アドビシステムズとGoogle、日本語、中国語、韓国語を1つのフォントで表示可能なオープンソースデジタル書体「Source Han Sans」(源ノ角ゴシック)を発表
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アドビシステムズとGoogleとが協力し、画期的なオープンソースデジタル書体「Source Han Sans」(源ノ角ゴシック)を発表しています。
日本語で用いる文字(約1万7千文字)、中国語で用いる繁体字(台湾と香港SAR)と簡体字、韓国語で用いる文字(ハングルを含む)だけでなく、ギリシャ、ラテン、キリルの各文字もサポートし、OpenTypeフォーマットとしては最大数の65,535文字をフォントごとにデザインされています。
アドビシステムズの日本語タイポグラフィ・シニアマネージャー山本太郎氏は、フォントを開発することになった背景として、日中韓(CJK)の読者は、世界の人口の約1/4を占めており、これらの言語で用いられる文字の数は、数万にのぼると説明しました。
東アジア向けのフォントは大規模で複雑且つ高価であり、中国の文字を期限とする漢字が用いられ、東アジア諸国の言語をカバーするフォントのニーズがあると説明しました。
経緯として、およそ4年前に、グーグルはオープンソースの「Pan-CJKフォント」に関心を示し、アドビシステムズはオープンソースの「Source Sans Pro」の開発に既に着手していたが、進んで議論したと説明していました。
理由としては、必要なリソースを共同で負担すれば、実現も可能になりやすく、アドビシステムズがプロジェクトの進行を管理し、書体デザインと技術上の専門的な知見を提供し、グーグルはパートナー各社による開発費用を提供し、要件定義、テストとフィードバックを行う事になったそうです。
こうして「Source Han Sans」は、日中韓をサポートするフォントとして初のフォントとして発表されました。
なお、Googleは、このフォントの独自バージョンを、Noto pan-Unicodeフォントファミリーの一部として「Noto Sans CJK」という名前でリリースしています。
アドビシステムズのマーケティング本部デジタルメディアマネージャー岩本崇氏が、フォントの詳細について解説し、「Source Han Sans」は、オープンソースでPan-CJKフォントの、新しいデザインの書体で、日中韓各国語と香港及び台湾の文字セットに対応していると説明しました。
各フォントは、現時点のOpenTypeフォーマットの限界文字数65,535文字を収録しており、それぞれ7つのウェイトから構成されていると説明しました。
フォントの全体の提供形態は、フルセットフォントと地域別のサブセットフォントで構成され、7個の他言語OTC(それぞれ〜19MB未満)対象言語すべてと、そのフィーチャーに対応(J、K、CS、CT、欧文)ウェイトは7種類
7個の他言語OTF(それ俺〜18MB未満)対象言語すべてと、そのフィーチャーに対応(J、K、CS、CT、欧文)
28個の地域別サブセット(それぞれ〜5MB未満)は、日本用OTF、韓国用OTF、中国簡体字用OTF、中国語繁体時用OTF、それぞれが異なるウェイトの7個のフォントからなると説明していました。
Source Han SansのOTCフォントをOS XのFontBookで開くと、各言語のフォントが表示され、日本語フォントに関しては「源ノ角ゴシック」フォントが収録されています。
システムにインストールして、Adobe Illustrator CC 2014からは、国ごとにフォントを選ぶことが可能だと説明しました。
アドビ システムズ のタイプデザイナー西塚涼子氏は、漢字の形はモダンではあるが、個々のサイズをやや小さめにデザインしているそうで、行間の幅が狭まり、モバイルデバイスで利用する場合の稼働駆性が上がると考えているそうです。
各国語の文字で同じ漢字を共用する場合や、同じパーツを使用する場合など、共通化したデザインを行っているそうで、少しでも違うようであれば、各国で同じデザインに見えるように調整を行っていると説明していました。
かなのデザインは、かな本来のデザインを少しだけ取り入れ、スモールデバイスで電子書籍を読んだり、長文や縦書きが増えるであろうと想定してデザインを行ったそうです。
なお、フォントデザインに関しては、イワタ、中国Changzhou SinoType Technology、韓国SANDOLL Communicationsも協力しているそうです。
入手方法については、オリジナルソースが、SourceForgeとGitHubから入手可能で、Adobeからは「Adobe Typekit」のどのプランからも入手可能だと説明していました。
また、Googleは、Noto Sans CJKとして提供しています。
活用シーンや機能メリットについて、OS・アプリ開発者やハードメーカー搭載フォントのファイルサイズが軽減され、マルチリンガルでの活用や、視認性の高いフォント、複数のフォントメーカーからのライセンス確認が不要であることを上げていました。
また、製造業のマニュアル作成・統一のイメージなども上げていました。
質疑応答の中で、日本語のグリフ数に関して質問すると、約1万7千文字と説明があり、Adobe-Japan1-4よりも多く、Adobe-Japan1-5よりも少ない。しかし、3カ国語に対応した新しいフォントであるため、今までの規格概念とは異なると説明していました。
また、他のメーカーも、これに追随して欲しいという意見に対して、このフォントは「Adobe-Identity-0」のセットのため、各メーカーが追随するためには、事実上、このセットに準拠すると思うが?と聞くと、最初の公開が、オープンソースなので、規格を決めるという考えはないが、こうした新しいフォントセットを考えてもらえればとの提案だと説明していました。