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WWDC2014 KeyNoteスピーチレポートその1「Appleは何のために製品を作っているのか」

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Appleの開発者向け会議「WWDC2014」がサンフランシスコで開催されました。

これはAppleの製品のためにアプリケーションや周辺装置を開発している外部の開発者のためのAppleとの情報公開・情報交換の場です。

iPhoneやiPad、またはMacを使っている人には関係ないと思われるかもしれません。

しかし、私たちが現在使っているApple製品に関して、Appleと開発者がどんな思いで、どんな考えで作っているのかを知る事も出来ます。


特に今回のWWDCは(今年で25年目です)ソフトウエアに強くフォーカスし、Appleからのメッセージはまっすぐに開発者に向けられています。

会場には普段夜中に仕事して、主な食事はハンバーガーとコークとピザという開発者が、世界中からたくさん集まります。

しかし、「よし、ユーザーを騙してでも大きく儲けよう」という顔をした趣味は悪いけど小奇麗なビジネスマンはいません。

みんな嬉しそうな顔でユーザーの喜ぶ顔を見るためにアプリケーションを開発しているんです。


iPhoneやiPadで初めてApple製品を使っている方が大部分だと思いますが、Appleはもともとはコンピュータを作る会社でした。(まあ、こんな説明をする事になるとは10年前は考えもしませんでしたが。)

なぜAppleがコンピュータを作ったかというと、それは、人々に知的な活動をするため、役に立つ道具を提供するためで、それはiPhoneもiPadも同じです。

今までなかった電話機をiPhoneという形で提供し、ネットワークにアクセスして膨大な情報を、リラックスして指で直接触りながら閲覧して、自分の物にするのがiPadです。


Tim Cook CEO

Tim Cook CEO

インターネットの出現とその爆発的な普及によって、それまで図書館に行って片っ端から本を読まないと得られなかった膨大な情報にアクセスでき、また情報がどのくらい膨大なのか理解できるようになりました。

時間とお金と高い教育を受けた人がそれらの情報にアクセスできる場合が多かったわけですが、今では、誰でも世界中の情報にアクセスすることが出来ます。

しかし、実は情報を得ただけでは役に立たない場合がほとんどです。

お互いに「知ってる」と言い合っておしゃべりするのは楽しいですが、それだけでは何かを創り出して他の人に影響を与え、新しい体験を提供するのは難しいのです。

情報はアクセスしやすくなっており、役に立つ形に知恵によって包まれて届けられなければなりません。


Craig Federighi氏

Craig Federighi氏

それがアプリケーションなのです。

Appleは購入者に新しい体験を提供する事を目的としています。

「私は知的創造活動なんてしない。本もあんまり読まないし、他人に影響を与えているなんて思ったことが無い」という人が多いと思いますが、現在先進国である日本で生活出来ている人は、毎日決まった事をやっているだけのようでも、知的な活動がたくさんあるはずです。

Appleの製品はいろいろな形でユーザーが自分で考えて行動することを助けてくれます。

世の中には、携帯電話とタブレット、PCに中型・大型コンピューター、自動車部品に宇宙に打ち上げるロケット、そして電力を作り出す発電所まで一つの企業体で作っている場合もありますが、Appleのようにすべての製品の「作る意味」が統一されて貫かれ、愛着を持って使われていることはありません。

それぞれの製品が、生活の中で利益を生むために作られています。


今回の発表でも「無料」の物がたくさんあります。

まるで、「ユーザーのみなさんに喜んでいただけるのなら、その喜びの共有だけで満足です!」と言っているかのようです。

Appleは実際に形のあるハードウエア製品を最高の設計と品質で作り、製品が最高である事を保ち、ユーザーが愛着を持ち続けるために改良を続けます。

まるで無償の愛を子供に与える母のようです。母は命を懸けて子供を産んで、無償の愛を子供に注ぎ続けます。父も命を懸けて子供のために生活と成長を支えます。


子供から返されるのはその子供がまた子供を作る事。そして親として最大級の尊敬を受ける事です。

簡単に言うとAppleはまさに製品を生む親のように振る舞っています。子供のために他人を貶めたり、不正をしたり、嘘をついたりすることがないように最大限努力しています。

その親の姿を見て育った開発者も同じようにするのです。iOS向けのアプリケーションはAppleのやり方に従って、価格が非常に安いものが多いです。

たった一人の人でも心から喜んでくれればそれで充分という人も多いのです。


その気にいってくれた人はずっと使い続けてくれます。

それで古いものを改良し、どんどん新しいものを提供し続ける事が出来ます。

現在のAppleはこの循環に参加するユーザーの数が非常に大きくなったので、一時、世界のトップ企業にまでなりました。

しかし、あくまで個人と個人の関係を保ったまま、進化し続けているのです。

WWDC2014 KeyNoteスピーチレポートその2に続く...

執筆:ガラパゴス・システムズ佐藤徹氏


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