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H氏からの手紙
February 2000 MACお宝鑑定団 
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PowerBook (FireWire) Architecture

●Mac Power誌に連載されている「改造道」の著者である今井氏が、PowerBook (FireWire)に関しての投稿を寄せてくれました。(内容に関しての御質問等は、直接御本人宛にメールをして下さるようお願いします。)


PowerBook (FireWire)はPowerBook G3 series(Bronze keyboard)に非常によく似ている。パッと見ただけでは判断がつかないほどだ。PowerBook (FireWire)が登場する以前、主なRumorサイトではPowerBook (FireWire)は革新的なフォルムをまとって登場すると囁かれていたが、現実は実にオーソドックスなルックスとなった。この結末に対しては、スケルトンを含むいくつかの選択肢の中から、最終的に仕事師がこのフォルムを選んだだけのことだという主張もある。試作段階ではいくつもの斬新なスタイルのPowerBook (FireWire)が作られていて、発表直前の段階で従来通りのオーソドックスなスタイルが選択されたのだという。本当にそうだろうか?

私は少なくとも半年前にPowerBook (FireWire)はこの姿で登場することが決まっていたのだと思う。PowerBook (FireWire)はPowerBook G3 series(Bronze keyboard)のフォルムをまとうために、それに合わせた設計がなされている。しかしそれはロジックボードデザインやシャーシデザイン(液晶部を除く)を含めた極めて大規模なものであり、デザイン仕様を決定してから出荷までに少なく見積もっても半年以上のリードタイムが必要だ。このことは仮にその前段階で色々な形状の試作モデルがあったにせよ、PowerBook (FireWire)の筐体設計が少なくとも去年夏には現在のスタイルでFixしていたと考えられる。ということは、ここ最近まで噂されていた全く新しいデザインのPowerBookの噂は、そもそもダミー(またはジャミング)、もしくは別のプロジェクト(それが淘汰されたかどうかは別にして)のものだった可能性が高い。

しかし、そのオーソドックスなルックスとは裏腹に、PowerBook (FireWire)のアーキティクチャは最新のものである。PowerBook G3 series(Bronze keyboard)のアーキティクチャが、Alchemyを起源とするPower Macintosh G3 (Beige)ベースのものであるのに対して、PowerBook (FireWire)のそれはiBookやPower Mac G4 (AGP Graphics)のそれと同じアップルオリジナルのCore99(UniNorth & KeyLargo)アーキティクチャである。去年7月発表のiBook、8月発表のPower Mac G4 (AGP Graphics)、10月発表のiMac (Slot Loading)、そして今回のPowerBook (FireWire)のリリースによって、Appleは4つの商品セグメントの全てをCore99ベースのUMAマシンへと刷新した。これによって、Appleをその窮地から救い、2年以上に渡って主役の座を勤めたPower Macintosh G3 (Beige)ファミリーはその幕を下ろしたのである。またこのことは、MacのハードウェアがCHRPから始まる互換機路線の遺産から解放され、アップル自身の手になる独自アーキティクチャへと回帰したことを意味している。

PowerBook (FireWire)の設計はPowerBook G3 series(Bronze keyboard)をAGP化したというよりは、どちらかと言えばiMac (Slot Loading)をノート型にしたものと言える。100MHzのシステムバスおよびメモリシステム、モダンI/Oなどの特徴はそのままに、PCカードスロット、IrDA、拡張ドライブベイ、バッテリーおよび液晶パネル関連回路など、PowerBookに特有の機能を付加したスタイルとなっている。

PismoFig.jpg


メインメモリには従来通りSO-DIMMスロットが採用された。しかし、上下段とも最大2インチサイズで、PC100対応SDRAMを最大1GB(512MB×2枚)をサポートする。形状的には従来のプロセッサカード形式に似ているが、実際には互換性のないプロセッサカードが採用されている。

PismoMather1.jpg


そのコネクタ形状はPower Mac G4 (AGP Graphics)のそれに酷似しているものの、信号自体は全く別のもので互換性はない。


PismoMather2.jpg


Power Mac G4 (AGP Graphics)のプロセッサカードコネクタ信号の大半はシステムバスだが、PowerBook (FireWire)のそれはPCIバス及びAGPバスとなっている。G3プロセッサ上には平らなアルミブロックが置かれ、ここからファンのある通風口に向かってヒートパイプが延びている。

