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ナナオ カラーマネージメントモニター「CG241W」レビュー第1回

Macintoshの特徴のひとつはグラフィック系に強いということ。昔から色管理に自覚的なOSとそれを支えたハードウエアがあったことが、デザインや画像処理、DTP等のプロユーザー達にMacintoshが愛用された理由のひとつだろう。

だからという訳でもないが、プロである、ないに関わらず、Macユーザーには高品質な画像表示へこだわる人は少なくない。

長くApple Cinema Displayしか存在しなかった高解像度ワイド(WUXGA)ディスプレイだが、今年に入ってディスプレイメーカー各社から高画質を謳う製品が相次いで投入され、この分野が盛り上がっている。
その中でも注目されているナナオのCG241Wを実際に使用しながら、長期レビュー(3回予定)を行う。


・高画質なディスプレイとはなにか

誰だって高画質な画面を見たい。だが、そもそも高画質な表示とはなんだろうか、色鮮やかなこと、明るいこと、シャープなこと、普通はそう考えてしまうかもしれない。多くの液晶ディスプレイが、カタログスペックで明るさやコントラスト比を競う。

ここに誤解の一端があり、ディスプレイ選びの難しさがある。

見た目のキレイさ = 高画質 ではない。

店頭での見た目を重視すれば、明るく、コントラストの高いモニターの方がキレイに見える。色味に関しても、より鮮やかな方が好まれるだろう。もちろん、これらもキレイな画面表示という意味では間違ってはいない。だが、このレビューでいう高画質は正確な色再現という部分に大きなプライオリティをおく。

グラフィックを作成する、写真のRAWデータを現像する、それらの作業において、ディスプレイの表示を基準とできること。それがこのレビューにおける高画質ディスプレイの定義である。そして、その正確な色再現は、カラーマネージメントという言葉なしには実現しない。高精度なカラーマネージメント機能をもったディスプレイは、クリエイティブワークフローの中で色の基準となる重要なデバイスなのだ。



・カラーマネージメントの新スタンダードになりうるか?CG241Wの登場

ナナオのディスプレイといえば、CRTの時代から高画質の代名詞だった。現在もそのイメージは踏襲されていて、特にカラーマネージメントモニターを謳う「ColorEdge CGシリーズ」はスタンダードな「FlexScanシリーズ」と異なり、高いハードウエア性能と専用キャリブレーションソフトウエアが支える厳密な色再現で、プロフェッショナル用ハイエンドモニターとして絶対的な信頼を築いてきたシリーズだ。

とはいえ60万円(CG221)もするプロであっても簡単には手を出せない製品で、その高画質をもっと現実的な価格帯で欲しいというニーズは(特にフリーランスのクリエイターに)多かった。

CG241WWUXGA(1920x1200pixel)とCG221と同じ解像度を持ちながら、価格は約1/3となった新モデルである。サイズ、解像度的には6月末まで販売されていたCE240Wの後継機といえるが、ハイエンドの称号とも言えるCGの型番を持つ。さらにAdobe RGB比96%という広色域に対応したのも大きな特徴だ。

しかし一方でCGシリーズの特徴でもあったIPS液晶パネルはVA液晶パネルに変更された。これが、これまでにない価格帯でCGシリーズをリリースできる理由であることは明白だ。パネル変更によって現実的な価格のCGシリーズが実現したのだろう。だが、だからといって画質まで低下しては意味がない。

レビューでは、VAパネルによるデメリットの有無も含め検証していきたい。



・ 製品のアウトライン

CG241Wは、12bitのカラーテーブルを16bit演算処理する色再現と階調特性に優れたASIC(制御チップ)を持ち、ハードウエアキャリブレーション(後述)によって個体差や経年劣化の影響を受けにくい正確な色再現を実現するカラーマネージメントモニターだ。

