Mac Treasure Tracing Club
G5 Solution Fair

September 2003 MACお宝鑑定団 
Mac News Link Read me Special
Apple expo 2003 WWDC 2003 counter


2003年9月26日に東京国際フォーラムで開催されたG5 ソリューションフェアに関するページです。



オープニングセションレポート

・PowerMac G5のCMと共に原田社長登場が登場し、このフェアで様々なソリューションを提案させて頂いているので、実際にパフォーマンスを実感してほしいと述べました。

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最近の話題としてまず製品に関しての説明が行われました。iMac1149台、Xserve69台が東京大学に導入決定したことを紹介し、この発表に関しては、シリコンバレーからも、おめでとうメールがきたというエピソードを紹介していました。

次に、iPodが大変売れているとし、先日発表したPowerBook G4シリーズが全てアルミニウムボディに変わったと紹介し、ビデオ接続が5種類選択可能な製品はアップルしか提供していないと強調していました。また、Bluetoothに対応した「Apple Wireless Keyboard」「Apple Wireless Mouse」を発表したことに関しても触れ、この製品は、Mac OS Xに組み込まれた「AFH(Adaptive Frequency Hopping)」により、複数のBluetoothデバイスを使用してる場合に干渉しないのが大きな特徴だと説明していました。

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Steve Jobs CEOもよく言っている言葉として「向う100年パーソナルコンピュータは高速に発展し続ける。その中でベストのパーソナルコンピュータをつくり続けてゆく。これがAppleの使命である。」と紹介し、1つのデバイスに対応するのではなく、他社製品も含めたハードウェア、自社提供のソフトウェアによって、デジタルハブとなり、新しいデジタルライフを提案し続けてゆくと説明していました。

また、販売が好調な「iPod」に関して触れ、「iPod」はMacの為の周辺機器ではなく、アップルにとって、「Macintosh」に次ぐ、新しいブランドだと説明し、独立した新しい製品であると説明していました。

そして、iTunes Music Storeの日本提供に関して触れ、アメリカでWindows向けの提供を年内に開始することが優先事項であり、海外での提供は、それが開始されてから具体的に動き出すことになってるとし、日本向けのサービスに関しては、またく案内できる段階に到ってはいないと説明していました。

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次に、Pro Digitalソリューションソフトウェアの紹介を行い、そしてサーバー製品の紹介が行われました。Xserve.は、発売開始以来わずか6ヶ月でUNIX市場で4位となったと述べ、このXserve.の特徴として、トータルコストオーナシップ(導入コストが安い)、メンテナンスが容易、セキュリティーなど、こういった部分を特徴として販売してゆくと説明していました。その導入事例として、東京大学だけでなく、ノーベル化学賞を受賞された野依良治教授がセンター長をされている名古屋大学の物質科学国際研究センターにも大量導入されてると説明していました。

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次にクリエイティブ向けソフトウェアに関して主な事例を紹介し、日本の約80%のレコーディングスタジオにMacが導入(JAPRS調べ)され、また、東京のキー局は全てFinal Cut Proが導入されていると紹介していました。

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東京大学への大量導入に関して、東京大学 情報基盤センター情報メディア教育研究部門の田中哲朗助教授、情報センター助手関谷貴之氏、情報センター助手安東孝二氏へのビデオインタビューを紹介していました。この中で導入を決めた理由として一番大きな部分は、研究用のターミナル用としてのUNIXマシンと、アプリケーション用としてのPC機を別々に提供しなければならなかったが、UNIXをベースとしたMac OS XであるMacを導入することは、今まで2つ必要だったマシンが、1つのマシンで提供出来るため、コスト的に有利だと考えられたことなどを説明され、また、これらのMacを全てNetbootで管理することも説明されていました。また、安東氏が、個人的な話として、Apacheの研究会に出席したとき、ほんどの参加者が所有していたのがPowerBookだったのを見て驚いたというエピソードを話していました。

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次に投資戦略に関して説明し、その中でAppleの直営店であるApple Retail Storeに関して触れ、現在アメリカで展開してる全ての直営店は成功しており、また、直営店が出来ると他のショップの売り上げが下がると懸念される方がいるかもしれないが、実際は、近隣ショップの売り上げも向上するという調査結果があるとし、Apple Store Ginza.にもそのような効果が期待出来るといった説明をされていました。

