Mac Treasure Tracing Club
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2002年2月6日から8日までの3日間
サンシャインシティコンベンションセンターTOKYOで開催された
PAGE 2002に関する特集ページです。

カンファレンス「OpenType時代の文字」 レポート

・PAGE 2002におけるテクノロジーConferenceとしてOpenTypeはどのような物で、なぜ必要なのかについて解説する「OpenType時代の文字」が行われました。モデレーターは社団法人日本印刷技術協会 研究調査員 - 隈元斗乙 氏が務められ、パネラーとしては

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左から隈元氏、木田氏、中村氏、山本氏、豊泉氏

● Apple Computer, Inc. International Text Group - 木田泰夫 氏
● 株式会社モリサワ 営業二部 部長 - 中村信昭 氏
● アドビシステムズ株式会社 エンジニアリング 日本語タイポグラフィマネージャ - 山本太郎 氏
● 大日本スクリーン製造株式会社 メディアテクノロジー事業本部 IT事業部IT技術部ページネーション課 - 豊泉昌行 氏

というOpenTypeに関わるキーパーソンが勢揃いするという非常に豪華なカンファレンスとなりました。

カンファレンスは "OpenTypeについての概要説明" と "聴講者も交ぜてのディスカッション" という構成で行われました。

 まず、OpenTypeの構造について。

 OpenTypeはTrueTypeフォントフォーマット「sfnt」を拡張してPostScriptフォントデータをも持てるようしたもので、"Character To Glyph Index Mapping table"によってUnicodeのエンコーディングが可能としたものとなっています。sfntとはQuickDraw GX由来の"Spline FoNT"から名付けられたもので、テーブル構造になっており、そのテーブルに様々な機能を追記する事で非常に柔軟に各種拡張データを入れられるようになっています。例えばOpenTypeの特徴で有るベースラインやグリフ差し替え・位置設定などはこの拡張部分に情報として入っていますし、OpenTypeに含まれるCIDフォントもサブテーブルとして収録されています。

 ここで実際のカンファレンスとは順番を変えて、ディスカッションの初めに行われた「なぜOpenTypeなのか?」という話題に移ります。

 まずPostScriptが生まれたのは以前は印刷と言う処理が非常にマシンにとって重い処理だったのでプリンタその物を一種の印刷専用処理を行うマシンのように独立させた方が効率的で有ったからであり、PostScriptはプリンタの中に存在していて、接続されているマシンはホストとして単純にプリンタの中のどの文字を使うか指示するだけというように分業させているのが現在までの商業印刷でした。これはホストの種類を問わないという事や、ホストの処理が比較的軽く済むという事で現在でも有効な考えです。

 しかしTrueTypeは考えを180度変えて、フォントは全てホスト(PC)にインストールし、そしてプリンタを完全にホストがコントロールするというものになりました。

 PostScript的な考えは以前は非常に有効でしたがマシンパワーが向上した今日では、優位点よりも

・プリンタにフォントをインストールしなくてはならないので、プリンタのフォントの種類が依存してしまい、出力トラブルやデザインの幅の制限が増えてしまう

・インターネット、更にはPDF、XMLの登場などでファイル交換や編集などが一般的になり、プリンタに依存していると期待通りの出力結果を何処でも出せるという事が出来ない

などのという問題点の方が増えてきてしまっており、これを解決するためにもTrueType的なホストメインのものが、そしてプラットホーム依存を減らすためにもUnicodeやCIDをもサポート出来るものが必要という事でOpenTypeが必要とされている世界となりました。

ここで前の「OpenTypeの構造」に戻りますが、CIDフォントのうちホストのみで動作するものが "CID sfnt"、プリンタにダウンロードするものが "Naked CID" と呼ばれます。

 OpenTypeの構造に続いて、「グリフセット」についての解説が。

 まずはAdobe Japan 1-xについて。これはシステムの限界を基準に、漢字Talk 7.1やWindows3.1の登場などの情勢をフィードバックしつつ発展してきたものだと解説され、最新のものはAdobe Japan 1-4となります。詳細はAdobeの資料を参照するのが一番早いでしょう。

