-Time Design Engine"。これによって、クリエイティブ作業も、プレビューもリアルタイムにストレス無く実行、製作する事が可能になっています。

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デモは MotionプロダクトマネージャのDion Scoppetuolo氏



 続けて、説明されたのが "Behaviors (ビヘイビア)"機能。これによってこれまでモーショングラフィックを製作する際に非常に手間が掛かり、導入理解に時間の掛かったキーフレームの設定という作業より解放されるだけでなく、Motionに含まれる自然物理現象シュミレーションを利用する事で全自動でオブジェクトの動きを設定する事が可能になります。自然物理現象のシュミレータを搭載する事による最大の利点はモノが落ちたり、跳ねたりする動作がより自然になる点。MotionにはShakeと同じように重力の掛かる強さや方向を調整する事も出来るようになっていますので、使い方次第でその可能性は無限大に広がるでしょう。

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落ち葉に自然物理現象を適応中。散る方向や数はダイナミックに変化させられる



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利用するエフェクト・トラジション

によって設定画面の表示は変化する



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動きについては、GUIでの設定だけでなく、数値設定も可能。この辺はFinal Cut Proライクと思えば良い。



なお、Motionはキーフレームを打てないという事は無く、キーフレームを設定する事も、自動レコード機能を利用する事でオブジェクトを動かすだけでキーフレームを自動生成させる事も可能になっています。

Motion 最後の特徴としては、Motionのために改良された "Advanced User Interface"。Final Cut Proの"ブラウザ"ウィンドウが進化したような「ダッシュボード」と呼ばれるエリアにHD内のファイルやオブジェクトが表示されますので、Motionのウィンドウより1歩も外に出る事無く作業が完結するようになっています。また、フルスクリーンで再生中にもダイナミックにオブジェクトの修正が可能であったり、ペンタブレットを接続した場合にはジェスチャにて操作が可能となるなど、モーショングラフィックを効率的に作成する為のInterfaceが数多く用意されています。

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実行する作業によって表示内容が変化するダッシュボード



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オブジェクトが画面の中央、若しくは同一グループの中央に来るとKeynote.appと同様に自動的にガイドが表示される。



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オブジェクトを移動させる際にも、必要な情報がダイナミックに表示される



ジェスチャ操作については、デモ中にも数回それを利用して操作する様子が見れたのですが、操作が余りにも早過ぎて判別は非常に困難。プレビューウィンドウで "Z" を描くと拡大表示がされたのは確認したのですが、それ以外のジェスチャについては判別不可能でした。

ちなみに、Motionの販売価格は既にアナウンスされている通りの\31,500-。専用ソフトは言うに及ばず、編集ソフトのMotion Graphic Plug-inと呼ばれるモノと比較しても圧倒的に安いので、正にビデオ編集システムのキラーアプリと言っても過言ではないでしょう。

続いて行われたのが、"Editing" の "Final Cut Pro HD"。

Final Cut Proはこれまでも "1080i" というHDの解像度 (1,920 * 1,080pixel)には対応をしていたのですが、これは解像度に依存しない QuickTime & Final Cut Proの特徴を活用してHDサイズの非圧縮映像データを取り扱えていたに過ぎず、その為に編集時には 90-160MB/secという超巨大なデータをハンドリング出来るマシンとストレージを用意する必要が有りました。これでは中小ポスプロへの導入は困難という事で、新たに投入されたのが「業務用カメラで撮影されるカメラネイティブなHDフォーマットをFinal Cut Proで取り扱えるようにする」という考えで、それを実現したのが "Final Cut Pro HD"。

 "Final Cut Pro HD" ではPanasonicが推進するカメラネイティブなHDフォーマット "DVCPRO HD" をネイティブに取り扱えるようにした事で、5.8-14MB/sec という低容量でありながら、4:2:2 YUVの 1080i, 720P 24,30,60 という柔軟なフォーマットで撮影したデータを取り扱えるようになりました、

ここで、Panasonic システムAVCビジネスユニットの下水流 正雄ユニット長より、"DVCPRO HD" の解説へ。Panasonicは「将来に向けて、放送のIT化に対応するフルデジタル・ソリューションの 『P2システム (http://panasonic.biz/sav/p2/index.html)』」と「現在のHDのニーズへの対応」をNABの2本柱として展開し、中でもFirewire400でDVCPROネイティブデータを送り出せるようにした "AJ-HD 1200A" VTRについては6つの賞を受賞するほど高い評価を得ていると説明されました。

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AJ-HD 1200A を従えてスピーチするPanasonic
システムAVCビジネスユニットの下水流 正雄ユニット長



 これらのHD化の動きはPanasonic単独のものでは決してなく、映像業界の今後として必然のものであり、中でも2年毎のスポーツの大イベントは大きな転機となると言われています。大イベントの1つ目は目前に迫った、本(2004)年07月の アテネ五輪。このイベントではSDが主流であるものの、NHKなど数局が HD での撮影を実施し、更にフルデジタル・シリコンレコードの "P2システム" もテスト稼働します。その後の2006年のトリノ冬季五輪ではSDからHDへの本格移行となりつつ、同年行われるドイツFIFAワ−ルドカップでは HD だけでの撮影を検討中。2008年の北京五輪では全面HD撮影となり、機材もP2システムを前面に押し出して行く予定というように確実に放送規格は進化するのと共に、行政の面においても日本では2011年07月には地上波アナログ放送が終了する事で、HDを送出可能なデジタル放送への移行が行われます。