PismoOpen.jpg


PowerBook (FireWire)ではPowerBook G3 series(Bronze keyboard)とは異なり、500MHzで動作するG3プロセッサの熱を効率よく排出するために、新しいCPU冷却システムを採用している。(ヒートパイプ自体はCometで初採用されている)また、Grackle以上に熱くなるUniNorthの熱処理のために、マグネシウムフレームがUniNorth下部まで延長され、接触放熱できるように変更されている。

AirMacCard.jpg


グラフィックには、Macとしては初めてRAGE Mobility 128が採用された。RAGE128コアエンジンを持ち、8MBのビデオメモリを内蔵する最新鋭のMobilityチップだ。これによってPowerBook (FireWire)はDVD再生支援機能を得て、全モデルでソフトウェアによるDVD再生が可能となり、PowerBook G3 series(Bronze keyboard)/400で採用されていたC-CUBE社のDVDデコーダーチップZiVA PCは不要となったのである。また、Mobilityシリーズ(Lを除く)の特徴であるデュアルディスプレイサポート機能によって、外部RGB出力(最大1280x1024ドット・フルカラー)あるいはビデオ出力(コンポジットまたはSビデオ出力、最大1024x768ドット・フルカラー)を、ミラーリングまたはマルチディスプレイとして出力することができる。G3/500MHz、最大1GBのメインメモリ、最大18GBのハードディスクというスペックは、ちょっとしたデスクトップマシンとして使うのにも充分な性能だ。

ところで、Power Macintosh G3 (Beige)アーキティクチャを捨てた事による影響がはっきりと実感できる部分がPowerBook (FireWire)にはある。それがSCSIインターフェースの廃止だ。現在のAppleではSCSIはレガシーインターフェースとして扱われているため、Core99チップセットのI/OコントローラKeyLargoには最初からSCSIインターフェースが内蔵されていない。従来SCSIインターフェース(HDI-30)があった場所には、FireWireインターフェースが鎮座しているのである。これで、全てのMacのロジックボードからSCSIインターフェースが消えたことになる。これら新しいアーキティクチャと新デバイスの採用によって、PowerBook (FireWire)はPowerBook G3 series(Bronze keyboard)に比べてより多くの機能を詰め込んでいるにも関わらず、部品点数は削減されている。これによって新しいラインナップのコストパフォーマンスは極めて高いものになった。

さて、今回Power Mac G4 (AGP Graphics)とiBookもマイナーアップデートした。だが、Power Mac G4 (AGP Graphics)のマイナーアップデートは「失ったものを取り戻しただけ」なので、今さら何も言うことはない。一方のiBookも、それほど目立ったアップデートではなかった。最初から用意されていた空きパッドにSDRAMを32MB追加し、





ハードディスク容量を倍増しただけのものだ。iBook/SEは、これのクロックアップ版。あえて366MHzで留めたところに、PowerBook (FireWire)との棲み分けというAppleの本音が見え隠れする。Appleがその気になれば、それほど開発費をかけることなく新型iBookでのDVD再生やFireWire搭載は可能だし、そのための準備はできている。だが現時点でそれをiBookに施してしまうと、4つのセグメントの境界があやふやになってしまい、過去の二の舞になりかねない。iMac (Slot Loading)にG4プロセッサを与えないのと同様、PowerBook (FireWire)にはiBookに対するアドバンテージを持たせておく必要があるのだ。だが、それがFireWireとDVDであるというのは残念なことだ。というのも、FireWireは新世代のMacであるためには欠かせないモダンインターフェースであり、DVD再生機能はコンシューマ向けモデルであるiBookにこそ必要とされる機能だからだ。裏を返せば、iBookがこれらを得るとき、PowerBook (FireWire)は新たな進化の段階を迎えていると言えるのかも知れない。

参考資料
Apple PowerBook (FireWire) Hardware Developer Note

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