etc / Claris

ClarisのBrad Freitag CEO単独インタビュー

※本サイトは、アフィリエイト広告および広告による収益を得て運営しています。購入により売上の一部が本サイトに還元されることがあります。

Claris International Inc.のBrad Freitag CEOと筆者

Claris International Inc.のBrad Freitag CEOと筆者

Clarisが、FileMakerの最新バージョンである「FileMaker 2023プラットフォーム」の日本仕様を発表したのに伴い来日したClaris International Inc.のBrad Freitag CEOに対し単独インタビューを行いました。

このインタビューは、ClarisそしてFileMakerに関する疑問点を直接CEOに対して問いかけるということが本旨ではあるものの、Brad Freitag CEOがClarisを牽引し、FileMakerがより良い形で進化し続けていることを、長年のFileMaker愛用者としての個人的なお礼を伝えたいという思いもありました。

まずは簡単な自己紹介を英語で行いました。大学に在学中にアルバイトをしていた楽器店で、FilkeMaker IIを用いた在庫管理システムや販売支援システムを作っていたことや、その後の通販システムを作ってきた話をし、単なるメディア記者ではなく古くからのファイルメーカーの愛用者であることを伝えたところ、Brad Freitag CEOはとても感激してくれ、終始和やかな雰囲気の中でのインタビューとなりました。

今回、Brad Freitag CEOにお聞きしたかったことは、下記の内容です。

・GoLiveTextは独自の技術?
・GIGAスクール構想にFileMakerとしての提案は?
・FileMaker GoのChrome版を出す予定は?
・FileMakerをMac App Storeで販売する考えはない?
・Claris Studioの国内展開は?
・FileMakerを用いたiOS Appの開発事例は?
・メール送信可能なFileMakerに、受信機能はつかない?

筆者:長年、FileMakerを愛用している者として、今回Brad Freitag CEOにお会いできたことは非常に嬉しく、光栄に思っています。

Brad Freitag CEO:初めまして。こちらこそ光栄です。MacOTAKARAのことは聞いています。FileMakerを愛用していただいてとても嬉しいです。

筆者:かつて世の中のMacのシェアが4%と言われていた頃、僕の周りでは95%ぐらいがMacユーザーであり、その1/3近くがFileMakerを利用していました。(※かなり特殊だと思います)

Brad Freitag CEO:いいですね。あなたの周りだけではなく、全世界をそういう形にしていきたいと思っています。

筆者:僕の人生の中で、1986年に偶然にもMacとFileMakerに出会い、そこからの35年以上をMacとFileMakerとともに過ごしてきました。スモールビジネスばかりですが、FileMakerの開発を続けています。クラリスのパートナー登録はしていないのですが(笑)

Brad Freitag CEO:なんで登録していないのですか?

筆者:何となく、登録しなくても仕事ができてしまっていたので。登録の仕方がわからなかったんです(冗談ですよ)

Brad Freitag CEO:(大爆笑)

筆者:FileMakerの存在がなければMacintoshの価値は半減するとまで僕は思っているので、世の中の人にもっとFileMakerに触れる機会を増やしていきたいと思っています。Brad Freitag氏がCEOになられて、FilaMakerを取り巻く世界はどんどん良くなってると感じています。そんな思いもあり、今回の機会に恵まれて大変嬉しいです。

Brad Freitag CEO:こちらこそ、本当にありがとうございます。このような機会をご用意いただき、こちらこそ大変嬉しく思っております。

CEOになる前はセールスに関する副社長という立場で仕事を7年間していました。この間、私はFileMakerの可能性を信じ続け、もっと多くの開発者の方、あるいは学校関係者、中小企業から大企業まで、もっとFileMakerを使って欲しいという信念を持ち続けて仕事をしてきました。自社の組織に対してはもっとリスクを取るべきであるという考えの下、チャレンジし続けました。

FileMakerが持っているポテンシャルをもっともっと、最大限に引き出すべきであると。CEOになって3年余りになりますが、この3年間はコロナ禍もあり景気が減退していく中で非常に厳しい時期ではありました。

しかし、この間の弊社の仕事ぶりには非常に高く評価しています。この革新的な文化(innovative culture)を確立するということに尽力してまいりました。様々なことがより円滑にコーディネートできるような組織への変革を実行してきました。FileMaker、Claris、そして親会社であるAppleに対しても、距離感をより縮めてきた3年間でありました。Appleとの協業、あるいは調整というものをより強力に進めてきました。

筆者:Appleとの協業は素晴らしい成果を生んでいると思います。ちょっと細かい話ではあるのですが、macOSでFileMaker Proを使っている際、全置換を行う際のショートカット(コマンドキーとイコールキーの組み合わせだが、日本語キーボードだとシフト+コマンド+マイナスになってしまう)がmacOSのショートカットである文字の縮小とバッティングしてしまうという問題があったりしますね。