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そして、PowerMacプロダクトマーケティング担当小尾秀男氏が登場し、PowerMac G5の説明が行われました。1997年G3、1999年G4、2003年G5と進化し続けてきたPowerMacには、新しいテクノロジーを加えて、フラグシップモデルとして相応しいパフォーマンスの向上がテーマがあると説明していました。

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新しく採用したPowerPC G5は64bitプロセッサーであり、従来の32bitプロセッサーが一度に扱えるデータ量をハガキサイズだとすると、G5が扱える情報量はマンハッタンの面積分に相当すると説明していました。この中で、1年以内に3GHzを投入すると発表したことに関して触れ、これはPowerMacに搭載されてといった具体的な内容を説明してるわけではなく、どのように発表されるかは未定だと説明されていました。

PowerMac G5はMac OS 9でブート出来ない製品であるが、よくClassic環境のパフォーマンスについて聞かれることがあり、AppleとしてはMac OS Xで最高に最適化された製品だと説明してると述べていました。

そして、PowerMac G5の性能を説明するにあたっていくつかのベンダーによるプレゼンテーションが始まりました。

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住商エレクトロニクス社エンジニアソフトウェア事業部の勝明次郎氏が登場し、MATHEMATICA 5の紹介が行われました。勝氏によると、MATHEMATICAの実行環境として、PowerMac G5が最高プラットフォームであると説明されていました。

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次にイーフロンティア社の安藤健一社長、Shade事業部の園田浩二氏が登場し、Shade 6の紹介が行われました。まず、G5とG4における性能比較として、1000 x 1500 PixelのデータをRay Tracingでレンダリングした場合、PowerMac G5/2GHz Dualでは46秒で完了してしまうと説明されていました。

園田氏は、まだ仕様が確定しておらず、ベータ版としてではなくアイデア版レベルの物だと断った上で、PowerMac G5に最適化された「Shade 7」を紹介していました。なお、この製品に関しては、今年の暮れから来年までに発売する予定だそうです。

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次にアドビ システムズ社マーケティング本部の栃谷宗央氏が登場し、Photoshop 7.0.1の紹介が行われました。栃谷氏は、Photoshopが発売されてから13年目を向かえ、その初期開発メンバーであり、現在、世界的に有名なPhotoshopエバンジェリストであるラッッセルブラウン氏の画像を使って、修復ブラシツール機能や、ゆがみツールの紹介を行い、PowerMac G5/2GHz Dualのレンダリング性能がいかに高速であるかを説明されていました。

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再び小尾氏登場し、DellマシンとPowerMac G5におけるPhotoshopベンチマーク性能比較や、PowerMac G4とPowerMac G5におけるSpeedMark 3.2ベンチマーク性能などを紹介していました。そして、最後に演台にずっと黒い布に覆われていたDell Xeon 3.06 GHz Dualマシンを登場させ、Flyng NEMOの素材を使ったPhotoshopによる実行性能比較をライブで行い、講演は終了しました。



Mac OS X v 10.3 Panther レポート

・Appleプロダクトマーケティング担当の櫻場浩氏によって、Mac OS X v10.3 Pantherの紹介が行われました。

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Mac OS X 10.2 "Jaguar"は、昨年8月24日から発売され、2003年7月現在で、Mac OS Xがインストールされている数ではなく、本当に使っているユーザーであるアクティブユーザは、世界レベルで700万人にも達していると説明し、また、Mac OS Xネイティブアプリケーションは6、000本を超えていると説明していました。また、Apple純正ブラウザーであるSafariは、500万件ダウンロードを記録したことも紹介していました。

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Mac OS X 10、Mac OS X v10.1、Mac OS X 10.2 "Jaguar"と来て、4回目のメジャーリリースとなるMac OS X v10.3 Pantherは、WWDC 2003で初披露した時は、100の新機能を搭載したと紹介したが、現在は150以上に増えたと説明していました。

