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H氏からの手紙
January 1999 MACお宝鑑定団 
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Enter the Visual Workstation

●Mac Power誌に連載されている「改造道」の著者である今井氏が、Silicon Graphics社が発表したVisual Workstationに関しての投稿を寄せてくれました。(内容に関しての御質問等は、直接御本人宛にメールをして下さるようお願いします。)


 なぜ、今、NTなのか...

Visual Workstation(以下VisualWSと略す)は、同社にとって初めてのWindows NTベースのワークステーションです。同社は従来から、自ら買収したMIPS社のRISCプロセッサを自社WSに搭載してきました。しかし、SGI社の牙城を狙うメーカーはPCにWindows NTを載せ、価格面で対抗してきました。近年のグラフィックカードの急速な進歩もあり、OpenGLベースのNTマシン上にSGIプラットフォーム向けのアプリケーションが続々と移植され始めたのは今から3年ほど前のことです。

当初はそれほどの力を持っていなかったNTベースのGraphics WSも、ここ数年のPC高性能化と低価格化の波に乗って、SGIの独占体制を根底から揺るがす勢力にまで成長してきました。このところのSGIの低価格機種は真っ向からこれらPCベースのGraphics WSと対抗しなければならなくなったのです。これらに対するSGIの切り札が、今回発表されたVisualWSであると言えるでしょう。

■Visual Workstationのハードウェア...

一見するとSGIは従来の同社製品と同じように見えますが、内部はDOS/Vマシンに近い構成になっています。特にダイキャスト製だったメインフレームは、鉄板プレスのものになっています。そして、問題のロジックボードですが、一見するとPentiumIIデュアルマザーボードに似ています。しかし、独自形式のDIMMスロットを12基も備えている点、また基板中央に大きなヒートシンクとファンを備えたチップが幅を利かせている点など、通常のPCとは違うと思わせる部分もあります。

さて、問題のチップですが、これこそSGIの技術力の象徴「COBALT」チップで、このVisualWSのコアとも言える部分です。PCで言えば、チップセットのホストブリッジ(PCの場合は440GX、Macの場合はMPC106)にあたるデバイスですが、PCの場合は比較的高速なCPU(800MB/s)とメモリや低速なI/Oを接続するブリッジチップであるのに対して、VisualPCではこのチップが主役です。

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COBALTには強力なジオメトリエンジンが内蔵されており、SDRAMが3.2GBもの高帯域なバスで接続されています。ビデオメモリはこのSDRAMの中から割り付けられ、1.6GBもの高速なバスを介してビデオ回路へと送られます。また、サウンドやネットワーク、IEEE1394(FireWire)といった重要なインターフェースもビデオ回路とは独立した1.6GBのシステムバスに接続されています。ディスクデバイスはこのバスにPCIブリッジを介して接続されたインターフェースに繋がっています。で、CPUはというと、たった800MB/s(これはCPUの外部バスの制約)というバスでCOBALTに接続されているのです。

■CPUはおまけ...

つまり、VisualWSにとって、CPUはそれほど重要なデバイスではなく、メインメモリやAVインターフェースの次に位置づけられているのです。言い方を換えれば、CPUは強力なジオメトリエンジンをサポートし、WidnowsNTというプラットフォームを動かす為のアシスタントに過ぎないと言う見方もできます。MacやPCがCPUを頂点にして、ピラミッド構造のシステム構造を採っているのとは、実に対照的と言えるでしょう。

従って、VisualPCではCPUも増設できるようになっています。システムバスやメモリ帯域にまだまだ余裕があるので、CPUを増やしていけばいくほどその威力を発揮することができるのです。

■全ては最高のビジュアルのために...

そもそも、VisualWSがこのような構造になっているのには、要求されるグラフィック能力、特に3Dのリアルタイムレンダリング能力に対する要求がひときわ高いということがあります。複雑なポリゴンを持ったオブジェクトをスムースに動かす為には、PCなどのシステム構造ではボトルネックが大き過ぎるのです。VisualWSが備える驚異的なグラフィック性能は、全て高品位な画像を高速に動かすだけのために存在しているといっても過言ではないのです。 逆に言えば、このマシンでMS Officeを動かしたとしても、それほど驚異的には速くありません。同じ構成のマルチCPUと同等か、少し速い程度でしょう。VisualWSのハードウェアは、そういったニーズには完全にオーバースペックなのです。このマシンは、リアルタイムなビジュアル処理をさせてこそ、その威力を発揮することができるのです。


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