椙山女学園大学附属小学校、1人1台iPadを導入したICT活用事例
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椙山(すぎやま)女学園大学附属小学校(以下:椙小)におけるiPadを導入したICT教育活用事例として、福岡なをみ教諭の授業を取材しました。
2013年に新校舎となり、エプソンの電子黒板機能対応短焦点プロジェクター「EB-485WT」や、Cisco Aironet 3600 シリーズなどが設置され、2014年10月から、iPadを使ったICT教育が導入されているそうです。
椙小では、椙山女学園大学教育学部との共同研究として、早くからiPadを導入した授業を行っており、児童と先生との関わり方や、授業の進め方など、多くの知識や経験の情報収集が行われています。
算数の授業では、児童達が、パイオニアVCの協働学習支援ソフト「xSync」を使用し、問題に対する解答をiPad上に書き込みます。
iSightカメラで撮影して、ノートを取り込む児童もいました。
2016年から、4年生以上の児童に1人1台iPadが導入されているため、最初は、児童個人が問題に対して取り組み、その後、4人が1組みとなり、それぞれの解答内容について議論します。
先生の端末には、iPad上に書かれた全児童の解答結果が表示されており、また、同じ内容が黒板上のプロジェクター映像としても表示されます。
この方法によって、各教科ごとに児童の進捗状況を確認することが可能で、解答するのに時間が掛かっている児童の側で指導するといったことが可能になっているそうです。
個々の解答結果を、当てられた児童が、黒板の前に立って解説を行います。
児童が解答結果を発表するにあたり、ノートをドキュメントスキャナーで写し取って表示する方法もありますが、児童によっては字が小さかったり、図の色が薄かったりして、後ろの席の児童に見づらい状況になるため、
椙小では、i-FILTERに対応した協同学習支援ツールアプリ「TabletSync」を導入し、解説が行われる解答結果の画面を、全児童のiPad上に同期させ、手元のiPadで確認することが可能となっています。
各児童のノートは、黒板に書かれた内容を写しとるのは同じなのですが、プレゼンテーションを行うことを前提にしているiPad上の解答表現は、各児童バラバラといった感じでした。
正解を導く方法を記載するのは勿論のことですが、その手段については、式で表すだけでなく、グラフを使って導き出す方法など複数にわたり、結果として、どの解答の説明が、もっとも分かりやすかったのかを全児童が確認しながら学習することが可能となっていました。
これは「児童に1人1台iPadが導入されたことで、児童全員で考えることが可能」となっているのです。
椙小では、体育の授業などをiPadのiSightカメラを使用して動画撮影を行い、児童個人の動きを確認するといった授業が行われています。
これは、オリンピック選手の強化練習でも導入されている手法ですが、その動画の個人プライバシーの問題を解決するため、児童に1人1台iPadが導入されたそうです。
この判断により、算数の授業で、最初に児童個人で考え、その後グループ議論といった学習方法が可能になったというメリットが生まれています。
児童のiPadは「MobiConnect for Education」によってMDMコントロールされていますが、夏休みなどの長期休み時には自宅に持ち帰ることが可能で、自宅のパソコンと接続して、写真アプリに保存されている動画や写真を共有することが許可されているそうです。
これまで、親が子供の学習進捗状況を知る手段として、面談であったり、連絡帳などでしか得られなかったのが、この写真アプリ共有を許可することで、成長過程を視聴覚で感じられる履歴として確認することが可能になっています。
レゴエデュケーションのレゴブロックを使ってプログラミングを学べる教材「WeDo 2.0」を使った授業では、最初にアンプラグドプログラミング学習として、iPadアプリ「LEGO Education WeDo 2.0 FULL」で使用する、1つのプログラミングブロックで1つの指令を出す「プログラミングブロック」をパネル化し、まず、そのパネルを使ってどうなるかの課題が出されます。
今回の課題は「メッセージブロックのはたらき」についてで、手紙アイコンのブロックをどう組み合わせると良いのかについて、フローチャート式の図が書かれた紙の上に書き出します。
椙小では、最初、ただ紙の上に書き出すだけだったそうですが、フローチャート式の用紙を使う事で、プログラミング思考における考え方のガイドを自然に学習させることに成功しているそうです。
実際にアプリ上でブロックを並べる段階で、一直線で並べるといった考え方だけでなく、複数実行する発想が自然に生み出されていました。
また、プログラミングブロックに「WeDo」と名前を付けた場合は、同じ名前を付けている児童のiPad上で、同時にプログラミングが実行されてしまうのに対して、特定の名前を付けた場合は、特定のiPad上でしかプログラミングが実行されないといったことを実体験として学ぶことが出来ていました。
これは、教室に複数のiPadがあるからこそできる学習体験だと思います。
なお、椙小の児童は、iPadを持ち歩く時に、手を交差させ、抱えるように持ち歩いていました。これは、児童が自主的に考えた結果、こうして持ち歩いた方が落下を防ぐことが出来るということが分かり、椙小持ちと呼んでいるそうです。
文部科学省は、2016年4月に2020年から小学校での「プログラミング教育」を必須化することを検討すると発表し、ICT教育への関心が急速に高まっています。
福岡なをみ教諭に、2020年に必須化されるにあたり、どのように学習評価するのかについて質問したところ、椙小では、プログラミング学習で学んだ知識を言語化して表現する方法を進めており、それによって評価出来るのではないかと考えているそうです。
取材協力:教育産業 山口宗芳氏
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