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Mac OS X v10.3 Pantherの特徴として、まず最初に、UNIXベースを大幅に拡張するとし、X 11 for Mac OS X(インストール選択可能)、NFSとUFSを高速化を行い、また、一回の認証でアクセスしやすくなり、セキュリティーレベルも保てるKerberos everywhereの搭載すると説明していました。また、従来Mac OS X 10.2 "Jaguar"でも装備されている「IPv6」に関して、ターミナルからの設定が必要であったのが、Mac OS X v10.3 Pantherからは、GUIである環境設定で選択出来るようになり、統合化を行うと説明していました。また、UNIXアプリケーションでもQuartzをサポートした(パイソンのインターフェイスを搭載した)ことも紹介していました。

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Mac OS X 10.2 "Jaguar"でも行ったWindowsとの互換性がさらに向上し、Active Directory、Kerberosによる認証(多々層でも使える)、SMBホームディレクトリの構築、IPSecベースのVPN(マイクロソフトとシスコ)、Windowsネットワークの相互運用性が向上すると説明していました。

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次に「Finder」につては、Macの心髄であるユーザ中心とする部分を向上させるため、様々な改良を行ったと説明し、コンテクストメニューをより使ってもらうため、Finderにアクションメニューとして新しく提案すると説明していました。また、iTunesの検索機能に似てる高速なファイル検索の実現、ネットワーク全体を見渡して、さらに便利に使えるネットワークのブラウズ機能、Mac OS 9から使われているユーザーから要望が多かったラベル機能、ゴミ箱に捨てたファイルを削除しても、ファイル自体は回復出来るような状態であったのを、ランダムに上書きすることによって、回復出来ないようにし、ファイル削除のセキュリティーを向上させたと説明していました。また、新しい「開く/保存」ダイアログなどを搭載したことなども説明していました。

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そして、現在開発中のMac OS X v10.3 Panther(英語版)を使ったデモが行われ、サイドバーの説明、検索機能の説明、アクションメニューの説明などが行われました。また、従来、アイコン選択を行うと、アイコンが暗くなっていたが、これをMac OS X v10.3 Pantherからは、アイコンそのものを色を変えないで一目でわかるように変更したことや、「開く/保存」ダイアログがFinderライクな操作に近くなったことなどを説明していました。

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また、.Maユーザを対象にした機能として、iDiskへのアクセスが遅かったのを改善するため、iDiskの内容をコピーで持ち、アイドル状態になった時にシンク処理によって更新する機能を搭載すると説明していました。また、複数のマシンで使う場合に、いつも最新状態が保たれるようになるため、.Macサービスを利用するメリットが向上すると説明していました。サイドバーに表示されたドライブのメディアを排出するこも可能になったと紹介していました。

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次にExposeに関して説明し、その中で、アプリケーション切り換えは、タブキーでどんどん次のアプリケーションへと進んでゆくことなどをデモを交えて紹介していました。この、Exposeは、Quartz Extremeに対応していないMacでも、パフォーマンスは低下するがちゃんと機能すると説明されていました。

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ファーストユーザースイッチについては、高速にユーザ切り換えが出来る機能の説明の後に、パスワード設定がされているユーザにスイッチする場合、パスワードを求めてくるという機能説明を行い、この時、アップルロゴがメタリック調になっていることが確認出来ました。

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セキュリティー機能であるFile Vaultに関しては、ホームディレクトリー以下全てのファイルを暗号化することが可能で、暗号化/複合化は透過的に行われるため、ユーザが意識する必要がないと説明していました。また、他のユーザアカウントでログインした場合、そのユーザフォルダを開くことが出来ない状態であることを紹介していました。また、Mac OS 9からファイルを取り出しても開くことが出来ないと説明されていました。

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その他のセキュリティー機能に関しては、冒頭で説明がされたKerberos認証や、255文字までの長いパスワードのサポート、アメリカ国防総省が定めた「DoDクラス」の安全なファイル削除、ネットワークに繋がっていなくても認証できるx.509認証管理、オフライン認証、ログイン時/スリープ時/復帰時の認証、メールでやりとりする時に使用されるS/MIME、ワイヤレスLANなどで使用される業界標準の仕様技術である802.1X(TLS,TTLS,LEAP,PEAP)など、数多く拡張されると説明していました。

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次に、Mail(デモ無し)に関しては、スレッド表示機能が追加され、これは、サブジェクトが変わっても、Mailが判断してスレッド化してくれると説明していました。また、返信したメールを直ぐに呼び出せたり、オンライン/オフライン状態が直ぐに確認出来ることや、アカウント毎に重要性を設定出来ること、Safariエンジンを採用することによって、表示機能のパフォーマンスが向上したことなどを紹介していました。

