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H氏からの手紙
January 1998 MACお宝鑑定団 
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SCSI Terminator

この内容はNIFTYのZAK氏が発言された内容を本人の許可を得て転載しています。
この内容に関する質問等は一切お受けできませんので御了承下さい。


●質問:
SCSI機器を使用するとき、両端にターミネーターを使用した方が良い理由を教えて下さい。
●回答:
SCSIにしろなんにしろ、デジタルの世界では電圧がかかるかかからないかで信号にしています。この時、ごくミクロの世界で考えると、実はこんな動きをしているんです。
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1     I________________ 0

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1         I_______ 0

まるで海の波がやってくるような感じですね。で、これが砂浜などの「なめらかに終端」しているところへ行くとすっとそのまま消えるのですが、岸壁などの「いきなり終端」しているところへくると、映画の冒頭のようにザッパ〜ンとなり波があばれます。暴れるだけではなくて、一部は反動で戻ったりします。こういうのを「波の反射」と言います。

ターミネータのないケーブルは、いきなり終端してしまっているわけで、この反射が非常に起きやすい状態にあります。

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1     I________________ 0


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1         I__I   1 反動(反射)が帰る


この反射による波の幅は、ごくわずかな時間です。したがってあまり高速でない回路の場合はほとんど気にする必要はありません。

ところが、回路が高速になる(=バスの転送レートが上がる)と、非常に小さな反動でも大きな意味合いを占めることになってしまいます。この反動の度合は回路そのもので決まり、回路の速度とはあまり関係がないからです。

したがって、高速な転送を行おうと思うと、信号波と反射波の区別をつけることが困難になってくるという問題があるわけです。そのため、回路の終端をなめらかに終わらせるために「ターミネータ」というものが必要になってくるわけです。

配線がいきなり切れていると波が暴れるわけですから、波のエネルギーを適当に逃がしてやれば良いわけですね。そのため、信号線と電源やGNDの間に適当な回路を入れ、やってきた波の「暴れる部分だけ」を吸い取り、電源やGNDへ逃がすようにしてあるわけです。

これがターミネータの役割なんですね。

時々、ターミネータを2個並べて付ける人がいますが、これをやるとその終端に来た波のエネルギーが余分に吸い取られてしまうことになります。逆にいうと、「本来の波を形作らなければならないエネルギー」まで吸い取ってしまうことがあります。つまり、信号が信号にならなくなってしまうわけですね。
あまりに大量にエネルギーを吸い取られると、ドライブ等の信号の出口が壊れてしまうこともありますので、注意しましょう。

あと、反射に関する余談を二つほど....

よく、「ケーブルは同じものでそろえるべし」という話を聞きます。ケーブルというのは、まぁ土管のようなものと考えてもらえばいいのですが、この時接続している土管の太さが変わってしまうと、あぶれた波のエネルギーは行き場を失います。これがやはり反射となって回路中を駆け巡ってしまうことになります。そのため、同じ太さの土管でそろえる必要があるわけですね。見かけ上同じ太さのケーブルでも、メーカーによって特性はまちまちですから、同じ種類のケーブルにそろえるのが間違いないと思います。

最近「ハイインピーダンスケーブル」などという話を良く聞きます。が、実はあれが本当は正しいケーブルなんです。安物のケーブルは、実はむやみに土管の直径が大きく、何が来てもすぐに素通ししてしまいます。ところが、これだと波が終端へ来たときのエネルギーが大きすぎ、派手に反射してしまうかもしれません。
そのため、土管の直径をあるところまで狭めることで、最初から大きなエネルギーの波が来ないようにしておく必要があるわけです。ハイインピーダンスというのは、強引に翻訳すると「高い抵抗」になります。つまり、土管を細くして、あまり大きな波がいきなり終端を襲うことのないようにしているわけですね。

>> SCSI の場合どれかが供給していれば問題ないはずですよね。

最近はそうでもないです。

SCSIのバスに接続されるデバイスが増えれば、それだけケーブルも長くなります。ターミネータパワーはケーブルのはしっこにあるターミネータへの電源ですので、最悪の場合長いケーブルを通って電源供給されることになる訳です。

SCSI上でターミネートされる信号の数は18本あります。昔のパッシブ型の場合、1本につき220+330Ωで接地されますから、合成抵抗は

   550÷18=30.6Ω

となります。ここに5Vを供給すると、

   5÷30.6=0.164A (164mA)

が流れます。これが両端にありますので、

   164×2=328mA

の電流が「常時」駆け巡ることになります。しかも、これは静的な状態での話で、実際に信号がかかると、Lowになった場合には220Ωで接地されるのと同じ事になりますので、

   220÷18=12.2Ω
   5÷12.2=0.409A (409mA)
   409×2=818mA

というわけで、瞬間的とはいえ、実に800mAもの電流があの細いケーブルを流れることになる訳です。もっとも、実際はどれかの信号がHiですので、ここまで流れることはありません。

これでは、どれか一つが電源供給していれば済む話ではなくなってしまいますね。少なくとも、ターミネータに近いドライブは必ず電源供給しないと、5Vそのものが電圧降下してしまい、ターミネータが正しく作動できなくなってしまいます。

ところで、今はアクティブ型のターミネータというものがあるのですが、これだとどうなるのかと言うのが気になると思います。

アクティブ型の特徴は、ターミネータ内部に電圧レギュレータを内蔵していることです。パッシブ型の場合、220/330Ωのプルアップ/プルダウンでターミネートしていますので、静的な状態での電圧は3Vという事になります。アクティブ型では、内部に3.3Vを発生するレギュレータを置き、そこから110Ωを通してバスに電圧を与えている格好になっています。

従って、常時流れる電流は、信号がフローティングしていれば「ほぼゼロ」と言う事になりますね。レギュレータの作動電圧は微々たるものですし。

信号印加時は、110Ωが18本ですから、

   110÷18=6.1Ω
   3.3÷6.1=0.541A (541mA)
   541×2=1082mA

となってしまい、一見パッシブよりも危険に思われるかもしれません。ところが、3.3Vにレギュレートしているわけですから、多少の電圧降下には充分耐えられます。最近はレギュレータ自体の電圧降下が0.2V程度の優秀なものがありますので、ターミネータラインには3.5V以上かかっていれば良い訳です。

この差分1.5Vが動作マージンになる訳ですね。パッシブ型では基本的に動作マージンが存在しないことを考えると、大きなメリットになると思います。

というわけで、アクティブ型のターミネータはこういう所にご利益がある訳ですね。パッシブ型をつけて悩んでいる人は一度アクティブ型を試されるほうが良いかもしれません。

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