大塚商会 実践ソリューションフェア2014:前刀禎明氏「新たな価値を生むセルフ・イノベーション」レポート
※本サイトは、アフィリエイト広告および広告による収益を得て運営しています。購入により売上の一部が本サイトに還元されることがあります。
大塚商会 実践ソリューションフェア2014 in 名古屋において、元アップル米国本社マーケティング担当副社長兼日本法人代表取締役で、リアルディア代表取締役社長前刀禎明氏が「新たな価値を生むセルフ・イノベーション」と題した講演を行いました。
顧客を満足させるだけではだめで、顧客の期待を超えることが必要で、ディズニーでは、シンデレレラ城をバースデーケーキに見立てたデコレーションを行い、後ろから戦闘機が飛んで来たと紹介し、顧客の想像を超える演出を行ったと紹介していました。
スティーブ・ジョブズは、Appleを復活させるために、ディズニー、ソニー、ナイキのように世界中の人に愛され、尊敬されるブランドに成りたいと言っていたが、ソニーの創業者のひとり、井深大氏が起草した「東京通信工業株式会社設立趣意書」の中に「他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う」というフレーズがあり、非常に大好きな言葉の1つで、ソニーの大賀氏は「心の琴線に触れるモノづくりをしよう」と強調し続け、これは性能のことではなくて、ソニー製品を持つ事で、感情に訴えかける喜びといったものを与えることが重要だという意味だと話してました。
Appleが最初にiPodを出したときに「21世紀のウォークマンだ」と言っていたが、途中からそういったことは言わなくなったが、まったく新しい物を生み出した時に、それの使い方や楽しみ方を訴求し教育することが必要になるが、そういったユーザーが創造出来ない物を世に出すには「自分が欲しいものを作れば良いんだ。」とスティーブ・ジョブズは言っていたと話し、iPhoneをこの世に出した時に、使いにくいハードウェアテンキーボードを外してくれなどという市場アンケートは無く、実際に外してソフトウェアキーボードでもって世に送り出されたiPhoneは、想像を超えた創造物だと話し「未来予測することではなく、未来を想像することが重要だ」と話していました。
イノベーションは「誰が先駆者で、誰が追随者か」をはっきりとさせ、戦略的対応については、多くの企業は、激しい変化の中で必死についてゆこうとするが、他社が追随したくなる製品を作れば、企業の立場は変わると話し、常にAppleは先駆者で有り続けていると話してました。
iPod miniを発売する時に、感性に訴える価値を訴求することが大切で、iPodは徹底した感性訴求したが、ソニーは有機ELディスプレイを搭載したことをアピールした機能訴求を行い、大きなテレビなら美しさも分かるが、小さな液晶画面にそれを使用しても、まったく必要性を感じてもらえず、売れなかったと話してました。
iPod miniのマーケティングとして、ipod.comドメインを使ったカラーバリエーションに合わせたサイトを作り、カラーに合わせたファッションをアピールしたところ、これが、世界レベルにまで発展し、結果としてiPod現象が起こったと話していました。これは、Appleの広告代理店「TBWA\CHIAT\DAY」提案したものを採用するのではなく、前刀氏が考えてはじめたマーケティング戦略で、自社で考えて実行したというのは、とても珍しいこと(現在でも)だったようです。
自信を持つために、創造力が必要になってきており、論理的な関連性から導き出していく事を「論理的・デジタル思考」と呼んでおり、あらゆる発想を結びつけてゆく考え方を「感性・アナログ思考」と呼んでいると話してました。
絶えず、あらゆる事に好奇心を持つ事が重要で、空を見上げて虹を見つけた時の発見と同じ感覚を体験出来るような思考回路を持つ必要があると説明していました。
iPodシルエットのCMを公開した時、製品はハッキリ見えないが、それで何が楽しくなるのかを伝えたかったと話し、そういったCMは、日本の企業ではなかなか難しいと説明していました。パッケージにも拘るという事も重要で、それはティファニーのパッケージにも同じ事が言えると説明していました。
ソニーは昔、ラジオ放送で、カセットテープ製品のCMとして、色を音で表すというCMを放送したと紹介し、白は蒸気機関車の警笛、金色は鍋を叩く音を聞かせて、音で色を想像させる事を行った。これは、目に見えない価値としての代表作だと紹介していました。
アイロボット社の「ルンバ」を持つ事によって、部屋が片付くという価値が得られるが、動きが可愛いために、感情移入する人が出て来て、ルンバが色々な所にぶつかるのは可哀想だと思うようになり、ルンバより先に片付けをする人が出て来たと話した。