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プレビューに関しては、最も高速なPDFリーダーと呼ばれ、具体的にどれぐらい高速なのかを、PowerMac G4/1.42 Dual上で動作させたMac OS X v10.3 Pantherのプレビューと、Dell Pentium 4/3GHzマシン上で動作させたAdobe Reader 6.0を使用し、アドビ システムズ社が公開しているPDF 1.4仕様書をサンプルファイルとして使った性能比較によって説明していました。また、PsotScriptとEPSファイルの表示が可能になったこと、PDFテキストのコピー、URLのサポートに加え、PDFのインデックス表示が出来るようになること、サイドプレビューの高速化、検索もインクリメントサーチ機能を搭載していることなどを説明していました。

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PDFに関しては、Adobe社のPDFを採用しているQuartzは、Mac OS X v10.3 PantherからPDF 1.4ベースとなったと説明し、透明度やドロップシャドウなどがサポートされたと説明されていました。UNIXアプリケーションから、Pythonでプログラム可能なPDFの作成が可能になり、PDFワークフローが出来るようになると説明し、また「Quartz filter」(カラーマッチングと効果、イメージのダウンサンプリングと圧縮、リアルタイムなプレビュー、組み込み及び自作フィルタ)などについても説明していました。

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プロフェッショナルなフォント管理ツール「Font Book」(デモ無し)に関して説明し、Mac OS Xではフォントをインストール可能な場所が5ヶ所もあり、どこにインストールすれば良いのかわからないと感じる方がいたが、Mac OS X v10.3 Pantherからは、買ってきたフォントをダブルクリックすると、Font Bookが立ち上がり、フォントのプレビューを作成し、フォントを確認しながらボタンを押すとインストールすることが出来るようになると説明していました。またフォントセットを作成することも可能になると説明していました。

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先進なタイポグラフィ(デモ無し)に関しては、文字パレットである特定の文字を表示させる時に、今まではある一つのフォントをあらかじめ指定した上で、そのフォント上で表示する仕組みだったが、Mac OS X v10.3 Pantherからは、特定の文字を複数のフォントから抜き出して一覧表示することが可能になると説明し、きめ細かなテキストレイアウトコントロール(リガチャ、スワッシュ、カーニング、ナンバースペーシング、フラクションレンダリング)が可能になると説明していました。また、異体字の選択(スタイル情報も含められる)などが可能になると説明していました。

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スタジオコーデックを目指して開発された「Pixlet」に関して、クオリティーを保ったまま圧縮を行う技術で、最大で25対1の圧縮を実現し、ハイビジョンなどで使われる、HD、SDなど非常に高いバンド幅が必要になるデータをやりとりする場合に、仮に75MB/secといった高品質データがあるとすれば、それを3MB/secといったDVクラスのバンド幅でやりとり出来るレベルまで、元の品質を保ったまま圧縮する技術で、データ容量で説明すると、6GB超のデータを250MBまで圧縮出来ると説明していました。そして実際に、ターミネーター3のHDデータを圧縮したデモが行われました。このPixletは、Mac OS X v10.3 Pantherに搭載されるQuickTimeの標準的な機能として提供されるそうで、QuickTimeのコーデックを使用するアプリケーションであればPixletを使用することが出来ると説明していました。ただし、QuickTimeの一部として提供されるが、それはMac OS X v10.3 Pantherの一部としてのみ提供されると説明していました。

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次に、iChat AVに関して説明し、映像と音声の品質が高いパーソナルテレビ電話を実現したと説明し、今までこういったアプリケーションは、切手サイズぐらいの小さな表示しか出来ず、それがあ当たり前だといった固定観念を持たれていた方も多かったかもしれず、iChat AVではフルスクリーンで使用可能になったことで、本当にテレビ電話と呼べるようなアプリケーションが提供出来たと思っていると説明していました。ただ、フルスクリーンで使用する場合には、ADSLなど高速なブロードバンド環境であっても、登りで1Mを確保する事が必要だと説明していました。

