LinkShare Forum 2009:カンバセーショナルマーケティング―ネットマーケティングの鍵は会話にある―
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LinkShare Forum 2009において、アジャイルメディア・ネットワークの徳力社長によって、「カンバセーショナルマーケティング-ネットマーケティングの鍵は会話にある-」と題した講演が行われました。
AMNについて、メディア的にブログを書いているブロガーの方を中心に、81サイトと一緒にインターネットを使ったマーケティングを考えている会社で、2006年にペイパーポストと呼ばれるお金を払って記事を書いてもらうことが大流行し、そうした使い方ではないマーケティングの会社を作りましょうという考えが起業の発端になっていると説明していました。
この双方向性が重要で、4マスを使った一方通行なマーケティング手法をインターネットに持込んでも、あまり意味はないと考えた方が良いと述べてました。
従来の手法を「マスマーケティング」と呼び、ソーシャルメディアを通じて、顧客や利用者と双方向のコミュニケーションをとる手法を「カンバセーションマーケティング」と呼ぶと説明していました。
・クチコミマーケティングの誤解
報酬を渡して記事を書いてもらうペイパーポストは「クチコミ」ではなく記事広告であると述べ、リンクシェアが行っている「レビュー・アフィリエイト」は体験をベースにしているので問題はないとは思うが、悪質なペイパーポストになると、SEO効果をうたって、体験も何も無しに報酬を払ってプレスリリースなどを書いてもらう事を依頼し、依頼されたブロガーは、広告記事とは書きたくないので、プレスリリースを編集するなどして、ほぼコピペでそれっぽく書いてしまっている場合があり、そうすると同じような文章で、欲しいですといった内容の記事がたくさん生まれてきて、やらせという印象が残ってしまうことは問題だと思うと話していました。
企業イメージにも影響があって、実際に顔を突き合わせて話している相手が薦める物が、実はお金を握りしめて薦めていたと知ったら、信頼関係は無くなってしまうと思うが、インターネットだとそれが行なえてしまうという事が問題なんだと思っていると話していました。
一気に盛り上がったというイメージがある、ミクシィ、Skype、YouTubeなどは、実は認知されるまでに1年ほど時間がかかっているのが実態で、ユーザーそのものを獲得することで完了する場合であれば良いが、ユーザーを獲得しただけでは利益が生まれない成果型ビジネスの場合、もっと深く掘り下げる必要はあると思うと述べていました。
また、モバゲータウンでアバタープレゼントを絡めたマーケティングを行なった場合、その商品に興味が有るわけでなく、アバターが欲しいから集まってきただけなので、それを手に入れてしまったら去っていってしまい、目的が上手く果たせないといった事もあるので、そうならないように導入前に企画を練る必要があると思うと説明していました。
電通のマスマーケティング手法に「AISAS」というのがあるが、これを見ると、認知数だけ上げることに注力すれば、その割合比率的に購買数が獲得出来るという方法論だが、これはマスマーケティング手法で、このAISASをピラミッド型にしてクチコミマーケティングを考えると、ピラミッドの間に人がいると考えると良いと思うと述べていました。
このピラミッドのトップにいるのが、情報を発信してShareしてくれる人だと考えると理解しやすいと解説していました。
Google AdSencseは、3番目にある検索する層にダイレクトに広告を打つ事が出来るので効果が高いと説明してました。
企業が重用視するのは、ファンだと考えると述べ、よくある手法として、一般のブロガーの人に製品を提供するなどして、まずファンになってもらう事を意識しがちだが、実は、そもそもファンである人に、なんらかの形で、情報を発信してもらえるように促し、ファン兼ブロガーになって貰えるよう努力した方が良いと考えていると説明していました。
・カンバセーショナルマーケティングの5つの戦略
カンバセーショナルマーケティングに関しては「グランズウェル」という本を読んで、戦略を練ってもらいたいと説明していました。
インターネット上のマーケティングにおいては、利用者の声に耳を傾けるのが最大の戦略だと思っていると述べ、従来のマスマーケティングでは、相手の話しを聞かないで、いきなり話しかけた後にアンケートを行なったりして、利用者の声を拾っていたが、実際の本音を聞くことは難しかったと説明していました。
それに対して、インターネットマーケティングでは、ミクシィの日記検索なり、クチコミ情報サイトを検索してみて、本音に耳を傾けるのが重要なポイントだと説明していました。