 続けてApple Publishing Glyph Set(APGS)、俗に言うMac OS X 20,000字形について。これはAdobe Japan 1-4を全て含んだ上に JIS X 0213(俗に言う "JIS 2000")を追加したものとなっており、拡張部分のほとんどはJIS X 0213をサポートするためのものとなっています。また、特徴的なものとしてSK漢字の中からAppleが取捨選択したものを1133字形や組版で必要とされるグリフ、写研文字など、更には2002年02月15日まで公開プレビューされている表外漢字字体からも33字形を含んでいます。ちなみに、表外漢字字体について意見を求められたパネラー陣は「個人的には色々言いたい事も有るが、過去との互換性と言う点では問題が無いのでAppleとしてはノーコメント(Apple-木田)」、「字形をいろいろ弄るのは本質的で無いので会社としてもノーコメント(アドビ-山本)」というリアクションでした。

 さて、APGSが何故制定されたかという点ですが、Appleとしては Mac OS で立ち上がって今まで続いてきたDTPを第1世代と定義し、Mac OS Xと同時にその欠点をカバーした第2世代への進化を行うために行ったとの事でした。Appleが考えた第2世代へ向けてのオペレーションとは

・外字処理の日常化を第2世代への進化と同時に解消し、外字処理は非日常処理とする

・プロでなくて日常的に文章を作成するエンドユーザーを対象とし、PDF・XMLなどの技術を使ってのデータ互換性を高める

の2点との事でした。これを実現するためにAppleは当初JIS X 0212を考えたもの、余りにも貧弱だったために採用を断念しかけた所に制定中のX0213を見る機会が有り、これが素晴らしかったのでMac OS Xでの採用が決定されました。しかし、このJIS X0213を採用するにあたりAdobeに相談したもの、Adobe Japan 1-4では不足していたので、Appleは拡張作業を行なったとの事でした。Appleは拡張内容をAdobeに通知しており、将来的にAdobeがAdobeJapanを拡張する際には収録する事を約束しているもののAdobeとしては「Adobe Japan 1-4の15,000字形という数でもタイプグラフィのクオリティをキープするのが大変な数。Adobeのフォントでも印刷業務向けのPro版ではAdobe Japan 1-4をサポートしているが、一般向けStandard版ではAdobe Japan 1-3であるし、今後これ以上増やす事は難しい。"Adobe Japan 1-5"という名称が出回っているが、Adobeとしてはそのようなものを制定する予定も、作業も行なっていない」との見解との事でした。

 また、Adobe japan 1-5と並んで、将来的に出る可能性が有るのかが気になるAPGSの次期バージョンについては「文章作成に必要なものはAPGSにて全て収録したと思っているので、APGS2.0などを発表する予定は無い。これで日常的な文章作成については外字を必要とするという問題が事実上無くなった。」との事で可能性は完全に否定されました。また20,000字形と言うのが多過ぎるのでは無いのかという指摘については「ディスプレイ用文字なども含めて多め多めに確保・制定したGlyph Setなのでフォントの利用形態によっては「Adobe Japan 1-4までで十分」という判断は勿論有るだろうし、そのようにAPGSの中から取捨選択したサブセットという考えは必要だと思う。逆に仏教書などを書こうとすれば当然収録されていない文字も多いので、そのような場合には外字を利用するというのは当然有り得る」との事でした。

 以上で、グリフセットについては一応話がまとまり、続けてフォントのリリースについて。

 フォントについてはアドビ・モリサワ・大日本スクリーンの各社から発表がありましたが、基本的に既にプレスリリースで出ているものと一緒。モリサワから「OpenTypeのファーストリリースはMacworld Tokyo 2002を目標としている」という発表があった他、OpenType化の際には過去との互換性を確保するために既存フォントと名称を変更する、OpenTypeのフォントパッケージについては現在検討中との発表がありました。フォントパッケージについては「今まではリリース時期が同じものをパッケージングしていたが、それではユーザーの要求を満たしているとは言えないので、現在組み合わせ方や価格について検討中」というのが新しい情報でした。