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最後にMac OS X v10.3 Pantherの開発は、現在佳境に入っていると説明し、発売時期に関しては、一部年末といった歪んだ形で伝わっているかもしれないが、それは間違いで、今年中に発売が正しい情報だと説明していました。また、Mac OS X Server v10.3も、同時、同じタイミングで発売する予定だと説明していました。なお、現在、法人向けプログラムとして、一定の金額を支払うと3年間メジャーアップデート版を届けるプログラムがあると紹介していました。

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Mac OS X Server v10.3 レポート

・Server担当プロダクトマネージャ 鷲滝 薫氏による、国内初となる "Mac OS X Server v10.3"、通称 "Panther Server"のセッションが行われました。Panther ServerはWWDC 2003でもほとんど情報が公開されなかった為に、非常に貴重なセッションと言えます。

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 まず、Panther Serverの位置付けについて。Panther Serverを一言で言えば「オープンソースの "Darwin" をコアとし、これまで以上に業界標準を詰め込み、その強力なパワーをAppleならではの使い易いMac OS XのUser Interfaceで包み込んだシステム」。業界標準に徹底的にこだわってサポートしている事によって、他のOS・システムと規格に基づいてシームレスに連携出来るだけに留まらず、多くのプログラマの努力により高品質を保っているオープンソースシステムのパワーと恩恵を享受出来るなどの数多くの利点を持ち、これは即ち投資対効果の向上をもたらします。

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業界標準規格の採用に徹底的にこだわる Mac OS X Server v10.3



 また、これらのシステムが稼働するのはApple製のXserve・Xserve RAIDに代表されるハードウェア群。このようにシステム・ハードウェアを統合的にAppleが提供している事によって、ハードウェアのパワーをフルに引き出す設計や、セキュリティ対策などの信頼性向上に極めて有利となり、最終的には「TCO(Total Cost of Ownership)の削減」を実現出来る事となります。

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Panther Serverに入っているオープンソースのパワーはこんなに多数



 Mac OS X Serverならではの特徴で有る "User Interface" についてもPanther Server においては徹底的な見直しが行われた事によって、まずサーバー管理ツールが完全にPanther準拠のGUIと更なるブラッシュアップが行われました。また、Pnather Serverに標準で搭載している全てのサービスについて 「サーバー管理 (Server Admin)」「ワークグループマネージャ」の2つのツールによってGUIにて設定・管理出来るように統合され、Xserve・Xserve RAIDを利用する場合でも追加して「サーバモニタ」ツールを利用するだけで管理が可能となりました。

 Mac OS X Server v10.2以前を利用した事が有る人ならば "QuickTime Streaming Server" の管理ツールはWebブラウザ経由での操作だったと思い出して頂けると思いますが、Panther Server以降は「サーバー管理」ツールへ統合されます。但し説明されたのはQuickTime Streaming Serverについてだけでしたので、Darwin Streaming Serverについては詳細は不明です。

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サーバー管理ツールより管理編集対象マシンの時刻修正も行える

サーバー管理ツールのDNSレコード編集画面



 さて、それではセッションで説明された新機能についてです。「50以上の新機能」というのがオフィシャルな発表ですが、セットアップから運用までの全局面について機能強化が行われていますので、個人的な実感としては「50どころじゃ済まない」という印象です。さて、それでは行きましょう。

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50の新機能からピックアップして解説



 まずは、セットアップについて。初期設定を自動化する "Automatic Setup" が搭載されました。これによって未セットアップのMac OS X Server v10.3は起動する際に接続されているストレージ機器及び認識されたLDAPサーバを検索し、configファイルが存在した場合にはそのデータに基づいて "Automatic Setup" を実行します。

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これによって「IPアドレスだけは変えるけど多数のマシンでクラスタを組みたい」っというような場合に、まずは1台だけセットアップをした上で、Mac OS X Server設定ウィザードの最後に出てくる「設定を保存」という項目で書き出されるconfigファイルを保存し、そのファイルをストレージかLDAPに配備してしまうところまでやってしまえば、残りのマシンは起動させるだけでconfigファイルに書かれた内容通りにマシンのセットアップを実行します。

 さて、それでは管理方法についてです。管理ツールの統合が行われた事は既に述べた通りですが、管理ツールは遠隔操作にも対応していますので経路保護・遠隔集中管理への対応についても、これまで以上に行われています。

