Mac OS X

OS X El Capitan採用フォント「筑紫A丸ゴシック、筑紫B丸ゴシック、クレー、ヒラギノ角ゴシック」について

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Appleが発表した「OS X El Capitan」は、クレー筑紫A丸ゴシック筑紫B丸ゴシック游明朝体+36ポかなに加え、ヒラギノ角ゴシックのウェイトが追加されます。

これらは既に販売されているフォントのため、フォントワークスのライセンス製品「LETS」、モリサワのライセンス製品「MORISAWA PASSPORT」を使用してスタイルチェックを行なってみました。

なお、かな書体「游明朝体+36ポかな」(漢字,英数字は含まれない)はチェックしていません。


クレー:ミディアム

クレー:ミディアム

フォントワークスのフォントが、OSに採用されたのは初めてで、また「読みやすく美しい」から「使いやすいデザイン」という理由(参照)で選ばれている点も特徴的です。

LETSの硬筆書体「クレー」(ミディアム、デミボールド)は、文字の起筆部と終筆部に鉛筆で書いた文字特有のアクセントをもったデザインが採用されています。


クレー:デミボールド

クレー:デミボールド

文字セットはAdobe-Japan1-4(Pro)となっています。

硬筆書体としては「花風ペン字体」「花風マーカー体」もありますが、Appleは、ペンやマーカーではなく、鉛筆文字を選んだと考えられます。

手書き風でありながら、楷書体や教科書体とは違う印象を持った雰囲気で利用出来ます。


筑紫A丸ゴシック:レギュラー

筑紫A丸ゴシック:レギュラー

フォントワークスのフラグシップフォント「筑紫シリーズ」の「筑紫A丸ゴシック」(レギュラー、ボールド)は、ふところを絞ったデザインの丸ゴシック体で、オールド調でありながら、詰めを必要としないバランスをもったシンプルなフォントです。

文字セットはAdobe-Japan1-3(Std)となっています。


筑紫B丸ゴシック:ボールド

筑紫B丸ゴシック:ボールド

Appleのこだりを感じさせるのが「筑紫B丸ゴシック」(レギュラー、ボールド)も採用したことで、このフォントは、漢字字形にかんしては、筑紫A丸ゴシックと同じで、かな文字が、よりオールドスタイルで、英数字はエジプシャン系のデザインが採用されています。

游明朝体+36ポかな採用からも分かるように、かなり「かな文字」に拘っているようです。


ヒラギノ角ゴシック:W1

ヒラギノ角ゴシック:W1

SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズの「ヒラギノ角ゴ」フォントは、より多くのウェイトが追加されます。

従来のW3(Pro/ProN)、W6(Pro/ProN)、W8(Std/StdN)に加えて、通常サイズにはない「W0」を含む、StdN仕様のW1、W2、W4、W5、W7、W9が加わり、フルサイズ仕様となるようです。


ヒラギノ角ゴシック:W9

ヒラギノ角ゴシック:W9

また、これまで、グリフ数および字形違いのため「Pro/ProN」「Std/StdN」のOTFファイルを、それぞれ含んでいましたが、OpenTypeの「TrueType Collection 2.0」を利用しているようで、英ファイル名を、1つのパッケージに含める事で、W8 Std指定でも、W8 StdNで表示される仕組みを採用しているようです。

下記に追記しました。


ヒラギノ明朝ProN:W3

ヒラギノ明朝ProN:W3

この仕組みは、ウェイト追加されていない「ヒラギノ明朝」「ヒラギノ丸ゴ」でも採用され、ディスク消費を削減することに貢献しているようです。

ただ、フォントバージョンは新しくなるため、文字によっては字形が変わる可能性もあるのではないかと予想されます。


筑紫A丸ゴシック、筑紫B丸ゴシック、クレー、ヒラギノ角ゴシックで「心、む、『』」の字形比べを行なってみました(OS X El Capitanと同じかは不明です)

クレーの「心」は、楷書体と明朝体を合わせたような特徴的な字形であることが分かります。

筑紫のAとBを比べてみると、Bのひらがな字形がよりオールド調で、約物字形はかなり違うことが分かります。

ここからも、Appleは、日本語表記において「かな文字」が重要だと考えていることが伺えます。

ヒラギノ角ゴシック体は、Retinaディスプレイ化による詳細表示により、より細かい文字表現が可能になり、Appleは、フルウェイトが必要と判断したようです。

それだけではなく、従来の印刷や従来ディスプレイでは判別出来ないような細い「W0」を加えている点もRetina時代がもたらしたと考えられます。


Update:OS X El Capitanリリース後、OS X Yosemiteとヒラギノフォントの構成を比較してみました。

OS X El Capitanには、ヒラギノ明朝 Pro W3/W6、ヒラギノ角ゴ Pro W3/W6、ヒラギノ角ゴ Std W8、ヒラギノ丸ゴ Pro W4は含まれず、ヒラギノ角ゴシック W0/W1/W2/W3/W4/W5/W6/W7/W8/W9が新しく追加されていました。


フォントパネル

フォントパネル

OS X El Capitanのフォントパネルを見ると、フォントファイルとしては存在しない「ヒラギノ角ゴ Pro W3/W6」が指定出来るようになっています。


Photoshop

Photoshop

また、Photoshopなどのアプリケーションのフォントメニューを見ると、ヒラギノ明朝 Pro W3/W6、ヒラギノ角ゴ Pro W3/W6、ヒラギノ角ゴ Std W8、ヒラギノ丸ゴ Pro W4がフォント名として表示されます。


SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズの三橋洋一氏のツイートによると「W0」は、ヨコカク_タイプデザインShotype Designによって制作されているそうです。


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