WWDC 2023:Apple幹部、The Talk Show Live From WWDC 2023で多くのバックストーリーを語る
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WWDC23開催期間中に、Daring FireballのJohn Gruber氏がモデレーターを務める恒例イベント「The Talk Show Live From WWDC 2023」が開催され、そのイベントの様子がYouTueにて公開されています。
今回は、Macパートとして、ワールドワイドマーケティング担当シニアヴァイスプレジデントGreg Joswiak氏、ハードウェアエンジニアリング担当シニアヴァイスプレジデントJohn Ternus氏が登場しています。
John Gruber氏は「基調講演においてMacを発表するのに割かれた時間は13分しかなかった。」と話すと、Greg Joswiak氏は即座に「2時間で全てを紹介していて、これがAppleのショーなのだ。」と即答しています。
今回発表されたMacBook Air (15-inch, M2, 2023)について、販売価格は、MacBook Air (M2, 2022)、MacBook Pro (13-inch, M2, 2022)、MacBook Air (15-inch, M2, 2023)の順となっていて、Appleが発売してきた15インチMacBook製品としてはもっとも安い製品にはなるが、逆にMacBook Pro (13-inch, M2, 2022)という製品のターゲットはどこになるのか?と質問すると、Greg Joswiak氏は「MacBook Proのエントリーポイントで、Touch Barもあるしね。」と回答しています。
また「みなさんが思っているよりもMacBook Pro (13-inch, M2, 2022)は人気があり売れている。」と説明しています。
John Gruber氏は「Mac mini (2023)/M2/M2Proは、コンシュマー/プロシュマーの製品として落ち着いている気がするが、今回発表されたMac Studio (2023)、復活したMac Pro (2023)は特定のニッチな製品にみえるが?」と質問すると、John Ternus氏は「Mac Studio (2023)はM2 Max、M2 Ultraを搭載したことで、より多くのプロユーザーにとって素晴らしい製品になると確信している。一方で、PCIeカードの拡張性に実際に依存しているユーザーもいて、そうしたユーザーの期待に応えられる製品がMac Pro (2023)になる。」と話しています。
Greg Joswiak氏は「JohnはMac mini (2023)/M2/M2Proを、コンシュマー/プロシュマーの製品と説明したが、それは消費者側の立場であるあなたからの見方であり、Mac mini (2023)/M2Proは実際に多くのプロユーザーが使用しているだけでなく、大規模データーセンターでもエンタープライズ製品として使用されている。Appleから見ると、デスクトップMacとして、もっともユーザー層の幅が広い製品がMac miniだ。」と説明しています。
John Gruber氏は「デスクトップMacとして、唯一M2チップを採用していないのがiMac (24-inch, M1, 2021)となったが?」と質問し、いつM2に変わるのか?と暗に示した質問をすると、Greg Joswiak氏は「iMac (24-inch, M1, 2021)は、Appleシリコンによって実現可能になった筐体を採用した製品の1つで、自分は、家でiMac (24-inch, M1, 2021)を使っていてとても快適。忘れないで欲しいのは、M1チップでもAppleシリコン搭載Macは速い。」と話し、質問の意図する事を交わしています。
John Gruber氏は「Mac Pro (2019)は最大1.5TBメモリを搭載可能で、GPU PCIeカードも使用可能だった。Mac Pro (2023)は最大192GBメモリでGPU PCIeカードはサポートされなくなった。現在、生成系AIや機械学習などの急速な成長により、より高性能のGPUカードと多くのGPUメモリを搭載することを求めるユーザーがいるが、そうしたユーザーの期待には応えられないのでは?」と質問すると、John Ternus氏は「Appleシリコンによって、今いる世界は違っていると思う。ユニファイドメモリアーキテクチャにより、とても高速になり、それほど多くのメモリも必要なくなった。1.5TBメインメモリと比べれば192GBメモリは少ないかもしれないが、GPUメモリと考えると、これまで提供してきたGPUメモリとしては最大(Radeon Pro Vega II Duo MPXモジュール x2で合計128GBメモリ)になる。」と説明しています。