色域はsRGBを大きく越えるAdobe RGB 比96%と、特にG(グリーン)系の発色に大きく再現性の拡張が得られるはずだ。

解像度はWUXGA(1920x1200pixel)。これは23-inch Cinema HDと同じ。23inch CinemaはUSBポートとFireWireポートをそれぞれ2つづつ持つが、CG241WはUSBポートを2つのみ。ただし、アップル純正ディスプレイにないアドバンテージとして2系統のDVI入力を持つ。2台のマシンを切り替えて使いたいユーザーにはポイントの高いところだろう。

スタンドは前モデルのCE240Wのスウィーベル型から一新し、CG221と同様のオーソドックスなものとなった。CG241Wの特徴である縦方向への回転によるポートレート表示とあわせ、ハードウエアのチェックは次回にあらためて行う。

ColorEdgeシリーズとして伝統の、工場出荷時に1台1台階調特性を調整し、正確に合わせこまれたガンマカーブ(調整結果のデータシートが付属する)はもちろん、CG241Wでは画面の輝度、色度のムラを抑制するデジタルユニフォミティ補正回路を搭載している。これは従来、上位機種のCG221,CG211にしか搭載されなかったもので、液晶パネルの宿命的な弱点を埋めるもの。特に大型ワイド液晶ではムラが出やすいため、本機に搭載された意味は大きい。

またCE240Wではオプション設定だった遮光フードが標準装備になった。単体で購入すると2万円近いものだっただけに嬉しい標準化。遮光フードの有無は実際の使用環境において大きく画質に影響のある部分、標準装備することですべてのCG241Wユーザーがフードを使用することになる。ハイエンドモニターの販売スタイルとしてひじょうに正しい方向性に思う。この部分については手放しでナナオの姿勢を評価したい。



専用の遮光フードは組み立てパネル式。キャリブレーション時に測定器をセッティングしやすいように天板パネルの中央部はスライドで開くようになっている。小さな工夫だが、キャリブレーションはよく行う工程なのでいちいちフードを外さずに済むのはポイントが高い。


また、写真では分かりにくいかも知れないが、フードの裏面はモニター自体の光を反射しないようにフェルト地になっているなど、丁寧な造り込みがされていて好感が持てる。



・ハードウエアキャリブレーション

カラーマネージメントの出発点はモニターが色を正確に表示することである。とはいえ、それは簡単なことではない。例えば、ある特定の赤色が正しく出ているとしても、それをシフトさせたマゼンダが正しく発色しているとは限らないからだ。さらに個体差や経年劣化の問題も無視できない。そのため、実際に個々のモニターの発色を測定、解析した上で調整するキャリブレーションが不可欠となる。

近年、デジタル一眼レフの普及によりモニターの色再現にこだわるユーザーが増えたせいで、低価格なキャリブレーションツールも登場し敷居が低くなったのも朗報。余談だがCinema Displayユーザーもそれらの市販ツールを使うことにより、モニターの表示をより正確に調整することが可能だ。

だが、ここで注意すべきなのが、ソフトウエアキャリブレーションとハードウエアキャリブレーションの違いだ。通常の液晶モニターは、表示を解析した上でビデオカードの出力を調整して表示色を合わせこむソフトウエアキャリブレーションを行う。

ビデオカードの出力はRGB8bitなので、調整するということは出力をRGB個々に絞ることとなる。その結果、調整量が多いチャンネルは必然的に階調が減少する。さらに副産物として新たに色かぶりが発生することもある。

これに対し、CG241Wを含むハイエンド系のモニターはビデオカードの出力は100%のままいじらず、モニター内部のパラメータを調整するハードウエアキャリブレーション方式をとっている。ハイエンド系モニターのルックアップテーブルや演算精度は大きいため、階調の減少はゼロとは言わないものの現実レベルでは無視できるほど小さくなるのが特徴である。CG241Wと前モデルCE240Wを比較すると、ルックアップテーブルが 10bit→12bit、演算処理は14bit→16bitと大きく拡張されているため、調整幅に対するマージンも大きくより滑らかな階調特性が期待できるはずだ。



CG241Wのキャリブレーションのステップ

実際にCG241Wで、キャリブレーションを行ってみる。

使用した測定器は「X-Rite Eye-One Display 2」。ナナオのオンラインショップであるEIZO Directで「ColorEdge CG241W-BK センサーセット」としてバンドル販売されているもの。

