名古屋経済大学市邨中学校、全生徒にiPadの配布を実施した結果、学力が飛躍的に向上
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名古屋経済大学市邨中学校のiPadを活用した授業を取材しました。
名古屋市千種区にある男女共学の私立中学校で、創立114年目となる歴史ある私立中学・高校として知られています。
同校がiPadを導入したのは2013年で、最初は40台を共有する形でしたが、2016年に全生徒へのiPad導入を決定し、2017年に中学校へ導入、2018年に高校へ導入し、2018年には、中学・高校の全コース全学年への導入が完了しています。
1400台のiPadが稼働する本校では、中学校での活用が積極的に行われている感じです。
教科指導部主任の矢田修先生にお話を伺ったところ、3年間の試行錯誤の結果、全生徒にiPadを提供し、一部の授業でiPadを活用するのではなく、全授業でフル活用することに決めたそうです。
その結果、生徒が同校を志望する理由の2位に「iPadの導入」がランクインするまでになっているそうです。
ただ、iPadを活用するだけではなく、従来の教育方法にも変革が必要だと判断し、5教科重視から「標準単位数+探究学習」とした単位数の見直しを実施したそうです。
様々な試行錯誤と、先生達の積極的な取り組みの結果、ベネッセ「学力推移調査」の推移による調査から、3年間iPadを導入してきた中学生と、未導入の同高校生との比較して学力差が明らかに違う結果が出たそうです。
数学の学力差は顕著で、国数英総合で見た場合でも差は明らかとなったそうです。
名古屋経済大学市邨中学校の授業を取材させてもらいましたが、とにかくずっとiPadを使っているという印象でした。
実は、通常の授業を見学するために、取材することは打診していましたが、いつ取材するかは近々まで伝えていませんでした。
様々な学校取材をしてきた学校の中で、放課の時間でも生徒がずっとiPadを使っている姿を初めてみました。
これまでは、授業終了後に充電カートに収納するパターンが多かったからです。
教室を良く見ると、iPadを充電するための充電ステーションなどはありませんでした。
同校では、モバイルデバイス管理(MDM)に「mobiconnect」を導入していて、通常のApp Storeには制限が掛けられています。
生徒は、Safariベースのゲームなどを活用したり、次の授業の予習などを自由に行っていました。
充電カートに一時的に置くことが想定されていないことに一番驚きました。
Office 365 のビデオ サービス「Microsoft Stream」をイントラネット活用し、動画による課題提出も実施しているそうです。
これらは、先生だけでなく生徒も閲覧可能で、生徒がイイネを付けたりコメントしたりできます。
他の生徒の作品を見ることで、新しい発想が生まれたり、アイデアを共有したりすることが自然に身につくのではないかと感じました。
また、現代社会におけるITリテラリーの向上にも確実に役立っていると感じます。
中学主任の中川琢雄先生の授業では、Keynoteを活用したクイズを作るプログラミング学習授業が行われていました。
課題は同じなのですが、クイズの進め方に生徒の工夫がされていて、それらを生徒達が体験し共有することでIT学習が自然に生まれていると感じました。
同校では、生徒の保護者や学校関係者の向けに1年間の中学生の活動成果を報告する「ICHIMURA J.H Open Day」が開催されています。
その発表グループによるチラシが廊下の壁に貼り出されていました。
これらは主にPagesで作成されていますが、このチラシ作成一つとっても「デザインを学ぶ」学習が自然発生していると感じます。
ある3年生のiPadを見せてもらったところ、耐衝撃ケースの代名詞「URBAN ARMOR GEAR」のケースがボロボロの状態でした。
UAGのケースが、ここまでボロボロになるということは、どれだけ使い込んでるか一目瞭然です。
同校の推奨ケースがUAGなのも良く理解できます。
中川琢雄先生、矢田修先生に今後の課題点を伺ったところ、積極的に導入している中学校に対して、生徒数が10倍以上にもなる高校では、各先生のiPad活用に差があり、iPadを全生徒に配布したが、授業における活用に消極的な先生もいるそうで、全校一丸となってICT教育に取り組むまでには至っていないことなどを上げていました。
同校では「Use ICT in Education@Ichimura」と題し、積極的にICTの活用を通じて授業の充実を目指す公開勉強会を月に1回のペースで開催しているそうです。
ICT教育に取り組みたいと考えている先生方に学校種や立場を超えて参加して欲しいそうです。
こうした運営側の問題点なども隠匿せずオープンにし、解決に向けて努力している先生方の姿に感銘を受けた取材でした。