 以上で最初の技術解説は終了し、続けてディスカッションへ。

まずは今までの技術解説を前提に「なぜOpenTypeなのか?」との再確認から。上で挙げたような技術的な問題の解決は勿論の事ですが、ヒラギノをリリースしている大日本スクリーンの立場では「今までフォントをリリースしてもプリンタに入り切らないから出力できず、それによって普及も進まないという事が多々有ったが、OpenTypeによってそのような問題が解決する」という利点があるという話が出ました。

 Appleとしては「今までは書体が少なかったのでは無く、プリンタ依存の為に書体の選択肢が少なかっただけ。これが解決出来る。また、出力事故を防ぐために一々プリンタとデータのフォント一致チェックをする必要が有ったが、これがホスト優先のOpenTypeにする事によってワークフローの簡略化が図れ、これによるコストと手間の削減効果は凄い。更に今までは文字コードの狭さから外字利用が日常化して、データの使い回しを行おうとした際の障害となっていたという問題が解決する」という3点の問題が解決するのが利点であり、「(これらをフルサポートした) Mac OS X にてDTP第2世代を造り出す」との事でした。

 モリサワとしては「写植時代には勝手に文字コードを制定できたが、DTPではそうは行かない。今までの文字コードでは文字も組版を行うためのデータも足りなく、Adobeなどに色々と解決法の提案を働きかけてきたが、これがOpentypeでようやく実現された。『ホストベースになる』や『フォーマットがOpenTypeになる』というのはモリサワにとっては大した事はなく、それよりも写植のような豊かな表現が出来るようになった事の方が意味合いが大きい」との事でした。

 ここでモデレーターより「今までプリンタのディスク容量からシェアの固定が有ったが、これからはプリンタの制限から解放されるから、どんどん良いフォントがリリースされる良循環になるのでは無いか?」という考えが示されました。

 Adobeから「OpenTypeによってPDFが更に成熟して、データの互換性が高まる」との意見が上がったのを受けて、一部の聴講者からは「PDFのワークフローは既に走り始めているのだから、もっと積極的にOpenType化を早く押し進めて欲しい」との指摘が有りましたが、これについては「技術の完成について足並みを揃えるのは難しく、現状ではPDFのみが先行してしまっている状況となっている。PDFはOpenTypeによって更に成熟すると考えられるので、出来るだけ急いで対応する」というのが回答でした。

 OpenTypeの価格設定について「今までより文字数が2倍近くにまで増えているのだから、価格設定も2倍にしたかったが、CID, New CIDと続けてリリースして来たのだからそういう訳にも行かない。今回は技術的には今までのものを使いまわせるという事と、OpenTypeの世界が普及する事を狙う戦略価格として、増えた文字分の価格程度に抑えた(モリサワ)」という発言を受けて「今までが高すぎたのでは?」という指摘も有りましたが、「今まではプリンタ用・ホスト用のフォントを作り分けなくてはならず整合性チェックなどがあったし、更に販売後のサポートなども考えると価格として見える差以上の開発コストが掛かっていた。これが一つで済むので有るから、OpenTypeの価格を見て『今まで高すぎた』という事は無い」という指摘が木田氏より行われました。

 しかし、モリサワの意見として「ホストベースのOpenTypeとなる事でインストール数が増えて、導入コストとして考えると今までと大して変わらない可能性もある」という指摘や、大日本スクリーンより「しかし、ワークフローのシンプル化が行えるので、導入後のコスト削減効果が期待出来る」という意見も出ました。Appleとしては「(NetInfoを利用する事で)共有フォントフォルダを持てるので、必要なフォントは共有するという解決法が有る」というMac OS Xならではの可能性が示されました。

 この後はAJ1-4とAPGSという2つの規格が有るのはどうかという話題が出ましたが、フォントの目指す利用形態によってはどちらの規格も全てをサポートする必要は無く、サブセットという考え方を導入するのもアリでは無いかという意見が出されました。