ピクサーは「誰もが、誰とでも自由にコミュニケーションを出来なければならない。」「誰でも気兼ねなく、アイディアを提供出来るようにしなければならない。」「学術界で起きているイノベーションの最新情報を常に把握しなければならない。」という3つの決めごとを作り、会社内で働く全ての人々とのコミュニケーションを取り易い環境に気を配っていると紹介していました。
Sir ジョナサン・ポール・アイブは「他社は差別化を目的として物を作るが、Appleは、純粋により良い物を作る。」と語り、ユーザーにとって本当に良い物とは何か?を常に考えて物作りを行っていると紹介し、社内で何を目標とするのかを再確認した方が良いと話してました。
質感を求める事も重要で、Appleが、これを可能にしているのは、販売している台数によって実現出来ていて「1億台売るから、最高のカメラを作ってくれとソニーに打診した」と話し、性能に対する価格は、台数によるコスト削減を実現することで通常を超える事を可能にしていると話し、今度は2億台生産すると報じられていて、さらに良い物を安く製造することが出来る事を意味していると話してました。
ソニーの「Xperia」発表会に出席し、ハワード・ストリンガーのプレゼンテーションを見た感想として「ソニーに最高の製品は1つもない」とインタビューに答えたと話し、Appleは、必ず発表した製品を「最高の製品だ」とはっきりと言い切ることを常としており、それは、製品に対する自信の現れだと話していました。
2004年に、スティーブ・ジョブズの面接を受けたとき、VAIO505を使って、こうした製品を出さないとダメだとプレゼンテーションを行ったが、スティーブ・ジョブズは「CD-ROMも無いパソコンはダメで、オールインワンじゃなければダメだ」と言ったが、その後、MacBook Airが発売されたと話してました。
徹底的に観察し、あらゆる角度からものを見るということが重要で、観察したら、それに対する質問を行い、実証実験を行いアイデアを明確にする「創造的知性」を持つ事は重要で、重要なのは「関連づける」力を持つ事が重要だと話していました。
自分を信じるために、感性を磨くことが重要で、味覚・感性教育を受けた経験から、新しい体験をする事で、それまでとまったく新しい考え方が生まれると話し、感じる事も重要で、歩きながらiPodを聞くのをやめて、時代はアナログ感覚を重要視する時に来ており、自然の中にある音を感じるなど、人間が持つ五感で感じ取ることが重要だと話していました。
美術館を訪れる80%の人は、作品の説明を読んで絵を見ていると話し、絵を見る事よりも正しい知識を得ようとする事ばかりに気を取られていて、絵から何かを感じ取ろうとする人は少ないと話し、正解などはどうでも良く、感じることが重要で、これは、ビジネスにおいても重要な事だと語っていました。
何かビルが建設されているとして、囲いが有る時は、何かが出来るぞとだけ思っていて、実際に囲いが外されて、ビルの全貌が明らかになってから慌てるという話しを聞くが、それ以前に兆しを感じ取っていれば、対処の方法も早くする筈だと話し、そうした事に対応するには「洞察力」を鍛える事が必要で、電柱を下から上に見上げると三角に見ることができると説明し、これはそうゆう形で、その他の形は有り得ないといった先入観や固定観念を持たない事が重要だと話していました。
リアルディアについて紹介し、企業の考えとしては、欲求—>努力—>喜びを繰り返しのローテーションを重視し、iPhone/iPadアプリ「FACE Your Life」を紹介していました。
このアプリは、表情を撮り続け、感情表現を豊かにすることを可能にするそうです。
また、頭で理解することは当たり前で、プレゼンテーションの目的が、人が動いてくれる事を目的とするならば、本質的な事が相手に伝わらなければならないと考え「CiP」という新しいプレゼンテーションの仕方を学ぶ講座を始めると紹介していました。
チャーリーチャップリンは、最高の作品はどれかと聞かれ「次の作品だ」と語り、常に進化を追い求めていたと紹介し、ウォルト・ディズニーは「自分の仕事に満足した事はない」と語り、今の自分に満足しないことが重要で、何かを成し遂げている企業は常に成長をし続けていると話してました。
映画「スティーブ・ジョブズ」の映画を紹介し、前刀氏は、Steve Jobsと一緒に仕事した経験と、ライブドアの取締役会で会長職にさせられた経験があり、それらが重なった事で感情移入してみることができたと話していました。
何かをはじめる時、ウォルト・ディズニーは「夢を見ることができるなら、 それは実現できる」と話し、スティーブ・ジョブズは「Insanely Great」な物を作ると常に言っていたが、日本も、そういった考えを持ち、すべて自分の責任だとするならば、自分の人生を好きになり、自分に負けるなと考えるようにする必要性があると話していました。