Greg Joswiak氏は「NVIDIAは、そうした分野でとても良い仕事をしている。Appleとしては、Appleシリコン搭載Macが得意としている事、ユーザーにとって最も重要なことに集中したいと考えていて、それを適切に実行している。彼らには彼らの強みがあり、AppleにはAppleの強みがある。そして、Appleにしか出来ないことを持っている。」と説明しています。
John Ternus氏は「Appleは、AppleシリコンにCPU、GPUなど多くの物を1つのパッケージにするというコンセプトがあり、後からGPUを拡張するといったことは、Appleが追求したかった方向性ではなかった。」と説明し、今後、GPUカードなどの拡張性を提供するという考えが 無いことを明確にしています。
John Gruber氏は「WWDCのステージにMacゲームデベロッパーが登場するのは珍しいことではないが、WWDC22ではカプコン伊集院氏が登場し、今年はコジマプロダクションの小島監督が登場した。また、今回はGame Porting Toolkitと発表した。明らかに以前よりも力の入れ方が変わっているように見えるが?」と質問すると、Greg Joswiak氏は「2年前までは、Mac用ハイエンドゲームを快適に楽しめるMacは限られたラインナップでしかなかったが、今はAppleシリコン搭載Macの全てがハイエンドゲームを楽しめる。デベロッパーの開発パフォーマンスも上がり、大幅な変化が生まれ、Macにおけるゲームの新時代が訪れた。」と説明しています。
John Gruber氏は「新しい写真ステッカーの説明なんてどうだって良かった。もっとGame Porting Toolkitについて時間を割いて欲しかった。」と話すと、Greg Joswiak氏は「John!ステッカーは全部楽しいんだよ!」と話し、会場から爆笑が起きています。
Vision ProとVisionOSパートとして、ワールドワイドマーケティング担当シニアヴァイスプレジデントGreg Joswiak氏、テクノロジー開発部門担当バイスプレジデントMike Rockwell氏が登場しています。
Mike Rockwell氏は「8年前からプロジェクトは始まり、Appleのエンジニアリングチーム全体でヤマアラシを生み出すかのような努力を続けてきた。その私がコードネームではなく製品名を知ったのはWWDC23の初日だった。」と話しています。
John Gruber氏は「コードネームは『N301』だったけ?」と質問すると、2人は同時に「Apple Vision Pro、Apple Vision Pro」と連呼いています。
Greg Joswiak氏は「Mikeが自分の所に試せるプロトタイプモデルを持ってきてから何ヶ月も使っていたが、いったいどうやっているのか?これは本当に魔法だと思った。」と話しています。
Mike Rockwell氏は「自分の空間にいることが出来る製品。つまり空間コンピューターを作りたいという非常識なアイデアがあった。それが出発点で、それによってAppleが解決しなければならないことの信じられないほどのリストが生成された。信じられないほどの高解像度ディスプレイを開発する必要があり、その視野に正確に一致するカメラを作らなければならなかった。これらのカメラが認識できるしきい値を非常に短時間で取り込んで処理できる新しいAppleシリコンR1を考え出す必要があった。Safariを表示して、そこにある細いテキストを読んでも読めるというのは、簡単そうだけどとても大変で難しいことの1つで、そのためにAppleは新しいグリフレンダリングメカニズムを発明する必要があった。」と説明しています。
Mike Rockwell氏は「Apple Vision Proの重要な2つの目標として『便利であること』と『みんなと繋がってほしい』があり、Apple Vision Proによって、その場にいる人達から孤立させず、室内でも離れた場所でも繋がることを望んでいる。」と説明しています。
