CNETが、Apple本社内にあるiPhone開発研究施設に関するレポートを掲載しています。

AppleがiPhone 16のマイクをテストし調整する「長波無響室」は、床は金網が張られていて、4 フィートのフォームウェッジが詰まった穴の上に吊り下げられているそうです。

部屋の壁と天井も、反響音を事実上排除する大きな三角形のフォームで覆われていて、記者が手を叩くと、手の衝撃によるくぐもった音だけが聞こえるほどとても静かだそうです。

Appleの音響工学担当シニアディレクターRuchir Dave氏は「iPhone は、非常に普及した録音デバイスであり、さまざまな環境で使用されているため、ユーザーが記録しようとしている記憶を、最も忠実な形で記録できるようにしたいのです。」と述べています。

iPhone 16 には 4 つのマイクが搭載されていて、無響室は金網の床下から無響室の天井まで、円弧を描くパイプにスピーカーの配列（約24個）が取り付けられています。

スピーカーが一連のチャイムを鳴らし、エンジニアがiPhone 16 Proのマイクが拾った音を測定します。

回転可能な台座の上のスタンドに取り付けられた電話が時計回りに数度回転すると、チャイムが再び鳴り、iPhoneが完全に一周するまで、この動作が続きます。

その結果、無響室で録音されたデータから各マイクの球状サウンド プロファイルが作成されます。

Apple はこれらのプロファイルを、風切り音を軽減したり、iPhone で録音した音声をさまざまな種類のマイクのように動作させたり、音声を再生したりできる空間オーディオやその他のソフトウェアの基盤として使用しているそうです。

現実世界では、インタビューを録音するために専用カメラを使用する場合、ワイヤレスのラペルマイクを人物の口元に近づけて装着し、マイクが声を最大限に拾います。しかし、iPhone で撮影する場合、マイクは電話機と同じ位置にあり、物理的に近づけることができません。Appleはこの問題を解決しようとしました。

AppleのiPhone製品マーケティグ担当ディレクターFrancesca Sweet氏は「私たちはこの開発を数年にわたって続けてきました。現在私たちが持っている機械学習機能の多くは、私たちが開発してきた長年の経験と専門知識の上に成り立っています。」と説明しています。

iPhone で録画したビデオを観るための、自分専用の Dolby Atmos シアターとも言える「ビデオ検証ラボ」に関して、AppleのビデオエンジニアリングディレクターSean Yang氏は「このシアターを使ってビデオ再生体験を調整し、暗い部屋やオフィス環境、さらには太陽の下でこれらのビデオを再生した場合でも、まるで劇場でビデオを見ているのと同じ知覚体験が得られるようにしています。」と説明しています。

また「実際、Appleにはこのビデオを見る専門家のグループがあり、意見の相違があれば、彼らを集めて議論します。多くの場合、何らかの妥協が必要になります。そこで、どこで再生してもビデオが最高品質で再生されるように、社内の多くの専門家に相談しました。」と説明しています。