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東京ゲームショー 2009:iPhoneから見たゲームの未来

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iPhoneから見たゲームの未来

iPhoneから見たゲームの未来

東京ゲームショー 2009 特設ステージにて、最新の iPhone ゲームを紹介し、今後の iPhone におけるゲーム市場を説明するイベント「iPhoneから見たゲームの未来」が行われました。


AppStore への登録数は PSP・Nintendo DS をも圧倒する

AppStore への登録数は PSP・Nintendo DS をも圧倒する

まずはGAP研究会の 林信行さんから、iPhone の市場についての簡単な説明が。

Apple が先日のスペシャルイベントで発表したように、iPhone などで動作可能なゲーム・エンターテインメントのタイトル数は PSP の 607本、Nintendo DS の 3,680本を圧倒する 21,178本。Apple AppStore は連日登録アプリ数が増加していますので、この差は更に広がっていることが考えられます。


ゲーム分野の比重は非常に高い

ゲーム分野の比重は非常に高い

なお、AppStore へのアプリケーション登録数は 75,000本と言われていますので、ゲーム&エンターテインメント関連だけで 実に 28.2%。約30% という一大勢力になっています。


5,000万台という充分な数の動作プラットホームに成長している

5,000万台という充分な数の動作プラットホームに成長している

これだけの勢力となって、理由の 1つは「プラットホームの魅力」。

「日本だけでも 200万台は出荷されているだろう」と言われている iPhone ですが、これをワールドワイドの数値として見ると既に販売済の分だけでも iPhone 3,000万台、iPod touch 2,000万台の 計5,000万台 という相当な数。


ワールドワイド展開の下地も充分

ワールドワイド展開の下地も充分

また、それらのプラットホームに対してアプリケーションを提供する AppStore は近年成長が著しい中国市場を含み 80ヶ国で展開されており、これによって iPhone Developer は1タイトルを複数地域に投入することが可能になります。


OpenGL ES などに裏付けされた強力なグラフィックス性能を有する

OpenGL ES などに裏付けされた強力なグラフィックス性能を有する

その他の理由として挙げられるのは「基本スペックの高さ」。


エースコンバットが iPhone用 にチューンナップされて登場

エースコンバットが iPhone用 にチューンナップされて登場

特にグラフィック性能は非常に高いものが有り、その活用例の 1つとして近日発売開始されるバンダイナムコゲームスの「ACE COMBAT Xi Skies of Incursion」(仮)が加藤正規エースコンバットシリーズディレクターによって行われました。


iPhone には他の携帯ゲーム機とは異なりハードウェアキーが存在しないので、飛行機の基本操作は iPhone の傾きセンサーを活用するようにしていますが、これがゲームへの没入感を高めるのにも役立っています。

ウェッポンの選択などの操作は表示されているアイコンを利用しますが、これについても簡単に選択出来るように配置やデザインには相当気を遣って行われたそうです。

また、携帯ゲームは何処で行われるのか? を検討した結果「移動時などのちょっとした空き時間を活かして行われるだろう」ということで、「短い時間でも次々と敵機を撃墜する事で エースコンバット ならではの爽快感を味わえるようにステージのサイズを小さめに設定した上に、ゲーム開始から短時間で敵機と次々と遭遇するチューンナップを掛けた」ということで、「iPhone への移植はグラフィックのポリゴン数を減らしたりすれば良いという単純な作業では無い。決められたフレームワーク内でプレイヤーに最高の体験をして貰うにはどうしたら良いか。エースコンバットには何を期待されているのかジックリと再考する非常に良い機会であり、実りが多かった」という事でした。


物理キーが存在しないという事から開発された Visual pad

物理キーが存在しないという事から開発された Visual pad

エースコンバットの開発においても非常に重要視された「iPhone ならではの全く新しい操作体系」という点を突き詰めているデベロッパーとして続けて紹介されたのが カプコン の 手塚武 開発統轄本部MC開発部長。

カプコンにおいては、ゲーム機としての iPhone を「Multi-Touch のような多彩な UI」「携帯電話ならではの Mobile Network」「AppStore による完全な Digital Distribution」の 3点が特徴的であり、中でも「Multi-Touch UI」については iPhone だけの、iPhone ならではの操作系であり、これに最適化した UI の開発に注力した結果として行き着いた1つの回答が「Visual pad」。


市場に合わせて価格調整も素早く出来るのがオンライン販売の強み

市場に合わせて価格調整も素早く出来るのがオンライン販売の強み

これまでの携帯ゲーム機の延長として考えると十字キーや特定キーなどをディスプレイに表示してタップさせるだけの Virtual pad を採用しがちになりますが、キーをディスプレイに描画しているという事はデザインも自在に変えられる訳であり、ゲーム場面の状況に応じて表示されるアイコン自体をボタンにしてしまえば、もっと直感的に操作可能な「Visual pad」となります。

この Visual pad を実装したアプリケーションが「バイオハザード 4」ウェッポンや、その照準を Visual pad で表現することで、操作系が非常に分かりやすく、シンプルになっています。

