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Claris、FileMakerの最新バージョン「FileMaker 2023プラットフォーム」製品を発表

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Claris FileMaker 2023

Claris FileMaker 2023

Clarisは、FileMakerの最新バージョンである「FileMaker 2023プラットフォーム」を発表しました。

これには、「Claris FileMaker Pro 2023」「Claris FileMaker Go 2023」「Claris FileMaker Server 2023」が含まれます。

ClarisによるFileMakerの大型アップデートは実際には3年ぶりで、今回発表されたのは日本語版と韓国語版で、全世界版は既に4月26日に発表されています。

なお、記事執筆時点で、FileMaker Cloud 2023のリリース時期はまだ未定です。

システム全体の概要と注意点について説明します。

システム全般の評価


システム全般の評価

システム全般の評価

ローコード開発環境として評価されているFileMakerは、2023年版ではJavaScript、JSON、REST APIに対応し、その拡張性を今後も強化する予定です。

JavaScriptのアドオン機能を使用して再利用可能なコードをドラッグ&ドロップで利用できるようになり、より速く開発できる環境が整ってきています。

モバイル環境


モバイル環境

モバイル環境

モバイル環境では、Core MLを使用した機械学習、画像からのテキスト認識、iOSのセンサー、Siriのショートカット、NFCタグの読み取りなどが強化されています。

GoLiveTextについては、モバイル環境のみに限定される話ではないので、後ほど詳しく説明します。

Claris Connect


Claris Connect

Claris Connect

Claris Connectでは、新たに無料プランが導入されました。

プランは「スタンダードプラン」「ライトプラン」「FileMaker Plus」「無料利用枠」の順になっています。

名称は今後変更される可能性があります。


Claris Connect

Claris Connect

無料枠はこれまでにも存在していましたが、使用期間に制限がありました。

2023年版からは、月間APIリクエストの上限が設けられていますが、それ以外は制限なく利用できます。

セキュリティ


セキュリティ

セキュリティ

SOC 2 Type 2およびISOコンプライアンス認証を取得し、Appleの一員としての厳格なセキュリティ基準を満たしています。

通信はOpen SSL 3.0に対応し、メール送信はOAuth 2.0対応です。

特に、レコードの作成、データの変更、レコードの削除に関するログを自動的に作成する機能は非常に便利です。詳細は後で説明します。

FileMaker Pro 2023 新機能紹介

ここでは、先ほどの概要で触れた特に注目すべき機能について紹介します。

なお、SOC2やClaris Connectについてはここでは触れません。


バージョン番号に関して

バージョン番号に関して

特筆すべき点として、初代のFileMaker、次のFileMaker IIから続くバージョン番号が一新されます。

2020年に発表されたFileMaker 19は、頻繁な反復リリースを続け、最終的にはVer. 19.6となっています。

しかし、今回発表された2023年版は、内部的にはその延長であり、Ver.20.1となります。


Claris FileMaker Pro 20.1.1

Claris FileMaker Pro 20.1.1

つまり、Get(アプリケーションバージョン)を使用して返される値は『2023』ではなく『Pro 20.1.1』となります。

この点については、開発時に注意が必要です。

OnWindowTransactionトリガ

これまででもログを取ることは可能でしたが、重要な内容をより簡単にログとして作成できるようになりました。

FileMaker上でのデータの変更を伴う内容、つまり『レコード作成』『レコード内容変更』『レコード削除』について、いつ誰が行ったかを明確にすることで、データの安全性を高めることが可能になります。

GoLiveText関数


GoLiveText関数

GoLiveText関数

GetLiveText関数を利用することで、画像データからテキスト情報(数字を含む)を抽出することが可能となりました。

このテキスト認識機能は、Ver.19.5で導入されましたが、初期段階では日本語の認識に対応していませんでした。その結果、日本語を強制的に解析しようと試みても、有益な結果を得ることはできませんでした。

しかし、Ver.20.1では認識精度が大幅に向上し、かつて認識が困難であった日本語の認識率もほぼ100%となりました。

読み込む画像に対して言語を指定することで、認識精度が更に向上するようになっています。

今回のリリースでは、日本語、韓国語、ウクライナ語の認識機能が追加されています。


GetLiveText関数

GetLiveText関数

現在のバージョンでは、言語指定を行うことで読み取り精度が向上します。

しかし、そのため複数言語が混在するテキストについては、まだ誤認識が生じることがあります。


GetLiveText関数

GetLiveText関数

今後はマルチリンガル対応の強化に期待したいところです。

とはいえ、スクリーンショットや印刷物からのテキスト抽出に関しては、非常に高い性能を発揮しています。


手書き原稿

手書き原稿

手書きテキストの読み取りにも高い精度を持っており、画像中の斜めに記された手書き文章でも、識字率は95%以上に達しています。

(画像提供:榊原海紗さん)


手書き原稿認識

手書き原稿認識

ただし、完全な精度は100%ではないため、これは入力補助機能として位置付け、最終的な校正は人間の目によって行うべきだと考えられます。

GoLiveText関数はFileMakerの独自技術ではなく、macOSとiOSに搭載されているテキスト認識表示機能を活用しているものです。

現行のiOS16が日本語のテキスト認識表示機能をサポートしたことにより、FileMakerでも日本語のテキスト認識が可能となりました。したがって、この機能はmacOSおよびiOS環境下でFileMakerを使用している時のみ利用可能で、WindowsやAndroid環境では利用できません。

iOS環境ではカメラを使って文字を認識することができ、macOS環境でもスクリーンショットや画像データを利用してテキストを表示することが可能になっています。

これにより、物理的な文書やデジタル画像上の情報を直接テキスト化して活用できるため、効率的なデータ処理や情報の取り扱いが可能となります。

店頭パッケージ価格


店頭パッケージ価格

店頭パッケージ価格

シングルライセンス(店頭パッケージ版)の価格はの表の通りです。

これまでと同様、FileMaker Serverに関してはボリュームライセンス契約のみとなります。

FileMaker Server

FileMaker Serverでは、Ubuntu 22 LTSがサポートされ、Linux上での運用がより快適になることが期待されます。筆者の環境ではFileMaker ServerもmacOSでの運用にとどまっていますので、詳細な情報はありません。ご了承ください。

以前は1台のFileMaker Serverが共有できるファイル数の上限は125ファイルでしたが、これが256ファイルに拡大されました。これはデータベースの数として十分な数字であると思います。


FikleMaker Serverの互換性

FikleMaker Serverの互換性


FikleMaker Serverの互換性

FikleMaker Serverの互換性

互換性については、これまでと同様、同一バージョンまたは一つ前のバージョンのクライアントが接続可能です。

詳細は画像をご覧ください。

以上、Clarisが発表したFileMaker 2023プラットフォームの主要な新機能と更新についての要約です。新たに追加された機能や改善点を見ると、ClarisはBrad Freitag CEOの下、ユーザーのニーズと市場の動向を理解し、製品を進化させていることがよくわかります。

今回の更新により、FileMakerがローコードの開発環境として更なる飛躍を遂げることを期待しています。

なお、別途Brad Freitag CEOに対しての単独インタビューの記事もありますので、そちらもお楽しみに。

執筆:村上丈一郎 a.k.a Alwaysmac



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