※筆者注:この話をしたら、同席した開発担当の方々がざわつきました。CEOと開発担当者との間で検証作業となりました。余計な話題を振って申し訳ありませんでした。話の流れの腰を追ってしまいました。

Brad Freitag CEO:解決に向けて動きましょう。

Brad Freitag CEO:先ほどの自己紹介の中でお話しされていた、30年以上も昔に小さな楽器店でFileMakerを使って仕事をされ、その店が今ではとても大きな会社になり、そして当時作られたシステムが発展に発展を重ね、今でも使われているという話に大きな感銘を受けました。DXであるとかデジタル化ということに関して、もう一度考え直したいと思いました。

デジタル化を推し進めることにより、世界中のスモールビジネスに光が当たるようになるのではないかと思うのです。DXを実現するにあたり、中小企業であっても自分たちでシステムをコントロールできるのであるということを訴求したい。自分たち自ら開発をすることにより、効率的なオペレーションを可能にできるはずです。

中小企業であっても、自分たちでカスタマイズができるんだと。先ほどのお話で出てきた楽器屋さんが大きくなったという話に関して、その一つの要因として、、、30年前に作られたシステム、カスタムシステムが長年に渡り、日々進化しながら使い続けられてきたことは大きな要因だと思いませんか?我々としても、中小企業の皆様がカスタムプロジェクトとしてFileMakerを使っていただく、あるいはAppleのエコシステムを使っていただきながら、プロジェクトを進めていただきたいと考えてます。

(※渋谷と梅田にあるDTMを中心とした楽器店。運営会社は株式会社メディアインテグレーション。)

筆者:エコシステムという意味ですと、僕の周りではMac miniでFileMaker Serverを稼働させ、クライアント側はMacもWindowsも使うということが多いですね。以前のようにXserveを導入しなくとも、十分な動きとなります。素晴らしいですよね。

Brad Freitag CEO:ありがとうござます。

筆者:勝手にFileMakerへの思いをとうとうと語ってしまいましたが、ここからFileMaker 2023に関する質問をしたいと思います。まず最初に目を引くのがGoLiveTextです。これが素晴らしいです。Ver.19で実装されましたが、今回の日本語対応が素晴らしい仕上がりです。手書きの手紙などもいい感じで認識してくれます。

Brad Freitag CEO:ありがとうござます。

筆者:これはFileMaker独自のシステムで動かしているのですか?

Brad Freitag CEO:いえ、これはAppleの「LiveText」(テキスト認識表示)という機能を使ってます。

筆者:Windows版のFileMakerでは?

Brad Freitag CEO:使えません。MacおよびiPhone、iPadをご利用ください。

筆者:OKです!!僕としてはそれで問題ないです(Appleに贔屓すぎな筆者です。すんません。)

Brad Freitag CEO:(笑)

筆者:ところで、日本のGIGAスクール構想というものをご存知ですか?

Brad Freitag CEO:はい、存じ上げてます。とてもエキサイティングな展開だと思います。

筆者:私は塾講師をしていたこともあるので、教育関係に関しても非常に強い関心を持っています。

(ここで、アメリカには塾という概念がないので、その説明を通訳の方が一生懸命してくれました)

筆者:現在、GIGAスクール構想に基づき、全国の小中学校にIT機器が導入されていますが、その割合はiPadが29%、Windowsタブレットが30%、Chrome OSが40%、macOSとAndroidが0.5%ずつとなっています。ローコードでの開発環境としてのFileMakerを、小中学生にもっともっと触れてもらいたいと思うのですが、現状の日本では40%の生徒はFileMakerに触れることができません。WebDavを用いればFileMakerシステムそのものに触れることはできますが、サーバを導入する必要があったりと、それなりにハードルが上がります。Windows版やChrome版のFileMaker Goを開発をするというお考えはありませんか?

Brad Freitag CEO:とてもエキサイティングな、そして非常に難しい質問なので、ちょっと違う視点からお答えしようと思います。

今アメリカで素晴らしい取り組みが行われようとしています。それは、Claris ConnectとApple School Managerとのコラボレーションです。これが非常にうまくいっておりまして、これが新しい顧客の開拓にもつながっています。

我々の戦略としては、この機能を学校で使ってもらうようにすること。そしてその先にFileMakerをはじめとしたClarisの機能を広げていきたいと考えています。そこからとても良いケースが増え、我々のプラットフォームを利用していただく機会も広がっています。

我々にとっても世界中の学校というのも大きな柱となっています。このコラボレーションを始めて1年半ほどになります。同じ様な取り組みを日本でも始めるところです。

筆者:おお!ものすごく心強い話です。日本に於いては、公教育の現場におけるITに対する予算というものはまだまだお寒い状況です。

それに対し、日本には塾というシステムも存在します。こちらは予算があります。その取り組みに、塾業界も巻き込んで欲しいと思います。(つまり、Chrome版は考えていないんですね。)

(ここも、アメリカには塾という概念がないので、改めて通訳の方を含め、スタッフの皆様が一生懸命説明してくれました)

Brad Freitag CEO:考えておきます。

筆者:我々がFileMakerを購入する際には、パッケージ版を購入するか、FileMakerのサイトからボリュームライセンスを購入する形になりますが、Mac App Storeで販売する構想はありませんか?

