ANA「ANA機体メンテナンスセンター」見学レポート
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先日の「ボーイング787日本初飛来メディアイベント」の会場にもなった「ANA メンテナンスセンター」の一般公開に参加してきました。
ANA の機体メンテナンスセンター見学ツアー「機体工場見学」は幾つかの条件を満たした上で、事前申し込みをすることで誰でも無料で参加できます。
ANAのメンテナンスセンターは東京モノレールの新整備場駅から徒歩10分ほどのところにある「あんしん、あったか、あかるく元気!」というANAのキャッチフレーズを足下から支える重要な施設です。
車止めの屋根は 飛行機の主翼をイメージしたデザイン。凝ってる。なお、停まっているバスは B787 SROV に参加するBoeingエンジニアの移動専用バス
機体メンテナンスセンターの周辺には、JAL の同様施設や飛行場内で使われる専用車両のメンテナンスセンターなども在る。この時には震災支援で風呂の炊き出しボランティアに出動していた融雪車などをメンテナンス中
事前に送付される参加証を提示することでセキュリティを通過でき、ロビーでツアー開始までの時間を待ちます。
ロビーにはブリヂストンが B787 用に開発し、日本に初飛来した ZA002 にも装着されていた専用航空機タイヤ「RRR」が展示されています。
1本当たりで最大26トンもの重量を支えなくてはならない上に、上空では -50度という超低温、着陸時には 最大350km から一気に停止状態まで持って行くという動作のために F1 のタイヤと同じ 250度にまで一気に加熱されるという過酷な使われ方をする航空機タイヤ。もちろん、離発着時にパンクしてしまったり、雨で濡れた滑走路においてグリップ不足でオーバーランするような事は絶対に許されませんので、これらの条件を満たせる航空機用タイヤを作れるのはブリヂストンを含め数社しか有りません。
B787 のタイヤとしてブリヂストン社製が選ばれた理由には、低環境負荷という点も有ります。航空機用タイヤは350回ぐらいの離発着を行えるように設計されており、これを超えると交換・廃棄されます。しかし、ブリヂストンは航空機タイヤにおいても、利用後にトレッド面を再構成することで最大3回まではタイヤを再利用することに成功しています。なお、タイヤの内部には気温変化に対して容量変化が低いチッ素が充填されています。
ロビーには他にモデルプレーンなどが飾られていますので、それらを見ていると見学ツアーが開始。
まずは「お話会」。講堂にて ANA が運用している航空機材の説明や、安全運航を守るためにどんなスタッフが働いているのか、メンテナンスセンターの役割などについて、参加型クイズも交えて説明されます。
講堂には 炭素繊維複合材料 を利用している B787 機体の一部と、ジュラルミン製で構造物も含めると相当重い B747 機体の一部を比較できるように展示してあります。
お話会が終わると、全員にヘルメットが配布されていよいよ整備工場(ハンガー)へ。
メンテナンスセンターのハンガー内はヘルメット必須。見学者は専用の貸し出しへルメットを被って見学します。
ハンガーは東京ドーム1.8個分のサイズ。
飛行機を互い違いに入庫させることで、最大5機を一気に整備することも可能です。
ハンガーは主翼・尾翼まで完全に入れることが出来るほどのサイズですので、当然全てがビッグサイズ。壁に掛かっている時計も一見すると普通のサイズですが、実は直径1.8m という超巨大サイズのモノです。
今回は B767 が 2機入っており、少なくとも1機は数年に1度のペースで行われる機体装備品を一回全部外して機体構造の調査を行う「D検査」と呼ばれる重整備が行われていました。
飛行機をこのアングルから見れるのはメンテナンスセンターぐらい
エンジンも目の前で見える。また安全に作業を行うために航空機に合わせて足場を組んでいるのが分かる
パーツを保管するスペースには機内で使われていたカーペットが再利用されて敷かれており、パーツに傷が付かないようになっている
ギア(車輪部)を外した時に機体を支える専用ジャッキなども置かれている。
床にはメンテナンス時に機体を停める場所がマーキングされている。「B6-200 (B767-200)」が消されているのは ANA は所有しなくなったため。
飛行場の保安手続き上、排水溝よりドア側に出ることは絶対に許されない。
メンテナンスをしている B767 を越えて羽田空港側に行くと、目の前の駐機スポット No.202 に B787 が駐機中。全てのドアがオープンになっている様は珍しい姿です。
この日は午前中に 関空 でのSROVを終えて羽田空港に戻ってきたところでした。
B787 を見たところで、いよいよ見学も終盤。
整然と並ぶ消耗品や、紛失・取り違いを無くすために施錠までされている個人用工具箱などを見学して見学ツアーは終わりました。
なお、個人で所有していない特殊工具は専用室に数万点という規模で保管されており、それらの工具はバーコードによって持ち出し管理がなされいるという事でした。
所属チーム毎に置かれている工具箱は、全ての工具には所有者名が刻印されている上に、保管時には施錠されるそうです。
ツアーの最後は社内売店でのお買い物タイム。
ここでしか販売されていないモノも含めて、レアな ANA グッズなどが販売されています。
本ページのANA敷地内で撮影された全ての掲載写真について、ANA機体工場見学担当者さまへの提出と、公開のための審査・許可を受けています。