今後の展開としては、Appleは「データの移行や(入力などの)総合的な環境を如何に実現・実装するかが課題であるが、現時点ではDTP第2世代への仕込みは完了した。」と、Adobeは「組版がもっと出来るような環境整備が今後も必要で有り、研究を続ける。Adobe Japan 1-4についての意見が有ればどんどんフィードバックが欲しい」との事でした。

カンファレンスは最後に木田氏より「ヒラギノでもサポート出来ていない漢字であっても、65,000文字も漢字が含まれているUnicodeの何処かに有る可能性は非常に高い。例え表示・印刷されなくともUnicodeのコードとして入力しておく事はXMLなどを利用してデータとして入力する事は意味が有る」という追加の一言でカンファレンスは終了しました。

Appleの木田氏は「Mac OS XによりDTP第2世代を作る」という事を非常に強調されており、今回のカンファレンスは20,000字形のサポートというのも話題づくりではなく、きちんとした未来を作るための作業であったのだと非常に分かりやすく理解出来る興味深いものでした。


次世代DTPソリューションセミナーパビリオン - Mac OS X Solutions at PAGE2002 レポート

エルゴソフト

 Mac OS Xの20,000字形をサポートした "EGBRIDGE Ver.13 for Mac OS X" などの初デモが行われていました。

 EGWORD Ver.12 for Mac OS X, EGWORD PURE Ver.7.0 for Mac OS X 及びInDesign 2.0などUnicodeに完全対応したアプリケーションとEGBRIDGE Ver.13を併用する事で、Unicodeグリフを完全に、更にはApple拡張フォントも入力できるようになります。EGWORDのファイルの保存については、Adobe InDesignと完全な互換性を持たせる事が出来る他、ヒラギノのフォントを完全に埋め込んだPDFファイルに書き出す事でマルチプラットホームの表示・印刷をサポートしているとの事でした。

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モリサワ

 プリンタへのダイナミックダウンロードなどの特徴を全てサポートし、Mac OS 8.6からMac OS XまでをサポートしたOpenTypeフォントを発表していました。なお、ClassicOS向けとMac OS X向けのフォントインストーラは同一のCD-ROMに収録されているものの、別のインストーラとなっているとの事でした。

 OpenTypeフォントのリリースは2段階となっており、ファーストリリースは「リュウミンL-KL, 中ゴシックBBB, 太ミンA101, 太ゴB101, じゅん101, 見出ゴMB31, 見出ミンMA31」の7書体のセットがCD-ROMにて\45,000-で3月20日以降に、セカンドリリースの21書体は夏から秋にかけて1書体\26,000-にてリリースを行われる予定となっています。なお、ファーストリリース日の正式な発表は2月末に改めて正式発表されるとの事でした。

 現在のフォントユーザーに対しては、セカンドリリースまで行った後に優待販売を行う予定となっているものの、ファーストリリース7書体についてはセット販売のみで単体販売及び優待販売は行われません。NewCIDについては「発売を中止という事は無く、需要が有る限りOpenTypeとの併売・サポートを続け」、「OpenTypeをリリースするからと言ってもOpenType一本化する訳では無い」との事でした。

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ソフトウェア・トゥー

 Mac OS Xもサポートした "Extensis Suitcase 10.1J Macintosh版" のデモを行っていました。

このバージョンアップによって多数の箇所に分かれてフォントがインストールされるMac OS Xにおいてもフォント管理が容易になる他、Classicのシステムフォルダ内フォントフォルダにインストールされたフォントをも管理する事が可能になります。

 また、QuarkXPress, Illustrator用のプラグインを含んだり、Mac OSの持つFontSync機能を活用する事で書類を開くのに必要なフォントを自動的にアクティブにするオートアクティベート機能などをサポートするなど、Mac OS X対応と同時に先進的な機能をフルに活用したアプリケーションへのアップグレードを果たしたバージョンアップとなっているとの事でした。

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