Brad Freitag CEO:我々としても戦略として考えています。それによってより多くの方に製品をお届けできるようになりますし。現在は開発者の方に使っていただいて、プロトタイプを共有していく取り組みがあり、そのあたりのID管理等のシステム課題を克服した後に、Mac App Storeでの販売も対応していきたいと考えています。

筆者:具体的なスケジュール等のプランはおありですか?

Brad Freitag CEO:明確なスケジュールはありません。

筆者:現在、米国で展開されている「Claris Studio」や「Claris Pro」などの日本の展開も、先ほどの話と近い感じになるのでしょうか?

Brad Freitag CEO:我々が意図しているビジョンとして、一つのClarisプラットフォームにしていきたいというものがあります。その中で利用可能な者として、FileMaker、Claris Pro、Claris Studio、ClarisConnectがあります。

Clarisプラットフォームをローンチして我々が学んだことは、FileMaker 2023やClaris Connectのように、Claris Studioの機能をFileMakerをお使いのお客様に統合的に提供することが必要であるということです。大きなメジャーマイグレーション(システムやハード・ソフトウェア、データなどを現在とは別の環境やプラットフォーム、バージョンへ移行すること)をしなくとも、新しい機能を「とりあえず」使ってもらえうようにしたいのです。そして、この機能をグローバルに展開しようというのが今の計画です。このために、東京にデータセンターを近々開設する予定です。

筆者:オー!初耳です!!

開発担当者:日本でClaris Studioが提供開始されていないのは、東京データセンターがまだないからです。近々、ローンチとなります。先ほどのApp Storeの件や、FileMakerの無料バージョンの話とは全くの別件です。

筆者:承知しました。未来は明るいですね!

Brad Freitag CEO:そうです!!

筆者:最後に1点。お尋ねします。AUTH 2.0に対応したメール送信が可能になりましたが。これまでもmail.itなどのプラグインを用いればメールの送受信は可能ですとなりますが、FileMakerでメールを受信するという構想はありませんか?

開発担当者:確かにおっしゃる通りのリクエストはありますし、我々もプラグインを使って送受信をしていることもあります。しかしながら、それを求めるお客様の絶対数は多くなく、開発のプライオリティとしては高くないのです。

開発担当者:Claris Connectを使ってOffice 365のOutlookからメールデータを取得することは可能です。Windows限定の話になりますけど。。。

筆者:そうですね。とあるMac専門店さんが数多くの通販ショップを開設し、顧客からの膨大な質問メールをFileMakerシステムで半自動応答も含めた形で対応していたんですね。今でも多くの企業様にこのシステムを提案しています。これが、FileMakerのデフォルト機能で入っていたらとても利便性が高いなと思っています。

Brad Freitag CEO:承知しました。

筆者:Bradさんが様々な改革をされていることを聞き及んでおります。とても頼もしく思っております。

Brad Freitag CEO:ありがとうございます!!

筆者:ありがとうございました。

この日、滞在していた名古屋から六本木に飛んだため、Brad Freitag CEOに坂角のゆかりの黄金パッケージをプレゼントしました(笑)

筆者:This is Yukari, a famous Nagoyan snack. Yukari means the relation between people. Relation is important to the FileMaker, isn't it?

Brad Freitag CEO:おお、素晴らしい!!ありがとう!!

筆者:Brad Freitag CEO、ありがとうございました!!

今回の質問内容と回答のまとめ。

・GoLiveTextは独自の技術?
 >>>Appleの技術です。

・GIGAスクール構想にFileMakerとしての提案は?
 >>>アメリカで実施している施策を日本でも行う。

・FileMaker GoのChrome版を出す予定は?
 >>>つまり、Chrome版の予定はない。

・FileMakerをMac App Storeで販売する考えはない?
 >>>具体的なスケジュールにはないが、戦略として考えている。

・Claris Studioの国内展開は?
 >>>東京にデータセンターを開設予定。その後にやる。

・FileMakerを用いたiOS Appの開発事例は?
 >>>握している公開中のアプリは 寿商会の「SmartCounter」のみとのこと。

・メール送信可能なFileMakerに、受信機能はつかない?
 >>>リクエストはあるが、プライオリティは高くない

なお、別途Claris FikeMaker 2023に関する特集記事もありますので、そちらもご覧ください。

執筆:村上丈一郎 a.k.a Alwaysmac


関連記事

この記事のハッシュタグ から関連する記事を表示しています。

新着記事