ハードウエア的には市販のX-Rite Eye-One Displayと同じものになる。ただし、キャリブレーション用ソフトウエアは付属しない。ソフトウエアはColorEdge CG241W-BK センサーセットに同梱される専用アプリケーション「ColorNavigator CE」を使用する。


ColorNavigator CEは名前から分かるように機能を絞ったバージョンゆえ、ユーザーがすること(出来ること)は

・ 輝度(画面の明るさ)の設定
・ 色温度の設定(紙白測定によるプリンタマッチングについては次回述べる)
・ ガンマ値の設定

の3つだけだ。



この3つを設定すると、測定器を初期化するよう促される。センサー部分に光が入らなければ良いので、写真のように机が黒い必要はない。



その後は画面に表示される調整ウインドウに合わせて測定器を吊り下げる。センサー部にモニター以外からの光が入るのは厳禁のため、CG241W自体を軽く上向きにするのがポイントだろう。
あとは自動でキャリブレーションが実行される。一般にソフトウエアキャリブレーションでは、ユーザーがモニター本体の輝度、コントラスト等を操作することが必要だが、ハードウエアキャリブレーションではその必要はない。



これは単に楽だということに留まらず、操作する人の熟練度によってキャリブレーションの精度が変わるという問題も回避できる。さらにユーザーによるモニター操作が不要のため、キャリブレーション時間そのものも大きく短縮できるのもメリットだ。キャリブレーションは2〜3週間おきに実施する必要のある保守工程だが、その都度、20分もかけて作業を行うのは正直面倒だ。CG241Wでのキャリブレーションは数分で終了するので、精神的に負担が少ない。ただし、後述するがColorNavigator CEではキャリブレーションの履歴を管理できないので若干物足りない。

今回、CG241Wでのキャリブレーションを繰り返して感じたのは、実はスキルが不十分であるほどハードウエアキャリブレーションの恩恵に与れるという点だ。もちろん、CG241Wをはじめハードウエアキャリブレーション型のモニターは高価で、必然的にプロ用のイメージなのだが、コンスタントに高精度な色再現を得る実際の運用はソフトウエアキャリブレーションより難易度が低い。



キャリブレーションが終了すると調整結果が表示され、プロファイルが作成される(任意の名前付けが可能)。同時にMacOS Xのディスプレイプロファイルに追加、選択されるとともに、CG241Wは4つある表示モードのうちキャリブレーションモードに切り替わる。

CG241Wの表示モードはCustom,sRGB,EMU,CALの4つ

Customは輝度、色温度、ガンマ値をユーザーが自由に設定できるもの。

sRGBは色域をsRGBの範囲に限定するもので輝度のみユーザー調整可能

既存プロファイルをエミュレーションするEMUは、機能としては搭載しているものの現状では使えない。ColorNavigator CEの次期バージョン(後述)で利用可能となるモード。

CALがハードウエアキャリブレーションの結果を反映するモード、このモードでは当然ながら本体で輝度等の調整はできない。

CALモードはひとつなので、例えば商業印刷物用に5000Kでキャリブレーションしたものと、デジタル一眼レフで撮影したRAWをプリントするために現像、補正するために6500Kでキャリブレーションしたものを切換ながら使うことはできない。再キャリブレーションを実施すると前回のプロファイルを上書きする仕様だ。

上位のCG221に付属するColorNavigator(現行版はVer.4)では履歴を使って複数のキャリブレーション設定を管理できるので、容易に切り替えて使用することが可能。このあたりが、ColorNavigator CEの限界で残念な部分だが、ナナオのアナウンスによれば2007年中にColorNavigatorとCEは統合され「ColorNavigator Ver.5」になるらしい。

この時に前述のエミュレーションモード対応と複数キャリブレーション設定のハンドリングが可能になるという。やや先の話ではあるが、近い将来の対応が約束されたことは安心だといえよう。

今回はキャリブレーションの実際までをレポートした。具体的な運用の中での評価や、プリンタマッチングについては次回レポートしたい。(9月頭 掲載予定)


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