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経路保護としては HTTPS・SSH2 による通信の保護を行う "セキュアトランスポート"、遠隔集中管理としてはSNMPv3 をサポートすることによって他社管理システムでの管理を実現しています。

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 続けて、ディレクトリサービス "OpenDirectory2" について。Mac OS X にはNeXT伝来のディレクトリサービス "NetInfo" をコアとし、業界標準の "LDAP" を徐々に取り込んで来ていましたが、Panther Serverにおいてはとうとう "LDAP" がNetInfoから独立してピュアなディレクトリサービスとして存在するようになります。そして、その独立したLDAPと認証システムとしての "Kerberos" が組み合わさって "OpenDirectory2" を構成しています。

 さて、LDAPの詳細については、まず構成についてはOpenLDAPとBerkeley DB によって成り立っており、Berkeley DBによって100,000ユーザーのレコードを1台のマシンにて認証出来るようになっています。KerberousについてはKerberous KDCとSASl Password Serverを持っており、AFT・FTP・Mail(SMTP・POP・IMAP)・Apache・SSHなどの 広範囲なネットワークサービスに対する認証を実現しています。

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 また、OpenDirectory 2自体はレプリカにも対応しているために、冗長性を持たせたり、リモートを置く事で広範囲運用を行う事を可能とします。

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 認証についてはログイン時にAuthenticationサーバーに対して認証のリクエストを行い、承認された際にはクライアントにKerberos "key" を持つ事でログアウトまでの認証を行う事となりますので、オープンスタンダードに基づいた安全な認証によってログインと同時に対応サービスへの認証を全て行う "Single Sign-On" を実現します。

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 では、OpenDirectory2絡みの話題として、OpenDirectoryと統合されて最も進化した "Samba 3"について。Sambaの最新バージョン 3 を搭載する事で、Windowsクライアントに対してプリントサービスやグループフォルダ、ホームディレクトリ、ローミングプロファイルなどのサービスを提供します。認証について、これまではWindowsも利用するユーザについては「Windowsログインを許可する」という個別設定が必要でしたが、OpenDirectory2によって一元的なログイン管理が可能となりました。また、これによってMacOSとWindowsからのログインによってアクセスするディレクトリを同一にする事も可能となっています。

 Windowsとの共存の話が出たので、続けて近年多用されるようになった"VPN (Virtual Private Network)"について。JaguarにVPNCliant機能が搭載されましたが、Panther Serverからは "VPN Server" の機能が搭載されます。

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 VPN Serverとしては、プロトコルとして L2TP & PPTP をサポートして40・128bitのキーにて暗号化を実行、そして認証にはIPSecかMS-CHAPにて行うという、業界標準のVPN Serverとなっています。Pnather ServerではFirewall (ipfw) についても強化が行われていますので、VPN Serverと併せて セキュアなGW として利用する事も可能となります。

 VPNと同じように地味めのネットワークサービスとしては、NTP Server・NAT機能のサポート、Pantherと同じくIPv4・v6のサポートなども挙げられます。これは見た通りなので、詳細説明は省略します。

 さて、それではネットワークサービスについてです。まず、DNSサーバの設定について、これまではコマンドラインからのみの設定となっていましたが、とうとうサーバ管理ツールからのGUI設定が実現しました。

 httpサーバである "Apache" については v1.3・v2のダブル搭載。但し、Panther Serverの初期出荷状態で標準に設定され、GUIにて操作可能されるのは v1.3。v.2については利用希望者のみがコマンドラインから起動・設定を行う事となります。v.2が標準仕様となる時期については未定です。

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 続けては、恐らく一番強化されたメールサービス。これまではsendmailをベースにした独自エンジンでしたが、Panther Serverより他のBSD系OSと同じく "Postfix (SMTP)"・"Cyrus (IMAP・POP)" への移行が行われ、これによってこれまで以上にパフォーマンスとスケラビリティの向上が期待出来ます。更に、最近のMailトレンドに追従すべく、SquirrelMailをベースにしたWebMailサービスと、"Mailman" によるメーリングリストサービスが搭載されるだけに留まらず、POP・SMTP・IMAPの通信をPantherServerが持つSSLによって保護された通信とする事も実現しています。
これによってこれまで強化が切望されていたメールサービスが一挙に改善する事が期待出来ます。