John Gruber氏は「Apple Vision Proを装着しているユーザーに誰かが近づくと、ユーザーが相手を認識できるようデバイスから周囲が見通せるようになり、同時にユーザーの両目をデバイス上に映し出す『EyeSight』が搭載されている。過去に『iSight』という製品もあったが、この状態は、装着している自分には見ることが出来なかった。」と話すと、Greg Joswiak氏は「レンチキュラーシステムについて話したら?」とMike Rockwell氏に振り「Appleは、どの角度から見ても別のビューを作成する必要があり、そこでAppleは史上初の『曲面レンチキュラーディスプレイ』を開発した。個人毎に目の異なるビューを実際の目の位置と同じ場所にレンダリング表示する。自分のPersonaに登録する時に作成される。これは、AIで作成してるのではなく、実際に自分自身の目の動きと連動している。」と説明しています。
Mike Rockwell氏は「Apple Vision Proは、話した通り孤立しないようにするという目的がある。これを装着しているとFaceTime ビデオは使用できない。したがって、遠くにいる誰かと喜んで交流出来るような、本当に本物のあなたを表現する必要があり、Personaによって実現出来るようにした。」と説明しています。
John Gruber氏は「左上のボタンを使って空間再現写真と空間再現ビデオを撮影することが出来る。センサーとしてカメラが搭載されているのは想像できたが、こうした3D撮影を可能にすることは最初から考えられていたのか?と質問すると、Mike Rockwell氏は「開発を行っている中でアイデアとして出てきて、それを試してみることにした。旅の中でパススルービデオを撮影していて、チームのエンジニアの一人に小さな娘さんがいて、その娘さんを空間再現ビデオで撮影したデータを見た時、多くのエンジニアに涙をもたらした。そこで、これはこの製品に取り入れるべき機能だと決めた。」と説明しています。
John Gruber氏は「劇場3D映画を見る時、明確な長方形のスクリーンがあり、そこに最高の映像作品と映像投影技術が投入されている。ただ、3Dだけど映画であることには変わりがない。空間再現ビデオは表示される場合、周辺がぼやけてぼわーんと浮かんでいるように見える。」と話すと、Mike Rockwell氏は「空間メモリとしての空間再現写真と空間再現ビデオは、夢を覗くといった見せ方をすることで、多くの人々の共感を呼び、この方法が素晴らしいと感じた。」と説明しています。
John Gruber氏は「Apple Vision Proの体験会で、空間再現ビデオの1つでケーキが登場するのがあり、そこに指を伸してみた。そこにちゃんと指があった。」と話すと、Mike Rockwell氏は「デジタルコンテンツを置く場合、間接的なインタラクションの両方を許可する場合、3次元空間内での視線推定を行っていて、ジェスチャーのピンチ操作は、実際にはデバイス内のコンテンツを実際に直接押すことも出来る。デジタルコンテンツ上にただ手を描いただけでは何もできず、手の位置を認識し、R1上でアウトラインを作成し、それを送信するビデオやコンテンツと合成するという非常に洗練されたリアルタイムのマットアルゴリズムを実行する必要があり、これにより、実際にデジタルコンテンツの前に手を置いて操作が可能になっている。」と説明しています。
Greg Joswiak氏は「Apple Vision Pro内でどのような空間体験が行われているかを、基調講演では2D画面上に表示して説明しなければならかった。しかし、目に見える全てのUI、デバイス上に表示がされているものについて、Appleが見せたものは、全てApple Vision Pro内に表示される実際の映像で、Apple Vision Pro内でレンダリングされている。三人称視点であってもシーン上に合成されている。これらは、全て偽物ではなく本物だということを分かって欲しい。」と説明しています。
Mike Rockwell氏は「Apple Vision ProのvisionOSは、搭載されているカメラやセンサー、Appleシリコンをリアルタイムに可動させての組み合わせで、そこがシステムを非常に厳密に調整しているので、これを盤石にする必要がある。このApple Vision Proは、飛行機内でも使用することが出来るように設計されていて、それは簡単そうでかなり難しい事の1つで、飛行機は旋回して飛び回ったり動きが激しい乗り物。システム上のIMU(慣性計測装置)は、どうやって安定した状態を計測するかが課題になるが、そこにも多くの魔法が隠されていて、飛行機内でも安定して使用が出来る。」と説明しています。
