アドビシステムズ、今後の事業戦略についての説明会を開催、2012年からAdobe Creative Cloudの提供を開始
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アドビシステムズが、2011年10月26日にマンダリン オリエンタル 東京にて、今後の事業戦略についての記者説明会を行いました。
まず、2011年は日本のアドビシステムズ社においても未曾有の震災を経験した特別な年になりましたが、会社としては軽度の被害で済んだ事からも現在は復興支援に全力でサポートに当たっている事が説明されました。
現在では激震地、中でも津波被害地域において、ダメージを受けた写真を修復して被害を受けた方々の思い出を取り戻す作業に注力しており、これらの作業に当たっている組織に対して Adobe Photoshop がインストールされた PC の提供を行い、効果を上げている事が説明されました。
この復興活動からも伺えるように、Adobe と言えばクリエイティブツールの開発メーカーという印象が強いですが、現在は「デジタルメディア」を制作するツールの開発・提供と、それらのツールで制作されたクリエイティブによる市場効果を分析する「デジタルマーケティング」の 2分野へ大きな投資を行っています。
まず、「デジタルメディア」への対応について。
「フォーマットが存在しない市場にはフォーマットを、フォーマットが存在している市場には最良のツールを提供する」ことを目的としており、インタラクティブな Web 技術が無かった時代には Flash や ActionScript を提供したような活動を継続しつつも、今後は HTML5 や CSS3 などのようにフォーマット化された規格に対しては、これらに最適な開発ツールの提供にも注力して行くという事でした。
このためにも、Adobe が古くから得意としてきたクリエイティブ寄りのツールに止まらず、旧 Macromedia が得意としてきた 開発寄りのツールについても「ツールによる、制作環境と作品を提供できる市場の分断が無い」ように、継続的な投資と開発が行われていきます。
具体的な取り組みとしては、「コンテンツ作成イノベーション」としては iOS と Android、iPhone と iPad、そして雑多な Android 搭載機のように多彩な実行環境に最適化されたコンテンツを素早く制作出来るツールの提供を、「メディア収益化」として制作コストの削減を、「ドキュメント交換サービス」として PDF を活用したクラウドサービスを、「コンテンツパブリッシング」として Adobe Digital Publishing Suite による電子出版サービスを、「クリエイティブタッチツール」として iPad 向けに展開している Touch Apps の対象アプリと動作プラットホームの拡大が、今後順次行われてゆきます。
また、Adobe CS シリーズを中核とする「クリエイティブアプリケーション」と共に、typekitのような「クリエイティブサービス」、「クリエイティブコミュニティ」を全て SaaS化することで、クラウドサービスとして提供される「Adobe Creative Cloud」について 2012年初頭から順次提供するように開発が進められています。
これらのツールで制作された「デジタルメディア」を、適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切な見せ方を出来るようにするのが「デジタルマーケティング」の仕事。
これまでも買収した Omniture のツールをベースに「Adobe Digital Marketing Suite」を展開していましたが、ここにソーシャルメディアの分析に最適化された「Adobe SocialAnalytics」が追加されました。
これは Twitter を横断して つぶやき や RT、Mention を収集、分析するツール。このぐらいの機能であれば他社同等製品が有りますが、Adobe SocialAnalytics の場合には Adobe SiteCatalyst などと組み合わせることによって、頻繁にツイートするユーザだけでなく、売り上げに繋がるツイートをしてくれるユーザ、ツイート当りの売り上げが多いユーザ、ツイートに反応するユーザの地域性などを分析することで、効果的なキャンペーンやユーザへのアプローチを支援してくれます。
以上のような、Adobe は「デジタルメディア」・「デジタルマーケティング」の 2大分野を最重要市場として、「Art と Science の融合」を目指してゆくのが今後の展開であるという説明で事業戦略説明会は終了しました。