 Mac OS X Serverの目玉の一つである QuickTime Streaming Server についてはサービスの運用管理がサーバ管理ツールに統合された以外の配信機能については前バージョンと同レベルとなりますが、v.5 に進化した事で "QuickTime Streaming Server Publisher" という強力なコンテンツ管理ツールが搭載されます。

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 これまでのQTSSではMovieディレクトリにコンテンツを入れるだけで配信が開始されると言う非常に手軽な物では有りましたが、それ以上の設定が不可能であり、また配信前にStreaming専用の設定行程を数多く踏まなくてはならずに、コンテンツの数が増えると管理不能に陥る可能性が非常に高くなっていました。この状態を解消すべくQTSS Publisherでは、配信したいコンテンツのアップロードをGUI化する事で指定フォルダにデータを自動的に転送・配備したり、ファイルサーバと連動・監視させる事で、ユーザーが指定フォルダに映像を入れるだけで自動的にStreaming用のHintingを行った上で配信サーバに転送する機能、コンテンツの配信開始・終了時刻を指定して配信する機能などが追加されています。

また、プレイリストについてもこれまでは エディタ が搭載されているだけに留まっていたものが、QTSS Publisherでは配信中にリストを停止する事無くプレイリストを編集する機能などが実現するなど、現場での使い勝手をより向上させる数多くの改良が行われています。

 さて、それでは一般的なネットワークサービスから企業向けサービスについてです。まず、J2EE Serverについて。これまではWebObjectsによってJ2EEを部分的にサポートしていましたが、Panther ServerにおいてはJBoss Application Server・Tomcat・WebObjects5.2の3本建てとなります。これに併せて別ディスクでの提供となっていた WebObjects がPnather Serverとの統合となり、OSのインストール時に自動的に Deployment版がインストールされるようになります

 ちなみに、J2SEについては1.3.1/1.4.1の両バージョンがシステムに共存となります。

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J2EEに絡むServer・Toolだけでもこれだけ搭載される



 NetBootについては、クライアントOSにPantherを利用した場合にのみDiscレスのBootが可能。このDiskレスBootについてはG5ソリューションフェアのオープニングセッションでも触れられた東京大学に導入されるシステムにおいても利用されるとの事です。

 また、NetBoot・NetInstallで利用するディスクイメージの作成方法についても強化が行われ、現在以上にアップデータを適応した状態のディスクイメージの作成を容易にしたり、運用中のシステムをNetBoot・Install用イメージとしてそのまま保存出来るようにデータを全てイメージとしてします事などを実現するようです。

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 以上がPanther Serverにて大幅に更新されたポイント。あとは、Panther Serverの細かな仕様解説となりました。まず、Darwinについて。採用されるバージョンは "Darwin 7"。Mach 3.0上に、FreeBSD 4.8をベースにFreeBSD5の一部の機能を取り込み、更にG5向けのカスタマイズが施されています。

 ファイルフォーマットについては "HFS+ジャーナルのみ" のサポートへ変更となり、他のフォーマットについてはインストール不可となります。なお、Case-Sensitivityの選択はオプションとなっています。新しく搭載されるコマンドラインツールは dscl・ATsar・pstopdf・sips の4つとなっています。

 さて、発売後のサポートです。まず、発売時期はMac OS X v10.3と同じく "年内発売" というアナウンスのみで、具体的の日時やPantherとの同時リリースであるのか、などの詳細情報は一切明らかになっていません。

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年内発売というアナウンスのみ。しかしサポート体制など含めて確実に準備は進んでいる。



 話を戻して、サポートについてですが、機能の大幅強化に併せてマニュアル・トレーニングの強化・拡充が行われます。まず、マニュアルについて。これまでは700ページ余りの単本マニュアルでしたが、Panther Serverからはトータル1,400ページ以上、更に対象サービスごとに分かれた16冊のマニュアルとなる予定となっていると説明されました。また、システムに対しても100ページ以上のmanデータが投入される予定として作業が進められているとの事でした。