相手の話しを聞かないで、いきなり話しかけるとインターネットマーケティングでは失敗するケースがあるので、まず話しを聞き、企業自らが、公式サイト、ビジネスブログ、SNSのコミュニティなどを用意して情報を発信してゆくようにするのが良いと説明していました。
利用者が他の人に紹介しやすい仕組みを用意したり、ファンに向けて積極的に情報を発信する努力が必要だと述べていました。
ナイキの「ブカツブログ」といった感じで、コミュティを運営したりして、利用者の会話を支援する場を用意するのも重要だと説明していました。
利用者をマーケティングに巻き込む「Cisco Human Network」や、利用者をサービス企画に巻き込む「Dell IdeaStorm」などを紹介し、利用者自体を販売や宣伝に巻き込む場を提供するのも良いと説明していました。
カンバセーショナルマーケティングの成功事例として「dove evolution」や「Dove Pro-age Campaign」などを紹介し、これらは、誌面広告、マスメディア広告で別々に考えるのではなく、全てトータルで考えるべきで、利用者がいるところにターゲットをしっかり当てることが重要だと説明していました。
カンバセーショナルマーケティングのアプローチについては、製品やサービスについてはアクションに対して、自社メディアやサイトについては検索に対して、PRやクチコミに関してはインターネットに対して、広告は製品を知らない人達に対して展開してゆくと考えると企画しやすのではないか?と説明していました。
AMNのキャンペーン実施事例として、ブロガーイベントを通じて、クチコミを発生させ、トラックバックハブといったアーカイブサイトを用意し、クチコミの集約を行い、ソーシャルバナーによって、クチコミの露出を行っていると説明していました。
ネットマーケティングを行なう場合、ユーザーの声を聞き、反応を見てからマスマーケティングの露出を考える方が好ましく、売れた成果だけを見て判断するだけではなく、マスメディアを使った露出の後に、インターネットを通じて耳を傾け、効果を判断するのが良いと説明していました。
アットコスメの話しとして、20代向けの化粧品を30代に受ける女優を使ってマスマーケティングを行なってしまった場合、その化粧品を30代の人が買って使用してしまい、肌に合わずクレームになる場合があった事があり、これは「認知されてはいるけれど失敗したケース」だと紹介し、悪いクチコミが広がってしまったという事例を紹介していました。
従来は、30代の人にも買って貰え、とても売れた商品でしたで良かったのかもしれないが、フィードバックを取る事によって、実際は30代の人に評判が悪いことが確認できたと説明していました。お客様センターでフィードバックを取っているとはいっても、ユーザー側からしてみれば、インターネット上で、ぼそっと言いやすいという事もあるので、必ず、インターネット上の声に耳を傾けて聞いてみるのが重要だと思うと話してました。
・クチコミとアフィリエイトや広告の役割分担
アフィリエイトで勘違いされるのは、「アフィリエイト広告」と呼ばれるので、認知を拡げる目的で使用している人が多いが、AISASピラミッドに当てはめて考えてみると、検索連動型広告は、検索にマッチするが、検索させようといった動きを加えるのは難しいと述べていました。
バナー広告商材は、インターネット、アテンションの部分で、市場を大きくしたいという思惑がある場合に有効で、テレビCMは、一番下の製品を知らない人に対して行い、画面全体を製品で占めるという手法は、バナー広告では難しいので、まったく知らない人にアプローチしたければ、マスメディアを使う手段も有効だと思うと説明していました。
ECサイト側がアフィリエイトの取組みに関して考えて欲しいのは、プログラム自体を知ってもらう事、アフィリエイターの記事のポジション、アフィリエイターの広告枠の立ち位置の3つで分けると効果が高くなるのではないかと思うと説明していました。
事例として、火が点くとその話題が多くエントリーを書く事が多い[N]ネタフルのW-ZERO3、記事をたくさん書いた後にアフィリエイトの存在を知った[mi]みたいもん! の「iKnow!」、動画を多く取り入れられている、WADA-blogの「ビリーズブートキャンプ」などを紹介し、こしたコンテンツは、ロングテール現象で有効的だと紹介していました。
アフィリエイトパートナーに対しての考え方としては、アフィリエイトプロは非常に少ないと考え、注力するのは「ファン兼ブロガーでアフィリエイトを活用されてる方」に対して、積極手にアフィリエイトプログラムの存在を知ってもらう事が大事ではないかと考えていると述べてました。
・効果測定の考え方
効果指標の注意点として、現在は、ページビューとコンバージョンの2つの効果指標が重要視されがちだが、ぜひ中間指標を作成し、層にあった効果指標を考えて欲しいと述べていました。