バイオハザード の販売価格は通常900円で販売されているのですが、東京ゲームショー開幕直前にシルバーウィークには期間限定で半額の 450円にて発売。
東京ゲームショー期間中には 900円の販売価格に戻されていたのですが、東京ゲームショーでのリクエストが多かったのでセールが特別に延期され、ゲームショー期間内のみ再度半額の450円での販売となりました。

 このように AppStore では価格設定を見直すのも簡単に、そしてリアルタイムに行えるというのも他のゲームプラットホームには無い強みです。


GHOSTS'N GOBLINS GOLD KNIGHTS

GHOSTS'N GOBLINS GOLD KNIGHTS

カプコンのスピーチの最後には One more thing... として「開発中にとあるタイトル」が iPhone で稼働している様子のビデオが公開されました。

どうやら、魔界村シリーズの「GHOSTS'N GOBLINS GOLD KNIGHTS」が登場するようです。


三国志の世界を説明するガイダンスも充実

三国志の世界を説明するガイダンスも充実

続けて、コーエーの 松枝正樹氏が、大型タイトルの iPhone への移植例として紹介されたのが「三国志TOUCH」を紹介。

三国志は iPhone ならではの Multi-touch をフルに活用するだけでなく、三国志に初めて触れるプレーヤーでも世界観を分かりやすくするために ゲームのプレー方法だけでなく、世界観などの説明するガイダンスが非常に強化されています。


三国志ワールドは、iPhone でも綺麗に再現されている

三国志ワールドは、iPhone でも綺麗に再現されている

現時点では「ゲームをライトに楽しんで貰うには、ちょっと難し過ぎるかも知れない」ので、難易度を調整するなどの最終調整作業中であり、これが完了し次第にリリースするという事でした。


SLIDING HEROES

SLIDING HEROES

国内有力ゲームデベロッパのラストに登場したのが スクエア・エニックス の 安藤武博 プロデューサ。

2008年12月23日には「クリスタル・ディフェンダーズ」、続けて2009年5月13日には「クリスタル・ディフェンダーズ ヴァンガード・ストーム」を投入して来た同社は、東京ゲームショー2009に合わせて iPhone ならではの傾き・加速度センサーを活かしたゲームとして「SLIDING HEROES」を投入しました。


ソングサマナー

ソングサマナー

また、今後も iPhone の iPod 機能を活用する音楽ゲーム「ソングサマナー」、スクエア・エニックスらしい大作ストラテジーとして「国破れて山河あり」を投入することが発表され、「これ以外にも幾つものタイトルの開発が進行しており、iPhone においてもスクエア・エニックス らしさを持ったゲームをリリースし続ける」ことが宣言されました。


国破れて山河あり

国破れて山河あり

しかしながら、大型ゲームを開発するデベロッパとして懸念しているのが「iPhone におけるアプリケーションの価格設定」。現在の AppStore においては明らかに 9.99ドル で販売しても安過ぎるような大作ゲームですら、0.99ドルという異常に安い価格設定が成されている状況が散見されており、「開発に掛かる膨大な費用が正しく反映されたアプリケーションの価格設定をしなければ、長期的な成長ロードマップが描けない。注目を集める為に戦略的な価格設定をするという行為が有る事を否定はしないが、そのような戦略を考えても、現在は価格設定が余りにも安過ぎる。これはゲームデベロッパが談合して値段を引き上げようという提案では無い。良い製品をプレイヤーに届ける為に必要なコストを賄えるだけの価格設定をし、AppStore を もっと正常な成長市場にするという事を開発者・プレイヤーの皆さんも考えて欲しい」という非常に重要な提案がなされました。


ワールドワイドな展開によって、対象とする市場も広がる

ワールドワイドな展開によって、対象とする市場も広がる

ゲームの国際展開の例として紹介されたのが Gameloftの中村玲生氏

Gameloftは iPhone 市場に参入してから、平均3タイトル/月 というハイペースでのアプリケーションリリースを続けており、現在までに配信しているタイトル数は 37本。これらの37タイトルはどれも日本を初めとする 欧米7ヶ国で展開されている事も有って、実に 20本が AppStore 有料アプリランキング Top10 入り。このために累計販売本数は2009年09月03日の時点で 600万本を超えており、今後も 2009年末までに 15〜30本のアプリケーションが追加投入される予定というハイペースでの成長となっています。


収録映像のみの公開に留まったものの NOVA の開発も順調

収録映像のみの公開に留まったものの NOVA の開発も順調

配信予定のアプリ中でも一番注目は、先日の Apple スペシャルイベントでも発表された「NOVA」(Near Orbit Vanguard Alliance)。このタイトルは日本でも発売される予定となっているので期待していて欲しいとの事でした。


iPhone には他の携帯ゲーム機に無い魅力が多数存在

iPhone には他の携帯ゲーム機に無い魅力が多数存在

イベントの最後に行われたのが、iPhone ならではのゲームの提案。


AR でリアルとバーチャルを繋ぐのも新しいアイデアになるのではないか

AR でリアルとバーチャルを繋ぐのも新しいアイデアになるのではないか

iPhone の「常時ネット接続」「GPS + コンパス」という特徴を活かすことで、リアルな世界をゲームの世界と結びつける事が可能となるので、例えばセカイカメラのような AR の仕組みをゲームに取り入れるのも面白いだろうという提案でイベントは終了しました。


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