Creators Summit 2009:ブランド戦略に基づいたトータル・クリエイティブワーク
※本サイトは、アフィリエイト広告および広告による収益を得て運営しています。購入により売上の一部が本サイトに還元されることがあります。
2009年12月3日,4日にベルサール汐留にて「Creator's Summit 2009」において、アートディレクター福井信蔵氏による「ブランド戦略に基づいたトータル・クリエイティブワーク」と出したセッションが行われました。
福井氏は、自身が関わったシグマのデジタル一眼レフカメラ「SD14」や「DP1」の例として紹介しながら説明していました。
製品のターゲットが決まってから、製品のブランディングを考えた場合、メーカーによってスタンスが異なるとし、今回のシグマの場合、ブランド戦略はユーザー体験がメインとなっていたため、そのイメージをどう伝えるかをまず考えたと話しました。
一般的に、体験とは語り継がれていくもので、それには「共感」と「ブランド知識」の提供が重要だと考えているそうで、良いコミュニケーションのための明快な指針づくりは、ブランドビジネス戦略と表裏一体だと話してました。
福井氏は、シグマ側に対して、消費者は、同社を安いレンズメーカーとしてしか認識しておらず、そもそも知名度が低いという問題を認識してもらうことからはじめたそうで、結構緊張したそうです。
そうしたイメージの中で、シグマの良さを掘り下げてみると、レンズメーカーとして歴史が長く、ズームレンズに関する技術や、センサーといった技術力は世界に誇れるレベルだったことが分かり、バリュープロポジションとして、センサーの描写力と撮って終わりではない現像処理機能によって、カメラだけで写真が生成することが出来ることなどをピックアップし、これをアピールするよう考えたそうです。
カタログ作成にあたって、各メーカーが小さな文字でぎっしり書かれた技術解説書のようなものが多かったが、シグマでは、どんな写真が撮れるのか?といったことがイメージ出来る洗練されたものを考え、SD14では、製品を表すロゴデザインもイメージ戦略の1つとして、タイポグラフィにも拘り、今まで、カメラ製品では採用されなかったものを提案したそうで、また、カメラの開発者の説明文も、長々と書くのではなく、きちっと読んでもらえるように、組みとイメージの分量を考え、また、アーティスト向けのカメラというイメージをプッシュするため、感性を拡げるような写真をあえて採用したそうです。
カメラは「だれにも」という流れにあって、あれも撮れる、こんな風にも撮れるではなく「こんな撮り方もありますよ」を提案するようブランディングに入れたと話してました。
もう1つ「嘘をつかない」ということが重要で、SIGMA DP2で撮影して、カタログに使った生の写真をFlickrにアップして、加工していないことを確認出来るようにしたと説明していました。
こうしたことは当たり前のように思えるかもしれないが、良いところも悪いところも伝わってしまうため、なかなかメーカーとして行う事ができない部分だと話していました。
また、コストの面でも配慮し、投資し続けているブランド戦略も考えなければいけないと話していました。