アドビ システムズ、#フォントの日 イベントを開催
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アドビ システムズが、4⽉10⽇を「フォン(4)ト(10)」の語呂合わせから「フォントの⽇」と制定し、⽇本記念⽇協会に2017年に登録されことを記念した第2回目のイベント「#フォントの日」を開催しました。
オープニングは、アドビ システムズの研究開発本部日本語タイポグラフィシニアマネージャーの山本太郎氏による乾杯の挨拶から始まりました。
続いて、#フォント川柳で募集した川柳の入選作のなかから優秀作品の紹介が行われました。
川柳はあまりに深い内容で、サラリーマン川柳ほど単純に笑える感じではなく、このイベントがマニア向けだと感じさせてくれました。
最初のトークセッションは、「meet the Typeface designer」と題し、アドビ デザイン製品マーケティング担当 岩本崇氏を司会に、国内の大手フォントメーカー6社からタイプフェイスデザイナーが参加し、パネルディスカッション形式で、各社の自慢のフォントや文字をデザイン・開発するよろこびなど現場の声を知るきっかけとなるセッションが行われました。
タイプデザイナーになったきっかけは?という質問に対して、アドビ システムズの西塚涼子さんは、小学校の時のノートにタイトル書きしていて、大学に入って元々イラストレーター志望として入ったけど、レタリングの授業で上手かったことで、タイプデザインを知ったことがきっかけだったと話していました。
モリサワの原野佳純さんもレタリングがきっかけだったと話し、中学校の文化祭のポスター制作でレタリングで文字作成し、美術予備校で先生にポスターを見せたところ、レタリングを褒められ、タイプデザインに興味が沸いたと話しました。
続いて、自身の仕事での「代表的なフォント」または「イチ推しのフォント」という質問に対して、タイプバンクの半田藍さんは、Windows 10 Fall Creators Updateでも採用された「UDデジタル教科書体」をデザインするにあたり、弱視の方々の支援者と接する機会が有り、社会と繋がっていることを実感したそうで、それはモリサワの社是である「文字を通じて社会に貢献する」を体現しているなと感じたそうです。
(タイプバンクは2017年9月1日付でモリサワに吸収合併されています)
フォントワークスの越智亜紀子さんは、企画の段階から関わった、ゆるかわいいをギュッと詰め込んだフォント「パルラムネ」を上げ、一からデザインしただけでなくフォント名まで決めたそうで、一生心に残るフォントだと話してました。
そのフォント、どんなシチュエーションで使ってほしいかという質問に対して、視覚デザイン研究所の松島裕也氏は、macOSにバンドルしていただきたいと答えていました。同社のフォントは、ディスプレイ用フォントを開発しており、本文用フォントだけではなくディスプレイ用フォントもOS採用されても良いのでないか?と提案していました。
手がけたフォントが使われて誇らしかった作品、嬉しかったシーンという質問に対して、大日本印刷の宮田愛子さんは、日本のブックデザイナー平野甲賀氏の作品に使われたことだったそうで、それは平野甲賀さんの自宅まで行ってフォントをインストールしたことだと話していました。
岩本氏は、これは使える技ですよ!と他のフォントデザイナーさんに勧めていました。
今後目指していること、やってみたいことという質問に対して、字游工房の宇野由希子さんは、「文字」と「動き」の「もじうご」をやっていて、通常のフォントに対して動きを付けることで、新しい文字のデザインを発見することができたりすると紹介していました。
もじうごには西塚さんも影響されていると話し、デバイスやテクノロジーによって表現が変わることを追いかけていくのも重要だと話していました。
今回、パネラーに女性が多かった理由として「国際女性月間に寄せて〜 女性タイプフェイスデザイナーと #Typekit #IWD2018」を紹介し、タイプフェイスデザイナーとして活躍する女性がいまだ少数であることを憂慮し、女性タイプフェイスデザイナーが作ったフォントを意識して使ってみて欲しいという取り組みを紹介していました。
続いてのトークセッションとして「フォントの未来」と題し、UXデザイナーTHE GUILD 代表 深津貴之氏、日本デザインセンターの有馬トモユキ氏、Yahoo! JAPAN検索デザイン開発部の李ナレ氏、アドビの山本太郎氏らを迎え、&Co.Ltd代表取締役 横石崇氏のファシリテートによってトークセッションが行われました。
未来を感じたフォントとして、AppleがWWDC 2015で発表したAntonio Cavedoni氏デザインによる「high-legibility alternate style set for San Francisco font」を紹介し、デバイスや文脈によって判別しやすくするため代替表示が行われるため、ユーザーの状況に応じて変化するのは素晴らしいと紹介していました。
李ナレ氏は、欧米ではWebフォントが当たり前になっている中で、日本の場合は文字数が多い事もあり、サブセットを落とす方法もあるが、Webの世界では1秒表示遅れる事で大きな損失を産む状況にあるため、なかなか難しいかもしれないが、欧米の美しいWebタイポグラフィーを日本語でも表現する必要性を感じると話していました。
イベントの最後に、DJ急行さん、セラチェン春山さんの司会で、『マツコの知らない世界』(TBSテレビ、2017年放送)の「フォントの世界」で “絶対フォント感” の持ち主として出演した須藤雄生氏、ヤフーもじもじ勉強会 田島佳穂氏、アドビ日本語タイポグラフィ 服部正貴など、フォントを見分ける目利きの超人らによる、フォントトリビアやフォント当てクイズイベント「“絶対フォント感” クイズ」が行われました。
文字の食卓の正木香子監修によるフォント名当てクイズなのですが、とても難易度が高く、ゲストだけでなく会場の参加者でも分からないレベルのクイズが出題されていました。
秀英四号太かなフォントで表示された「ゆ」の文字など、マニア度マックスといった感じでした。
ソフトバンクのロゴのベースになっている書体は?というフォントトリビアに至っては、小塚明朝の欧文がベースになっているという答えに対して、Adobe Serif MMだけど、平成明朝に組み込まれているバージョンを使っているという会場からの指摘があり、結局、どちらも正解というマニア度マックスでした。
参加者プレゼントとして、Adobe MAX Japan 2017で販売されていた、貂明朝フォントをあしらったエコバッグ、今回のイベントイラストを使った冷蔵庫マグネットなどが提供されました。
写真:Macお宝鑑定団 江東支部