John Gruber氏は「Apple Vision Proのデモ映像で、非常に正確に手描きが行えるシーンが紹介されたが?」と聞くと、Mike Rockwell氏は「ハンドトラッキングは非常に正確で、面倒な事になるので数値は言わないが、そうせざるを得なかったのは、コントローラーを両手で持つ必要が無いからで、キーボードやトラックパッドなど生産性向上のための他の用途に使用する入力デバイスを実際に使用出来るため、信じられないほど自由なのです。」と説明しています。
プラットフォームとソフトウェアパートとして、ワールドワイドマーケティング担当シニアヴァイスプレジデントGreg Joswiak氏、ソフトウェアエンジニアリング担当シニアヴァイスプレジデント Craig Federighi氏が登場しています。
John Gruber氏は「Macパートでも話したが、現在、生成系AIや機械学習などの急速な成長にある。Appleは基調講演で、テキスト入力を高速化する新機能として、英語キーボードのインライン予測を紹介しましたよね。これは新機能ではなく再設計されているのでは?」と質問すると、Craig Federighi氏は「Transformer言語モデルを採用して、テキストに関しては長年LSTM(ニューラルネットワークに使用される層の一つ)を呼び出していたが、今はトランスモデル(機械学習モデル)と呼ばれるより強力なクラスモデルを採用している。質問の意図は、そこではなく、もっと大きなAIに関する話題なのだろうけど、Apple Vision Proの素晴らしい体験を説明する中で、AIという言葉は使ってはいないけど、それらのほとんどは機械学習により実現出来ていて、Appleにとって見出しになるのはエクスペリエンスであり、テクノロジーは全てそれらをサポートしている。」と語っています。
Greg Joswiak氏は「Craigは、それがあなたにとって何をするのか、そしてそれがどのようにそれを行うのかについて話しているだけ。」と補足しています。
John Gruber氏は「iOS 17では私たちが想像も出来ないような部分はあるの?」と振ると、Craig Federighi氏は「PDFはフォームの写真を撮る事が出来るようになったことで、子供が学校から何かを家に持ち帰った場合、それを撮影して、どこに記入するフィールドがあるのか?何を尋ねられているのか?を判断し、そこに適切な内容で記入が行える。それも1つの魔法。」と紹介しました。
John Gruber氏は「サイドローディングに関して、WWDC23で発表された内容およびiOS 17に関する他の全てのドキュメントを見たが、それに関する言葉はなかった。私が見逃しているのか?Appleの中で固まっていないのか?」と質問すると、Craig Federighi氏は「Appleが行う事全て、顧客と顧客の安全にとって正しい事であると確認したいということです。Appleは、安全なコンプライアンスどのようなものであるかについてEUと協力しています。今日は、これ以上話すことはありません。」と説明しています。
ステージが終わろうとした時、John Gruber氏は「もう一つ質問がある。基調講演でCraig Federighi氏は、ばかげた衣装を着て登場することが多かったが、今回はまともな服装だった。ただ、トリプルネックのギターを演奏するシーンが登場したが、あれを本当に弾いているとは思えない。」と話すと、Greg Joswiak氏は「毎回、マーケティングの立場から、Craig Federighi氏に色々と扮装っしてもらったが、今回は止めた。その変わり、Craig Federighi氏がギター演奏出来るという事実を取り入れることにした。それが、本当なのかどうかを、今ここで正銘してもらおうと思う。」と話すと、ソファーの後ろに隠していた皮ジャンを着せ、Greg Joswiak氏所有のギターを渡します。
Craig Federighi氏は「え?本当にやるの?」と話すとGreg Joswiak氏は「マーケティングにまんまとはまったね。見せるしかないよ。」と笑いながら話します。
Craig Federighi氏はそのままギター演奏し、実際に演奏していることを示してイベントは終了しました。
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