 トレーニングについても目的別に [ファイル・プリントサーバ構築]・[インターネットサーバ構築]・[ディレクトリサービス構築]・[ネットワークとサーバ構築] の4コースへと分け、トラブルシューティングなど今まで以上に実践的な内容で行うように準備を進めていると説明されました。なお、これらの詳細はMac OS X Server v10.3の正式発表若しくは発売の時期に併せて発表されます。以上で、AppleによるPanther Serverの解説は終了。

プレゼンテーションは画面のキャプチャのみの公開となり実働デモは全く行われませんでしたが、Serverとしての著しい進化を確認出来たので非常に大満足でした。

 続けて行われたのがPanther Server・Xserveによるソリューションベンダーによるプレゼンテーション。今回はPanther Serverと共にCMS (Contents Management Service)システム "DBPS (DataBase Publishing System) " を発表する パナソニックデジタルネットワークサーブ株式会社 木所明彦氏によって行われました。

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 DBPSはCMSの分野の中でも、特に業務ロジックの中において、Webパブリッシングを行う現場にマッチするように設計がされています。この為に自動リンク作成、デザインテンプレートの自動適応などの基本的な機能に加え、一度デザインされたWebサイトを他の人の承認が下りない限りは公開されないようにしたり、特定の時刻が来たら自動的に公開・公開終了出来たりするように出来ています。

現在は動作検証中との事ですが、MySQL・Apache・Tomcatを利用して開発されているとの事で、これらが標準搭載されるPanther Serverがリリースされ次第、それほど日を置かずに対応を発表出来る見通しとなっているようです。

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Web更新を最大限自動化させる事でロジックの分離、責任所在の明確化などが行える



 もう1社。大成建設 耐震推進室によるシステム開発事例を小野眞司 課長によって説明されました。

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大成建設は以前はAppleの先進ユーザーと言われつつも、先日Windowsへの一斉リプレースを発表したばかり。やはり、コスト削減を旗印にしたリプレース要求は高いものの、ServerについてはWebObjectsやFimeMakerなどで作り上げた資産を活用する為にもこれまでと同じMacOSを採用たとの事でした。またデータセンターへのサーバー移動を機に1UのXserveへリプレースした事によって。これまでデスクトップ機6台余りだったマシンを、わずか3Uのスペース占有に収める事に成功し、これによって設置コストの削減にも成功したとの事でした。Xserveについては不安も有ったものの、導入してみれば熱暴走・システムクラッシュなど皆無で現在まで無停止運用を続けており、以前のMac OS + Filemakerよりも遥かに多くの処理を捌けるようになったとの報告がされました。この際、余談として「Xserveはちょっと高価なデスクトップ機ぐらいというサーバーとしては超低価格なので、デスクトップとして稟議を通してシステムを開発してしまって、そのシステム無しでは業務が動かなくしてしまう様な草の根運動は意外と効果的かも知れない」という珍提案も行われました。

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Xserveの登場によって、これまでデスクトップを入れていたサーバーラックはガラ空きに



 ハードウェアに続いて、システムのコスト削減策としては "WebObjects" でのシステム開発が解説されました。大成建設はこれまで "耐震ネット" をWebObjects4.5にて運用していたものの、時代の要求から耐震も含む建設全体を診断する "Web診断" に進化させるプロジェクトについて解説されました。

開発の一番の問題点はWOの進化。耐震ネットは WO 4.5にてObjective-Cにて構築されているものの現在ではWO4.5が入手不能で有る上に、JavaベースのWO 5.2で再開発する手間も取れなかったので、大成建設ではWO4.5ベースの"耐震ネット"システムを残しつつ、WO 5.2で作った新システム"Web診断"を統合する方法を取ったとの事でした。具体的には、Web診断システムからリクエストを送り、折り返されたデータをHTML上で統合して表示する方法を取り、更にReportMillと連携させる事でWeb診断システムの情報をベースに、報告書まで作成出来るようにしたとの事でした。

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写真中央の部分だけがWO4.5から呼び出されている 

WO5.2・WO4.5・社内CRMサーバなどが相互通信し、
1つのサイトを構成する              



 Mac OS X Serverが産まれてから、まだ数年。NeXTの資産を活用しつつも、時代の流れに併せて改良を続けているために過渡期ならではの問題も少なからず発生していますが、Panther Serverの発売と共にユーザーフレンドリーな強固なサーバーとしての評価がこれまで以上に高まりそうな予感が十二分に感じられるセッションでした。


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