日経FinTech選書「決済の黒船 Apple Pay」で知る各国の電子決済環境
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日経FinTech選書、ITジャーナリストであり、最近はモバイル決済ジャーナリストとしての取材が多い、鈴木淳也著の「決済の黒船 Apple Pay」を読んで、各国の電子決済環境の実情を知ることが出来ました。
SuicaのNFC反応速度は200mm/sで、この速度部分を含めた一部が「NFC-F」として国際規格化され、2017年4月以降に発売されるGSMA規格準拠の交通IC系対応スマートフォンは、NFC-Fに対応することが義務化されたそうです。
ということは、対応出来ないスマートフォンメーカーは、交通IC系対応機能を省くしかなくなるので、2017年春以降は、iPhone 7・iPhone 7 Plusにさらなる追い風が吹くのかもしれません。もっとも、NFC-Fは、日本以外で普及しているわけではないので、将来的にみた場合、長期的展望に過ぎないかもしれません。
この書籍は、編集部の方針で読者の間口を広くとることを念頭に置いたため、本来は載せたかった情報や詳細が割愛されてしまったという経緯があるそうで、その番外編として、ASCII倶楽部に「Apple Payは本当に普及しているのか?」が有料公開されています。
クレジットカード登録が必要なので、中身は見ていませんが、Apple Pay上陸にまつわる取材でのこぼれ話を読んでみたい方はどうぞ。
この書籍の中で、Appleが、2015年8月にNFCフォーラムに参加して以来、水面下の交渉が始まったのは2014年頃だとしています。
Apple Payの研究開発は、横浜アイマークプレイスのサテライトオフィスで行われており、2014年に入居してすぐ開発は始まっていたようです。
ここでは、JR東日本メカトロニクスから提供を受けた様々なタイプのICカード改札機をラボに置き、検証実験が繰り返されていたようです。
NFC-Fへの対応は、ソフトウェア的に処理され、それをiPhone 7・iPhone 7 PlusのSKUから出荷国を識別することで、オン/オフする方式が採用されています。
Suica対応サービスは、日本以外では使用できませんが、各国語のローカライズは行われており、ドイツから転勤してきたビジネスマンが、日本でiPhone 7・iPhone 7 Plusを購入し、ドイツ語で使用したとしても、Apple PayにおけるSuica利用に戸惑うことがないように設計されています。
そうしたワールドワイド仕様を担うのが、Alan Dye氏が率いるUser Interface Design部門です。
世界各国事情を考慮しつつ世界共通化を目指しているためか、Suica対応のWallet開発のために、日本を訪れたことは無く、アメリカで仮想環境を用いて開発を行うというところが世界企業たる凄いところだと思います。
英語を日本語に、日本語を英語に変換すれば良いと思うかもしれませんが、Suicaで当たり前の「チャージ」という言葉を英語にする場合、適切な言葉が見つからず苦労することになります。
その苦労が「日本の iPhone や Apple Watch で Suica を使う」と「Using Suica on iPhone or Apple Watch in Japan」を比べると分かると思います。