 受像環境についても、今年にはプラズマなどの高解像度フラットパネルの販売実績が金額ベースでもCRTを上回り、国内ではBSデジタルの受像可能家庭が12%、全世界では1,200万台も普及し、2008年には全世界で9300万台まで市場が伸びると言われています。このようにHD化は既に業界において必然的な動きとなっており、その動きに備えて準備しておく事が必要だと繰り返し説明されました。

 なお、Panasonicが発売するDVCPRO HDにて撮影可能な VARICAM は既に600ユニット以上が実働しており、今回のNABにて発表した "AJ-HD1200A" がオプションのFirewireボードを含んで実売価格250万円前後(希望小売価格はオープンプライス)という事でFinal Cut Proと併せて500万円程度で1システムを組めるので、今後更に販売実績が増えると予想されているとの事でした。

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DVCPRO HDに対応し、500万円以下でHD100時間を取り込んで処理可能なシステムが実現]



以上で、Panasonicからの説明が終わり、Final Cut Proの解説へ。

Final Cut Pro HDは既に稼働しているシステムという事で目新しい発表は有りませんでしたが、RT Extreme for HDが搭載されている事でDVCPRO HDの映像を同時4ストリーム、Power Mac G5であれば最大10ストリームまで同時再生する事が出来るというデモが行われました。また、モニタとしてApple Cinema HD Displayを利用して安価にPixel 1:1環境で映像編集をするソリューションや、PowerBookによるモバイルHD編集の可能性について説明され、Final Cut Proの説明は終了しました。

 Pro アプリケーションの最後は "Delivery" の "DVD Studio Pro 3"について。

こちらもFinal Cut Pro HDと同様、既に稼働しているシステムであるので目新しい事は一切有りませんでしたが、スライドショーなどにも適応出来るようになった高品質トランジション、"Compressor"に搭載されたHDの映像をDVDに収録出来るようなSDに高品質変換する"HD to SDトランスコード" などについて説明されました。

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スライドショーに対しても高品位なトラジションが適応可能に。
トラジション名が"α"で始まっているものは、アルファチャンネルの合成が含まれている



最後は "Workgroup Collaboration" として "Xsan" の解説が。

SANの最大の魅力は64bitのファイルシステムを利用する事で理論上は 18エクサbyteまでダイナミックに増減させられる容量と、最大で64台までのクライアントからの同時アクセスを可能にしつつ、FiberChannelで接続する事でパフォーマンスが安定するというスケーラビリティの高さ。

Xsanには、そのようなSANの利点に加え、SANをコントロールするメタデータコントローラマシンがエラーを起こして動作不全に陥っても自動で違うマシンが処理を引き継ぐ冗長化システムなどを組み込まれており、現在Appleは今秋の出荷を目指して複数のポスプロを対象にβテストをおこなっていると説明されました。

残念ながら、今回はデモは一切行われませんでしたが、最後は"Xsan" の価格体系についてMac OS X Serverと同じようにシステム毎のライセンスとなっており、他のSANのようにコントローラや容量、対象クライアント数による課金などは行わないので安心して導入して欲しいとの話が有り、説明は終了しました。

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Xsanの基本構成。端末を増やそうとも、ストレージ容量を増やそうとも、価格は変わらない



以上で、製品の説明は終了。

最後にユーザー事例として、映画"ディ・アフター・トモロー"にてニューヨークが大津波で水没するシーンなどを作成した"TWEAK FILMS" Visual Effects Supervisor の "Chris Horvath"氏によるスピーチが行われました。

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TWEAK FILMS社のVisual Effects Supervisor - "Chris Horvath"氏



"TWEAK FILMS"は設立2年余りの小規模プロダクションであるものの、Appleのプロアプリケーション群を利用する事で映画クオリティのCGを短期間で作成出来るようになり「コストを掛けずとも、充分プロクオリティの映像制作が出来るようになった」という自身の体験談と共に、"ディ・アフター・トモロー"の映像制作で利用した水のシュミレーションソフトはPowerMac G5であればリアルタイムに演算し、映像として出力する事が可能であるというデモが行われました。

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PowerMac G5上でリアルタイムに描画される波のシュミレータ



最後のデモで、Appleのプロアプリケーション群の成熟度と、PowerMac G5のパワーを十二分に実感したところで、今回のカンファレンスは終了。
Motion以外は既に出荷が開始・利用が開始されているアプリケーション群という事で、現状の再確認という部分も多いカンファレンスでしたが、Appleは今後も生産性を向上させてくれるアプリケーションを出してくれそうだという思いと、それらを使ってもっと高品質なクリエイティブ作業を行おうという期待を新たにするには十二分な内容でした。

カンファレンス終了後に、DVCPRO HD - VARICAMにて撮影された "バリアフル・フレーム撮影映像" をFinal Cut Proでのハンドリングについて質問してみましたが、それについては現在対応方法を検討中との事でした。Final Cut Proにソフトウェア実装する方法も有るものの、現在のVARICAM対応機材はPanasonicのハードウェアにて 60i に変換するシステムを持っているので、それを利用した方が画質的には上になるだろうとの事で、対応方法を慎重に検討するという状態のようです。




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